インタビュー時:86歳(2012年7月)
関係:妻(夫を介護)
診断時:夫87歳、介護者81歳
2007年に夫が正常圧水頭症による認知症と診断される。夫の希望もあり、手術は行わなかった。夫と2人暮らし、娘3人は独立。夫は元鉄道省で勤務し、退職後は会社員となる。介護者は主婦で、30代の頃より、地域でさまざまなボランティアを行ってきた。夫はデイサービス週3回と訪問介護を利用。近所には病名を伝えてある。

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プロフィール詳細

H.B.さんは首都圏で夫と二人暮らしをしている。夫の異変に気がついたのは5年ほど前からである。例えば、買い物に出かけても何を買うつもりだったか忘れる、他のものを買ってくる等のことが多くなっていた。夫も自分自身の物忘れに気付いており、以前から通院している循環器の医師に相談して、自ら神経内科を受診する。そこで「正常圧水頭症による認知症」と診断されたが、夫がどうしても手術は嫌だと言ったので、知り合いの医師にも相談して手術は行わないことにした。

H.B.さんは、30代の頃よりさまざまなボランティア活動に携わってきた。また、だいぶ前から認知症の勉強会等にも参加しており、近所のお年寄りのためのボランティア活動も行っていたので、ある程度の認知症の知識は持っていた。そのため、それほど夫の症状がひどくならないうちは、夫の認知症もそれほど心配に感じてはいなかった。しかし、2011年9月末~10月頃、夫が腰痛で動けなくなり、もの忘れもかなり進んだときには、辛抱強く対応することの難しさを感じた。

2011年9月頃、夫が腰痛を訴え、動けない状態になってしまった。2011年4月よりケアマネジャーと相談してデイサービスに通う手続きをしていたが、嫌がってあまり行っていなかった。しかし、この頃から、週3回のデイサービスと訪問介護を利用することにしたところ、少しずつ行ってくれるようになった。家ではほとんど体を動かさない夫が、デイサービスで他の人と会話をしたり体を動かしたりしているので、助かっている。

2011年10月頃が最も変化した時期で、H.B.さんに対し「誰だ」、「あなたはこの家のどういう存在ですか」と言われる。「あなたの奥さんでしょ」と返しても、わからない様子であった。娘も心配して、毎日訪ねてきてくれた。H.B.さんは、これまでの経験で、自分の存在を忘れられることも当然あるもの、とわかっていたので、それがとてもつらいとは思わなかった。

H.B.さんは、20年ほど前から、地域のお年寄りのためのボランティア活動もしており、地域の人々がみんな助け合うのは、人間として当然のことと考えている。したがって、夫が認知症であるということは近所に知ってもらっていた方がよいと思っており、早い時期から夫が認知症であることを伝えている。

H.B.さんは夫と結婚してよかったと感謝の気持ちを感じており、夫からも妻に対し、同じ気持ちが伝えられているとのこと。今後も最後まで一緒に過ごし、夫よりも一日でも長く生きて夫を支えたいと思っている。また、施設に入るとすれば夫婦一緒に入れる施設があればいいと思っている。ただ、現在は自分の楽しみや笑いの時間がなかなか得られないのが残念で、できるだけストレスを溜めぬよう心掛けている。

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