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前立腺がんの語り

ロボット手術時の姿勢が頭を30度近く低くするので、白内障の自分は緑内障のリスクを確認するために入院前に検査を受ける必要があった

うん、あの手術日の4日前に入院してくださいということで。やって、ほいで、行く…まず最初の日から、麻酔の先生の説明、そして手術後の看護師の人から、いろいろ、当日、手術が終わった日は、どうなる…手術の時間がどれくらいかかりますよとか何とか、そういう、あの説明もあって。そして、あ、その前にね、あの、あれだ。ロボットで手術をする場合、俺はあの、白内障やってるんです。ほして、「白内障やってますね」って言って「はい、やりました」「そのときに緑内障のあれは、言われましたか」って聞かれたから「それは言われなんだけんど」って言ったら、緑内障があるとロボットの場合、なんか頭の方を30度近く下げた形で、頭の方がね、下がるんですよ。その時に血液とあれで、緑内障があるとね、その緑内障を悪くするあれがあるから、それは「よく検査してもらってください」ってことで。それがあの、自己血を採るときと前後して、自己血を採るよりも、1か月ぐらい早かったかな。「検査受けてください」っていうことで、その検査は受けました、うん。そしてその説明の、入院してからの中で、またそれを確認して。「はい大丈夫です」ちゅうのを確認をして。ほうして、あれかな、あとは手術の日を待ったっていうことかな。

前立腺がんの語り

手術が終わった直後の痛みはひどかった。身動きが取れず苦しかったし、二度と味わいたくない痛みだった。しかし、一晩過ぎたら苦しくなくなった

―― そのときの体の具合というか調子はいかがでしたか。痛みとか。

これはですね、残念ながら痛みはすごかったです。終わった後は。まあ、直後よりも、それからしばらくたって今度別な集中看護室みたいなところへ運ばれていくんですけど、そこで一晩過ごすんですね。看護婦さん、あのー、ナースステーションのすぐ目の前にある集中看護室みたいなんですけど、そこに一晩置かれるんですけど、その中が一番痛かったですね。

―― 痛かった。

はい。これはしようがないですね。

―― その痛みの感じというのを、少しエピソードが、もしあれば教えていただきたいんです。例えば寝てられないぐらいの痛みとか。

そうですね、あの、あれは本当、正直言うと、もう二度と味わいたくないぐらい痛かったですね。あの、痛いということと、何というんですかね、苦しいということと。で、身動きが取れないんですよね。あの、動けないということでしたね。だから、両方。とにかくじっとしてないといけないことと痛みとありますから、もう背中が痛くなるし(苦笑)、もう、うんうんうなって一晩過ごしたって感じですね。これは、まあ、でも、皆さんそうなんで、しようがないんですって、あの、看護婦さんもおっしゃいますしね。こればっかりは我慢してくださいって。一晩過ぎれば変わりますからって。

―― どうでしたか、一晩過ぎて。

ええ、だから、翌日の昼ごろにはもうかなり、あの、痛みは、そういう苦しみはなくなってましたね。だから、まさに本当に一晩だって。

―― まさに一晩。

はい。

―― そういう苦しみはなくなったとおっしゃってましたけど。

鎮痛剤をやっぱり打ってくれたんだと思うしね。

―― あ、なるほど。

それが効いてくるわけでしょうからね。

前立腺がんの語り

術後一晩あけて看護師付き添いで歩いた。小便の管(尿道カテーテル)は不便だったけれど、痛みはほとんどなかった。医師も「順調だよ」と言ってくれた

―― その、ちょっとお聞きしたいのが、実際こう手術終わって、ええと帰ってこられたじゃないですか、お部屋の方に。ええと手術室に入るときは、歩いてご自分で手術室に入られましたか。

手術室はそうだけんど。あの…ほして、終わって、そのあとさ、ご飯ができて、ほしてご飯を食べたら、もう歩いてくださいちゅうことで。

―― あ、もうすぐ、手術が終わったあと、その日のうちに。

一晩たったあとね。

―― 一晩たったあと。痛みとかはどうでしたか。

痛みはあの感じん。あれ、ただあの、なんていうかな、点滴と…小便の。

―― カテーテルですよね。

うん、小便のあの管が入ってますから、不自由は不自由だけんど。痛みとかは、ほとんどなくて、ええ。ほいで、ただあの、ふらついちゃ困るからちゅうことで看護師の人が最初ついてくれたんですけども。あの病院の廊下をね、こう行ってきて。ほいであの血圧…ああ「気圧のあれも、受けるじゃないですか」ってえなことで、まあ俺は5階だったけんど、あの「いったんエレベーターで下がってみましょう」っちゅうことで、エレベーターにも乗って「んじゃ1階まで行ってみましょう。どうですか」「大丈夫だよ」という、こういうことできましたからね。んだ、一晩たったあとね。手術終わって一晩たった後。んだからあの、とにかく手術してくれた先生も、「順調だよ、順調だよ」ってことは言ってくれて。うん。

前立腺がんの語り

診断を受けたとき、とにかく早く、手遅れにならないようにと自分から、せっかちなくらい主治医に手術を提案し、勧められたのがロボット手術だった

私たちがあれ(人間ドックを)している健康管理センターの、所長というのを私の同級生が、院長やってた、所長やってた。ほれで、「おい、がんだってな。今は、とにかく早ければ、大丈夫だから。がんと一緒に生活していくようにしろ。大丈夫だよ」と。んだら、なるべく早いうちに、できるもんじゃ処置した方が良いと、こういう話も聞いてましたから。ええ。ここへ来て「先生、どういう治療方法がありますか」っちゅう中で、聞いたらまあいろいろ、放射線からホルモンから、手術から、こういうことがあるけんど、ちゅう話の中で。「どうしたらいいだね」とは言ったけんど、先生も、その時にはまだ「うーん、これはまだ、んだけん、早い段階だから」という風なことを言ってたですね。んで自分でも知ってたけんど、腫瘍マーカーはどんどん、来て計るたんびに上がってくる。んだけん、あるってわかってるだから、なんとかしなきゃと。「先生手術はどうですか」っていったら「うん、手術もいいですね。手術をするなら、うちにはいい機械がありますよ」と、こういうことでロボットを紹介された。んで「ロボットでやれば、時間も短いし、傷口も少ないし、後の経過が大変いいですよ」って話を聞いた。ああ、んじゃあ、それでやってくださいと。ええ。そういうことで、今回手術することになって。ええ。そういうことで今回手術することになって。

もっと若い人で、俺よりも5つか7つぐらい年上の人たちの中でも、やっぱし近所で2人ぐらい、がんが全部こう広がって、余命1年とか、3か月とかって言われて。その通り、亡くなってった人とかの姿も見てますからね。「おお、やっぱし早い方が良いのかな」という。ほいで、だから自分…まあ先生はどう感じたか知らんけど、ちっとせっかちかなと思うくらい。んで、「手術してください」。ほいで、「手術だったら、んじゃあ、うちにはロボットがありますから。経過が良いし、時間も短い、手術後の経過が今までやっててもいいですよ」って、「じゃあそれにしてください」(笑)。ええ。まあ先生も「この人はせっかちだな」と思ったかもしれない(笑)。

前立腺がんの語り

全身麻酔で寝ていて経験としては知らないが、ロボット手術では手ぶれがないのが最高の利点。手術後出血はなかったと説明された

あのー、ロボット手術といってもですね、私は内容は知らないんですよ、正直。なぜかというと全身麻酔で寝てますから(笑)、目撃してないんですよね。なぜ分かったかというと、後でいろんなテレビとか何かで取り上げられてますよね。あの、もう、ロボット手術に関してはいろんなところでテレビで取り上げられて、だから、それを見たことで分かったんですけど。あの、要は、えー、その、患者を手術台の上にのっけますけど、えー、そこにロボットのアームが体に差し込まれると。大体5本か6本入るんですね。えー、で、それがこう、中で、えー、ロボットの目があって、中の臓器を全部映し出して、それを映し出したものというのは、モニターカメラ、モニターが別にあって、それは手術室もですね、ものすごく広いんですよ。で、先生は、手術をする先生は患者の前にいないんですよ。患者から離れて、4~5メーター離れたところにモニターがあって、そのモニターを見ながら先生はそこでロボットのアームを操作すると。そのモニターがですね、大きな画面なんで、たぶん三次元か何か知りませんが、えー、しかも、この、あの、臓器が何十倍にもなって大きく映ってる。だから、非常に微妙な臓器なんだけれど、それがその、目の前に大きく出てるんで、それを見ながら手術するから、非常に微細なところの精度を高くできるということですね。それと一番の利点はというのは、先生も言ってましたけど、あの、手ぶれがないって言うんです。あの、どうしても腹腔鏡の場合は、あの、先生の、手術する人の手の動きと先端がやっぱり連動します。どうしても手術は、疲れてくるとか長時間にわたるとどうしても手ぶれが起こってくる。それがその毛細血管を傷つけたりということが起こると。ところが、ロボットというのは自動手ぶれ防止装置が付いてるから。ええ、だから、全く手ぶれが起こらないんですと。これが最大の利点なんです。だから、まさにやろうとしていることがきちっと、その、ミクロン単位で手術ができる。それによって、あのー、出血も起こらないと。だから、今まで出血例が1例しかありませんという話。四百何十例やって。私の場合も、手術終わった後に、全く出血ありませんでしたと言われました。へえ、と。

前立腺がんの語り

手術を勧められたものの、出血が一番気になっていた。セカンドオピニオン先の病院で、ロボット手術なら出血はほぼないと聞いて驚いた

―― 実際、その先生とお話をして、ロボット手術ということを決心された、その辺の経緯をもう少し詳しく教えていただきますか。

えーと、先生に、まあだから、あの、そうですね、ちょっと補足すれば、えーと、ロボット、あの、ロボット以外の手術の仕方、えー、つまり従来のやり方ですけど、それはどこの病院でもたぶんやってることで、いわゆる腹腔鏡といって、あの、穴をお腹に開けて、そこから、何ですかね、メスを入れて、で、何本かメスを入れて、それで先端で、レーザーのようなのを使って切ったりするんだろうと思うんですね。その手術の説明を聞いたんですよ、その最初の先生から。で、そのときにこういうことを言われたんですね。いや、この手術はもちろんそんなに今までも、たくさんやってるから特に問題はないんですけど、ただし、若干リスクがありますと。それはどういうリスクかというと、いわゆる出血リスクなんですね。で、それはどういうことかというと、前立腺というのは、あの、こういうことを言われました。前立腺そのものは、あのー、ミカンのようなものです、というんですね。ミカンは、皮をむいたときに、中にずっと白い、あの、さらに、あの、膜がありますねと。あれが全部毛細血管だと思ってくださいと。あのぐらい毛細血管に覆われている臓器なんですと。それを取るときに当然毛細血管を切ってしまう可能性が十分ありますと。十分と言ったのかな、ありますと。そうするとどうしても出血は避けられませんと。出血に備えて血液をあらかじめ用意しなきゃいけませんと、輸血用に。それはご自身の血液をあらかじめ採っておきますと。 だから、その手術の前の1週間、もっと前かな、2回に分けて、血液をあらかじめ採っておく(※)というんですね。それで手術を行いますと。万が一出血した場合には輸血を行います、こういう話だったんです。つまり、出血というのはやっぱりどうしても避けられませんという話があった。それはちょっとな、確かに、でも、しようがないなと。そういうもんだろうなと思ってたんですね。ところが、ロボット手術の話を聞いたときに、ロボット手術の先生は、出血例は、今まで四百何十例やりましたけれど、1例ぐらいしかありませんと言うんですよ。ええ?と。まずわれわれのロボットであれば、あの、出血はまず、全くないとは言い切れませんが、ほとんど今まで私の経験ではないですと。ええっ?という感じですよね。ただ、もちろん、念のため輸血の用意はしますと。ご自身の血液。それもわずかな量で結構ですと。そういうことで、結局、出血の問題がちょっと本人としては一番気になったですね。したがって、まあロボットにしたほうがいいのかなと。

※前立腺がんの腹腔鏡下手術では、800~1200㏄の自己血を貯血しておくことが多く、ロボット手術では400㏄程度が一般的です。

前立腺がんの語り

患者には色々な個性があるのだから、それに合わせた対応が必要だと思う。難しいとは思うが、病いは気からなので医師は患者に希望を与えて欲しい

うん。まあ、ですから、医療者はね、やっぱりね、患者に、その、非常に、その、いろいろ個性があると思います。それに対応せなきゃいかんと。それとやっぱりね、悪いというかね、安全性のために、あれ、言うんでしょうね。例えば自分でね、余命が例えば1年ぐらい思ってても、「3ヶ月ですよ」とか「6ヶ月ですよ」って言うわけですわ。それで1年生きたら、「よかったね」と言えるでしょう? それをね、「3ヶ月ですよ」「6ヶ月ですよ」って言うてしまうと、気の弱い人は、その、それ、それで3ヶ月後(のち)に死ぬんですよ。言われたから。医者が言うことは正しいなと思って。ですからね、かえっていかんと思いますね。
ですから、もっと希望的な…。その、難しいことですけどね、その、医者のね、その、裁判とかね、そういう問題で。ですけどやっぱりね、「あなた大丈夫ですよ」と、「頑張りなさいよ」と、希望を与えなきゃいかんですね。まあ、最初から言いましたように、病いは気からですから。やっぱり気がね、萎えると、余計に悪くなります。そんなもんですよ。

前立腺がんの語り

いつ死ぬか分からないのも辛いが、死の恐怖があれば一生懸命生きられるかというと、そう単純でもない。先の話だと恐怖感も薄らぎ、どう準備すべきか考えられない(音声のみ)

 自分としても、そのー、一番しんどかったときっていうのは、今もまあ、そうなんですけど、これからどういう状況が起こってくるのかとか。要するに、いつ死ぬのか分かればいいんですけど、まあ、それはなかなか難しいだろうと。まあ、本にも書いてたかな。患者から聞かれると。「あとどれぐらいですか?」そうすると医者は、まあ、安全を見て、一番短い数字を言うと。で、長引いたら、長かったら、「先生、ありがとうございました。おかげでずっとそれ、何カ月、何年長くなりました」って言ってくれるけど、それはたまたま短めに言ってたからであって、それはなかなか分かりませんよっていうことなんですけど。
 まあ、そのプロセス、自分がどの段階でどうなっていくかっていうの分かって、それについてどういう準備をしていくかと。それが、まあ、1年後か、5年後か、10年後か、20年後か。そういう…20年後やったら、もう人間、ちょっと考えれないし。するんですけど。まあ、そこがどうしたらいいのかなっていうのをもっと考える方法があればいいなと思いますね。
 あの、一番しんどかった、もう駄目だなと思った、その診断を受けて、可能性、確率を見るとね、病期がなんぼであれば、5年生存確率が何%とか。その数字が非常に悪ければ、非常に悲観しますし。
 だから、まあ、根治すれば一番いいんですけど、根治しなかった場合、ま、今私、そういう状況で、先生は、主治医の先生は「長期化するよ」っていうようなことを言ってるから、まあ、それはある意味助かることでもあるんだけども、以前、手術の直前に受けた説明の中では、えっと、「再発まで5年、再発してから3年ぐらいですね」って言ってましたですね。そうすると……。標準的なところで。まあ8年。8年だって長いかなとか思うんですけど、まあ日々、非常にスピードが速い時間で過ぎてるなっていうような気もしますし。
 で、一番つらかったときっていうのは、例えば子供が、小学生ですけど、卒業するときにはいないかなとか思うと、ものすごくやっぱり悲しい思いをしたし。例えば、あのー、地上デジタル放送が2011年に始まると。ああ、そのころにはもういないんだろうなとか。*えー、2年前に思ってました。5年は厳しいんだろうなとも思ってたところですね。まあ、今のところ、まあ、すぐに駄目にはならないんですけど、そう長いこともないんかなというか。いうふうなことも思いながら。
 ただ、死の恐怖があれば、毎日が一生懸命生きれるかっていったら、そう単純でもなくて。まあ、でも、死の……今、今の気持ちを言えば、それほど恐怖感にさいなまれてる状況ではない。ただ漠然と、かなり厳しい状況にあるとは思いますが、それと自分の感覚とが、あるときは一致したり、あるときは…人間って、まあ、あんまり賢くなくてですね、何年か先のこととなれば、あんまりそれが、恐怖感として思わないとかですね。その辺をどうするかなっていうのは……。まあ、宗教的なことに走るのか。走るっていうとおかしいですけど、いろいろ考えてみたりですね。そこの考え方いうのは、なかなか難しいですよね。
 でも、まあ、誰もがそれは、訪れるというか、いずれはあるっていうことなんですけど。そこを何とか、誰かと話ができたらいいけど、まあ、なかなかそういうことは、人と話しても分からないんかなあという感じですね。

*このインタビューは2008年に行われました。

前立腺がんの語り

自分は死ぬわけがないと妻も自分も思っている。あと何ヶ月と言われて信じた人は死んでしまうものだ。医者と喧嘩してでも明るく生きた方が良い(テキストのみ)

(妻は)1回目(のがんのとき)はどうか知らないけども、2回目ぐらいからはもう、この人、そんな死ぬわけないなあと思っているんじゃないですか。私だって死ぬわけないと思っているんだから。うん。大体死ぬわけあると思った人は大体死んじゃいますよね。だからね、あと3ヶ月と思って、それを信用した人は死んじゃう。だから、あの、あれ、何だ、うーん、事前指示書、私はどういう格好で死にたいとかね、人工呼吸はやめてくれとか、ああいう事前指示書を書かされるとか言っているけども、あんなのを書いていると、そのとおりになっちゃいますよ。だからね、お医者さんとケンカしてでも明るく生きたほうがいいですよ。

前立腺がんの語り

70歳を超えているが、まだ粘りたい。前立腺がんが生まれて初めての大病なので勝ちたい、1日でもいいから長生きしたいと思っている

僕70越してるでしょ、もう今さらもういいじゃないかと、ここまで健康に生きたんだからと諦めることだってできるわけですけれども、まだまだ僕は粘りたいと思ってますんで。そういう意味ではね、あの、決して自分が年取ったというふうには思ってなくて、むしろ若いつもりで、なんとしてでもこの病気を克服してやろうと。だって僕生まれて初めてこんな大きな病気になったんですから。

―― 生まれて初めて。

そうそう。だからあれですよ、これで死んじゃったんであればね、0勝1敗じゃないですか。

―― (笑)

だからせめてね、1勝はしたいんですよ。ほかの病気で死ぬのはもう仕方ないけども、これにはなんとか勝ちたいと、1勝だけはさせてくれと、そういう気持ちでいるんですね。

―― 1勝。

そう。あんまり、そんなに欲張りの、欲張りな要求じゃないと僕は思ってるんですけど(笑)
病気になる前と今とを比較してみるとね、僕、強くなったなと思うんですよ、精神的な意味でですよ。もっと僕はね、それ以前はあの、繊細で弱々しい感じの人だったような気がするんです、精神的な意味でね。それがですね、やっぱりその都度その都度、治療をする度に、いったんは良くなるんだけど、また上がってくる、そういうことを繰り返してきたわけじゃないですか。その都度あの、死に直面する、という経験をしたおかげで、やっぱりね、精神的にすごく強くなったような気がします。それがすごく違うような気がしてます。だからこの強さってものは、あの、最後までね、持ち続けたいと。仮に末期になったとしても、あの、持ち続けたいなと思うんですよね。よくほら末期になってね、体中パイプだらけに繋がれて、動くことも喋ることもできないで、ベッドに寝てるような、そんなときまでね、延命措置をしてほしくないって人が最近多い、多いじゃないですか。だけど僕は、そこまで行ってもね、なんかがんばりたいなって気があるんですよね。1日でもいいからがんばりたい。

―― 1日でもいいから。

うん。その、そのくらい強い思いが僕はありますね、今は。それがずっとそういう強い気持ちのままでね、いけるかどうかわかりませんけどね。