投稿者「dipex-j」のアーカイブ

前立腺がんの語り

ホルモン療法の副作用で乳房が膨らんできたが、太っているからかなという感じもあり、全然気にならない

あのね、おっぱいがね、だんだんね、大きくなってきた。やっぱり。最初知らなかった、気が付かなかったんだけどね、だんだん胸がね、あの、膨らんできたって。やっぱり、ああ、そう、やっぱり女性ホルモンなのかなっていう。それだけですね。だから、そういう面でもちょっと薬をね、抑えたほうがいいのかなっていうきっかけはね、そういうのもありました。それまで気が付かなかったですね。やっぱり3年目ぐらいになってきてからね、やっぱり胸がね、膨らんできたっていう。そう。

――あの、そうすると、その、何ていうか、それは最初は気付かなかったけど、だんだん気付いてきたという。

そうですね。太ったらみんなお相撲さんみたいにね、あの、なるんだろうけども、これは太ってるからかなっていうのもあるんだけども、それ以外でもやっぱりちょっと膨らんできたんじゃないかなっていう気がする。

――例えばこう、何ていうか、こう、外に行くので、あの、温泉とか、もしこう…。

全然、全然気になんない。

――あ、気にならない?

全然気にならない。気にならないけれども、ちょこっと、あ、膨らんでんじゃないかなっていう。太ってるからぐらいっきゃみんな(思わないだろう)。大体太ってる人と同じ感覚の胸の出方なんだけど、これは、でも薬のせいかなっていう気がする。

前立腺がんの語り

ホルモン療法で胸が出て女性のようになり、ジムで裸になってシャワーを浴びるときに男性の目が気になり、プールにも行きづらい

まあ前立腺の場合は、女性ホルモンを大量投下します。で、結果はどうなるかと、体に変化が出ますね。えっと、まあ、えー、胸が出ちゃうんですね。おっぱいがね。えーと、端的に言うと、おっぱいがこう膨らんで来て女性のような感覚になりますね。小指立ったりはしませんでしたけど(笑)。
ちょっと女性の気持ちがよく分かるようになったかなと。今まで女性の心理はよく分からない、心理学を勉強していても分からない人間だったのが、おかげでよく分かるようになりましたという(笑)…これは、冗談ですけども。
えーと、ジムに通った話をしました。ジムに行くわけですね。で、一汗流して、よくシャワーを浴びに行きました。そのときがね、ちょっとね、自分としてはね、嫌だったというのがありますね。つまり、裸になって、シャワーを浴びるときにね。同じ男性仲間の目が気になっちゃうんですね。何か俺、胸膨らんでてね、どう見られるかなとかって。で、水泳も好きなので、本当はプールへ行きたいんですけど。うーん、だからどうしようかと思いましたね。もう今どきですと、あのー、選手なんかはね、全身を覆うようなスイミングスーツがあるので、あれを買おうかなと、一時思ったんですけどね。まあちょっとそこまでできなくて。でも、だから、人が少ないときを見計らって、シャワーを浴びに行くとかね。やっぱりオープンになりきれないのはどうしてもありますよね。仕方ないことかなって思うけど。
家内は「そんなの気にすることないじゃない」ってね。もう家内といつでも一緒に、そのジムも時々は一緒に行ってましたので、「気にすることないわよ」なんて言われてたけども、気になりますね、正直なところ。

前立腺がんの語り

リュープリンとカソデックスの投与でいったん下がったPSA値が、再び6まで上がったが、カソデックスを中止したらまた下がった

で、その後1ヶ月半に1回、定期検診で、その病院に向かっているんですよね。その折にも当然、そのPSA数値、測るたびにですね、全然いいんですよ。で、0コンマ幾つのときもあったり、1とか、まあ悪くても2とかね、そんなことでずうっと推移していたんですよ。これでいいのかなとずっと思ってましたよ。
で、最近、3回ほど前ですか、6ぐらいになっちゃったんですよね。そのときに、あら、いよいよなのかな、なんて思ったりね。で、今度どういう治療をしたかというと、先生のほうが、「そのホルモン剤の薬、やめましょう」と。まあ「それ(薬の影響)、まず抜くために、今までの、その薬の、そのあれを抜くためにね、とにかく薬をやめましょう」ということでね、で、次まで様子を見ましょうということで、何も飲まないで。それで、またその次に定期検診で検査して、PSA今度また下がっているんですよ。1テン幾つだったかな、2界隈だったと思うんですけどね。「あら、こういうことも先生あるんですか」って、「うん、往々にしてあることだしね」なんて、その、なぜなんだろうと、こっちは、ものすごく疑問ですからね。あまり説明をしてくれないし、で、まあ下がったからいいやっていうことでね。
で、先回、その定期検診行ったときに、そのときもまた、薬は何も飲まないんですよ。で、その3…、2回に1回、3ヶ月に1回になんのかな。その、注射をするんですね。それはこの次に、また注射するのかな。で、先回行ったときも、この0.0幾つですよ、PSA数値が。どうして…こんなんでいいのかなと思っているんですよね。いつか、あおりが来るんじゃないかななんて思いながらね。

前立腺がんの語り

ホルモン剤を飲み忘れても検査結果は変わらない。一時休薬して様子を見る方法があるという論文があるのを知り、自己裁量で薬の量を減らす実験を始めた

錠剤になったらば、自分では相当こう毎日ね、数字、日にちとあれを書いて、朝飲んだよ、飲んだよ、飲んだよとこうチェックしていくんだが、それでもね、この…忘れるんですね。まあその忘れる程度に軽いっていえば軽いんでしょうがね。うーん、だから、飲まない日が相当あるんです。で、内心これは飲まないとね、指数は上がるんだろうと思って気にしてたんですが、同じなんですよ、検査の結果は。1未満。それずーっと今でもとおってるんです。だからね、あのー、薬っつうのはね、その、あんまり機械的に、きちっきちっと飲まなくてもいいんだなあっていうのが、こう実感っていうか自分の経験でね。故意じゃないんだが、忘れてたのがね、続いてそんな結果が出てきている。
それから中央の国立癌研(がんセンターのこと)の中央病院の先生が、いつか論文に書いてたのを読んだんですが、その、ちょうど私ぐらいの時期にはね、薬をいいときには一定期間やめて、様子を見るというようなことも方法としてあるんだと、いうのを読んだことがあるんです。で、それを思い出してね、逆に自信を持ちましてね。ああこれはやっぱり症状によっては薬を適量にね、服用するっていうのは非常にまた大事なんだなと。えー、副作用、何がしかの、必ず薬にはあるんだから、それをやっぱり飲み過ぎないっていうことがね、服用しすぎないってのが大事なんだということ、少し気が付くのが遅かったなと思いましたね。
だからそれがあったんで今度は自分ではっきり基準を決めて、私は2分の1で今実験しています。2日に1つ。で、この次の、だから血液検査楽しみなんですが、どういうね、表情をしてくれるか。

――今の2分の1っていうのは、これは先生と相談された上ですか?

しません。自己裁量で。忘れて良かったから。そうしたら少しね、こう、リズムというか、あれを付けて、2日に1つとはっきりね、そのまま2日に1つずつ忘れていくと(笑)。ということで今、やっています。多分いいような気がします、それでも。だからそれでそのうちにきっとねこれは治っちゃったんじゃないかと思うようになると思います。

前立腺がんの語り

診断を受けてから6年目を迎えているが、その間ホルモン注射を通いで受けるだけで、結局この病気では1日も入院せずに闘ってきた

それで6年目を迎えているわけですけど、その間私は一度も入院してません。早朝に病院を訪ねて、でまあ、排尿のほうのね、手当をしていただいて、チューブを入れていただいて、そのチューブを通して排尿をする。それでそのまんま、1週間近くチューブを入れたまんまになるし、治療のこともあるんで、入院をというふうに勧められましたけど、うちへ帰ってもいいですよというふうな、あれ(雰囲気)が感じられましたので、排尿のほうのチューブを、入れたまんま、うちへ帰りまして、それから以後のホルモン療法、これは注射ですけど、すべて通いで、やっていただいて、結局この病気では1日も入院をしないで、闘ってまいりました。

前立腺がんの語り

PSA値が100を超えるまでホルモン療法を開始しなかったのは、いずれは効かなくなるので最後のリリーフピッチャーとしておいておきたかったからだ

――どうしてもなぜ、なぜそこまで(PSA値が100を超えるまで待つほど)ホルモン療法を嫌だと思われたのかってところ、やっぱりお話しいただかないと、ちょっと何か、何でっていうのがやっぱり分からないなっていう気がするんですね。

だからね、結局、男じゃなくなるからです。それはもう、安易にリュープリンとカソデックス、こう打てば、下がるもんね。ゴールデンスタンダードですから。分かってましたから。
それと、できるだけね、最後のリリーフピッチャーに置いときたかったんです。そのホルモンをね。結局、ホルモンも永久に続かないわけです。早い人は大体3年ぐらいで効かなくなるわけ。効かなくなったらもう次の手がないんですよ。こう、前立腺がん、というのは抗がん剤*は全く効きませんから、それで終わりですから。ですから、できるだけそのリリーフピッチャーを最後に置いとく。それまではできるだけ延ばしてやろう、と思ってたんです。
だけど、まあ、そのー、今のね、友達みたいな若い先生にしろ、ほかのね、先生もね、「リリーフピッチャー、そりゃあね、押さえられるときはいいけど、もう火だるまになってからね、リリーフピッチャー出したところで、もう負け試合になるよ」というて言われたもんですから、それがまあ、100ぐらいだなというふうに考えたわけですね。
*インタビュー当時(2008年)は前立腺がんに有効な抗がん剤はないと言われていましたが、最近はタキサン系の新しい抗がん剤に再燃後の生存期間を延ばす可能性が示唆されています。

前立腺がんの語り

ホルモン療法は効かなくなると本で読み落ち込んだが、5年で効かなくなっても別の薬でまた5年と繰り返していけば平均寿命だといわれて救われた

それこそまたものの本やけども、こういうふうなホルモン療法というのは何年か、早い人は1年かも知らんけども、経つと、体にまたそれに抵抗力ができて、また効かんようになると。そしたらまた、行って戻ってのまたこれかというふうな、もう全然こう、光が見えんというかね、救いがないというか。
まあ、その先生が言わっしゃることはもう、ざっくばらんな話で、「ああん、もうあんた、そんな簡単に死にゃあせん」って。「いや、ばってん、薬がもう効かんごとなったら、次の薬、次の薬、どげんなっとるんですか」言ったら、「あんた、よう考えてみね」て。で、「今の薬が例えば5年間効いて、次の薬、効かんごとなった。ほんなら、また別な薬で5年間。それで効かんごとなったらまた5年間。それで足しゃ15年やろ」って。「あんた、今、年はなんぼね? 60ね」て。「61ね」て。「15足しゃ76じゃろが」って。「男の平均寿命、いっとるやんか」っちゅうたらね、そう言われてみると、「ああ、そうか」っちゅうようなね、うん。そういう先生に巡り合わしていただいたっちゅうような、それが一番の救いで。まあ、そういう、言葉は違いますけども、そういうニュアンスでね。

前立腺がんの語り

ホルモン注射はおへその回りをつまんで、ガチーンと入れるのでものすごく痛い。値段も高いので2年ほど休薬できたときは助かった

――ホルモン療法、ホルモンですか? えっと、どういう治療だったのか、いつからやってたのか、教えてください。

あ、ホルモンはね、あの、退院する折からしたんです。おへその周りに、まあ上から右回りに打つんですけど、あの、カプセルなんで3ヶ月持つ。ホッチキスみたいなので(笑)、こうやって、つまんでガチッと入れるんです。あれはまあ痛いけど、まあ仕方がない(笑)。うん。それ3ヶ月持つ。それでまた3ヶ月経って行ったら今度はこっち側、そういうので順番にして、えーと1年、2年ぐらいしたかな、2年ぐらいホルモン注射をして、それでもう、数値がもうわからんぐらいになったからやめる言うて、もう注射やめたんです。
それで、やれやれ助かった、やれやれと思って。もう高いていけないの、注射が。うん。僕らで、僕らで言うたらいけんけど、(窓口での支払いが)1万円ぐらい。1割(負担)じゃからな、(薬価が)10万ぐらいする。そのぐらいやったかな。それがやれやれ助かったと思うとったん(笑)。で、2年くらいは、その注射せなんだ。ほったらこの前の3月、今年の3月に行ったときに「またちょっと上がりかけとるからまたするかな」言うて、うん。で、3月にして、この6月にした。注射はな、痛い。ものすごい痛い、もう。穴開けてカプセル埋めるんじゃもん。ブーッ、ガチャーッいうて(笑)。

――注射したあとはどうなんですか? 注射するときだけ痛いんですか?

うん、うん、注射だけ。こんな奥へ入れるだけ。ガチ―ンいうて。体寝とって、これ持ちあげて、ホッチキスみたいなのでガチーいうたらもう終わり。「痛てー」言うたら終わり。あともう痛くもどうにもない。

前立腺がんの語り

骨転移でPSA値が再上昇したとき、どこの泌尿器科でもカソデックスとリュープリンの組み合わせを勧められ、金時飴みたいだと思った(テキストのみ)

えー、去年の1月ですかね。そのときにはね、15ぐらいだったんです、PSAが。○先生は、その、「まあ、○さん、20か30になったら、まあね、もうホルモンしかないですな」と。「あきらめてホルモンやりなさいよ」と言われて帰ってきたわけですよ。もうとっくに過ぎてますね。
ほんじゃもう、D大(近畿地方の別の国立大学)も診てもらいたなと。D大も非常にいいからと。まずD大の派閥のね、××病院の泌尿器科の部長に、また紹介状ね、その町医者の先生に書いてもらって、ほんで診てもらった。やっぱり同じこと言われたですね。「もうあなた、ホルモン打ちなさい。その時期に来てます」と言われて。で、えー、今度、またしばらくたって、D大の本体のほうへ紹介状書いてもらって、D大の本体に行った。
その先生も、「まあ、やっぱり、カソデックスとリュープリンですな」と言うでしょう。で、A大もそうですね。「カソデックスとリュープリン」。まあ、あの、金時飴で、その紹介の先生がね。「まあ、日本の泌尿器科、全部金時飴やな」と。「全部、リュープリンとカソデックスやな」と。だけど、あの、プロのね、ゴルフのプロの杉原さんなんか、彼は最初、あれ、打たなかったんちゃうかな。あの、私の記憶ではね、それやると女性化するから、ゴルフの飛距離がね、落ちるということで、やらなかったんじゃないのかなあ、というふうにいつも言ってる。私も延ばし延ばし延ばししてたわけです。
まあ、ですけどね、そのー、ところが、「あなたね、えー、100を超えたら、やっぱりホルモン考えましょうや」と、いうことで、続けてたわけなんです。それがもう今年の初めに120を2回(笑)。1回ではちょっとね、信用できないとことで。で、もう1回やったら、また123ぐらいだった。いやあ、もうこれはしゃあないなと。これはもう引導渡されたなと。まあ、やりましょうと。

前立腺がんの語り

前立腺の体積が大きかったので、それを縮める目的で、小線源治療の前に4ヶ月間ホルモン療法を受けた

最初に、その、転院して、その専門医のところに行ったときはですね、やはり、前立腺の体積が64ccあると、いうことだったんですね。それでは大き過ぎると。うーん、まあ、今の放射線量からいって、どうしてもシードの数はまあ100個以内ということになってしまうと。そうすると、表面積うんと縮めないと放射線が有効でないと。40cc以下でないと難しいですと言われたんですね。じゃ、それ縮めるにはどうしたらいいか。えー、その選択肢の一つとして、ホルモン療法がありますと。男性ホルモンを少し抑えましょうと、まあ、いうことを言われまして、じゃ、それやってみましょうということで、薬を飲み始めたわけですね。はい。
それが結構、実は、その、やる気というか、パワーをそぐことにつながったわけですけどもね。まあ、それでも、誰も、今まで机たたいてばんばんしゃべってたのが随分おとなしい話し方になったね、みたいな、ことで、まあ多分済んでたんだろうと思いますね。はい。

――その、ホルモン療法を受けられて、実際、その、どれくらいの期間、受けていらっしゃったんですか。

4ヶ月ぐらいですね。はい。

――4ヶ月。で、その4ヶ月でどういった状態になりましたか、結果的には。

結果として、40cc以下になったわけです。はい。