投稿者「dipex-j」のアーカイブ

認知症の語り

飲み忘れや飲み間違いが続いた時に、「なぜ、できないのか? 何のために飲んでいるのか」と、自分に問いかけた。意識を集中することで、飲み忘れをしなくなった(テキストのみ) 

――「薬を飲み忘れてしまう」ことに対して、何かアドバイスがあれば教えていただきたいのですが。

あのねー、私もね、最初忘れてたんです。(気がつくと)アリセプトがやったら多くって、あれ?って思ったら1週間ぐらい飲むのを忘れてたりとかってしたときに、あの、一覧表みたいな、カレンダーみたいのとかっていうけども、それだと、(そんな年齢でもないし)私にはちょっと苦手だって思って。
今は飲み忘れも何もしなくなったんですね。意識を集中してるんですよ。間違えたり飲んだり、忘れたり、間違えて多く飲んだりとかしてたんで。
何で自分で、できないんだ?って。何で自分を忘れたの?って、自分に問いかけてみたんですよ。しばらく、本当に、本当に真剣に考えて。「今、これ、進まないように飲んでるんだよね」って。「安定するように飲んでんだよね」って。「じゃあ、飲み忘れちゃダメじゃん」って。うん。そこで私は変えたんですね。
あのねー……何の意識もなく、ことをやると、ダメになるんですよ。どんなにか集中力を鍛えることによって、飲み忘れとか飲み間違いがなくなる、ってきたんですね……うん。やっぱり、「今、これを飲まなくっては、進んじゃう」っていう意識と、「間違えたら大変だ」っていう意識と……何かねー……そんなことを……思いっきり間違ってたときに、真剣に考えてみたんですよ。そしたら、今、間違ってないんですよ。

――すごい。(笑)

(笑)

認知症の語り

インシュリンはお薬カレンダーに1週間に1回セットして、携帯のアラームと同時に何単位を打つかメッセージが出るようにしている

――認知症以外にも、あの、何ていうんですか、その、確か糖尿病でらっしゃると伺ったんですけども、その辺りの方はどのように。

その糖尿、(主治医が)元は内科医だったので糖尿の方も診てもらってました。同じ先生に。

――薬の管理ってすごく大変じゃないのかなって思うんですけど。その辺りどんなふうに工夫されていますか?

あ、薬の管理は、あのー、お薬カレンダーに、あのー、1週間1回セットして、それで、あの、携帯電話のアラームで、えー、お薬の、インシュリンの何単位が打ちなさいというメッセージとアラームが鳴って、それで打つようにしております。食事の前に。はい。1日3回打ってます。インシュリンを。

――食事の前毎に。あ。そうすると。なんか、忘れることがなく。

はい。

――ああー。あのー、困ったことのリスト(何か困ったことがあるごとに、思いついた改善策とともに記録しているリスト)の中に。あのー、打ち過ぎてしまうっていうことがあったっていうふうに。

あー、はい、はい。

――書かれてあったんですけれども、それに関してはもうそのアラームで。

あのー、えーと、それはお薬カレンダーに針があれば、打ってないんだと。針がなければもう打ったんだというふうに、自分の記憶じゃなくて、針があるなしで打ったか打ってないかを推定しております。
で、自分の記憶はすぐなくなってしまうんです。打ったかどうかの記憶はありません。5分前でもありません。

――その針があるかないかっていうことで確認をされているということですね。

認知症の語り

うつ病の治療薬は精神を安定させる薬のなかでも軽い薬だと説明を受けたが、夫は服薬が症状の進行を早めたのではないかと今でも疑っている(テキストのみ) 

――「うつ」って診断されて、ま、治療されてたときには、やっぱりその、お薬とかたくさん飲まれてたんですか?

うん、あのー、私の場合にはそんなに強い薬じゃなかったんですけど、やっぱり出てましたね。あの、うーん、精神的に安定するようなもの、「うつでも軽い方のくすりだから大丈夫だよ」っていうような感じでやってはいたんですけど。うん。

ただ、それが主人にしてみれば、症状を早めたんじゃないかっていうのは、うん、やっぱり、薬の影響っていうのは大きかったんじゃないかなって、主人は今でも疑ってますね。無駄な2年半を過ごしてしまったな、っていうことがあります。うん。

認知症の語り

レビー小体型認知症は薬に敏感なので、医師と相談しながら何度も薬の種類や量を調整した。今は、アリセプト5ミリで落ち着いている(テキストのみ)

――どのような治療をされてるんですか?

うん、あのー、アリセプト。今もアリセプトですね。でー……その後ちょっとアリセプトが嫌になって、あのー、(リバスタッチ)パッチに換えてみたりしたんだけど、それも1年ぐらいで……赤くなりーの、かゆくなりーので嫌になって、「先生、やっぱり戻す」って。あのー、意外と、今、今の主治医の先生もすごく、診察時間をいっぱいとってくれる先生で。あの……私の心に添ってくれるようなことなんで。「いや、ダメです」とかって言うような先生じゃなくて、「換えたい?じゃあ、いいよ、アリセプトで」って、「じゃあ、換えようか」って。うん。「また、じゃあ3ミリからやってみようね」っていうような換え方をしてくれるし。

あとは、睡眠を良く、質を良くするような薬とか、心ちょっと安定するような薬とか、漢方とか、うん、ちょっと6種類、今7種類になったかな。うん、そのくらいの薬の服用で、調整してます。

――アリセプトは最高何ミリまでいかれたんですか?

5ミリで止まってます。レビーは特にアレルギーが出ちゃうっていうか、敏感なんですね。だから、あの、本当に薬は何度も変えた時期もありました。うん。もう、1粒飲んで寝たっきりになっちゃう状態とか、あったんで。本当に今の薬にするまでにずいぶん……何度も換えて。「先生、これ合わない」「これ合わない」っていう状態が何度も続いたりとかして、やっと。で、1錠でダメで、半分に割ってみたりとか。そのような調整の仕方じゃないと、薬は本当に大変です。うん。

だから、この前も造影剤でアレルギーも出てしまったりとか。うん、ショック状態を受けたりとかっていうようなこともある病気なんで…。だから、本当に調整は難しいですね、はい。

漢方も使ったりとかして、うん。あとは、あのー、やっぱり1日の気分差も激しかったりとか、血圧の……保つの、まあ、自律神経もあるんでしょうけど、保つのも大変なんで、頓服入れて。落ち着くように頓服もらったりとかして、だから7種類ぐらいになっちゃうんですけど。

認知症の語り

以前から糖尿病の診断を受けていたが、認知症になってからは認知症を進ませないためにも、生活習慣を改善して、1日の歩数の記録もきちんとつけるようになった

――糖尿病になられたのは、その、いつぐらいからですか?

えーっとー、50前だから、んふ、えー、あー、もう12、3年前です。

――12、3年前。

はい。で、そのときは、あの、薬を飲んでて、インシュリンは打ってなかったんですけど、んん。5、6年前からインシュリンを打つようになりました。

――やっぱり管理は大変ですか?

大変ですよ。やはりあのー、認知症にならないためには、生活習慣病を防げば認知症のリスクは非常に少なくなります。だから、アルツハイマーになりたくなければ、あのー、糖尿病とかそういう余病を起こさないように、生活習慣の改善することが大切だと思います。

――はい。何か具体的にやってらっしゃることってありますか?

えーっとー、夏場は一応1日7千歩を目標に、んー、歩いております。で、それも、あのー、えーと、ドコモのらくらくホンで、毎日の歩数が表示されて、1週間のグラフも出るし、それの1週間の月別の実績もできますので、一応、おー、調子のいいときは25万歩くらい月にいきます。はい。調子が悪いと、こー、今月、先月は10万歩でした、(1日)3千歩でした。

――記録をしっかりつけるタイプの人だったんですか。

はい、そうです。あ、記録は認知症になってから記録をとるように、日記も書くようになりました。あとは何もとってませんでした。全部認知症になってから生活改善をしました。

――といいますと、それまでの生活は結構その、規則、不規則な。

不規則な。システムエンジニアでしたので、不規則な生活でした。はい。

認知症の語り

動作が遅くなるなら時間をかけて、道具は最低限のものを残してと、今の状態に対して足し算引き算で考えていく(テキストのみ)

私の中では足し算、引き算っていう考えでいるんですけど。今の状態が……動作が遅くなったりとか、物忘れがひどいっていうの。何を足したらば……普通の生活に近づけられるか。100パーセントは無理だと思うんですよ。そこに障害が、あるというか、病状が出てるわけですから。でも、30でも50でも70でも、努力次第では伸びると思うことをやれば、ちょっとの助けがあれば普通の生活が送れるっていうふうに、私は思ってるんですね。

だから、その、何かを……動作が遅いなら時間をかければいいじゃないですか。……で、あの、たくさん物があると混乱するんですね。だから、洗濯物も、これは、ひっ、かかってるときに「これは誰の分」っていうのだけを外すんですよ。で、それをたたんで、今度、「次、誰の分」っていうのでたたんで、片づけて、っていうような。その……いっぺんに全部山にしてしまうと、そ、そこから選び出すのが……できないっていうか。今まで普通にできてたことは全くできなくなるんで、じゃあ、その人の分だけをやればいいっていうような考え方に変えたんですね。そしたら、それをたたんで片付けちゃえば、減ってくるわけですよね、次の仕事が。

調子のいい日はまだよかったりとかするんですけど、そうでないともう、ほったらかしになってしまってあふれてしまうんで。だって、100枚あったら山だけども、20枚だったらちっちゃな山じゃないですか。だから、そこだったらいけるかな、っていうので。あ、それを引き算っていうふうに私の頭ん中で整理してるんですね。だから、あのー……台所の食器とか……お鍋とかも最低限……最低限のもんでいいかなーっていうふうな考え方に、変えたんですね。たくさんあるから、どれを使っていいか分かんなくなるし、整理ができなくなってくる。

で、書類なんかも、もう、必ずこう、どこにしまうかっていうのを、ファイルを作ったり、「これはこれ入れ用」っていうふうな、こう、区分けをしてる。で、必ずその日の、使ったらもう、使ったらその日にそこに収めとく。あのー、「あとでやるからいいや」が……ないんですね、意外とね。ないっていうか、そういう習慣を体で覚えさせたんですね。

何でかっていうと、後が忘れちゃったり、するんですよ。で、私はレビー小体型なんで、そんなに認知度はそれほど落ちないんだけれど、私の場合にはアルツハイマーもないとは言えないんですね。うん。ちょっとそっち系も少しあるので、あの、今、まだ、脳がしっかりなうちに体で覚えようと思ったんですよ。っていう、そういう勉強もしまして、あの、体で体験したことは忘れない、っていうのを教えてもらって。……進んでからじゃ、その行動が覚えられない。まず、初期の段階でその行動に自分を変えてかないと。

認知症の語り

iPadやパソコンが認知機能の低下を補ってくれている。高齢であっても、何回聞いても何回でも同じように教えてくれる人がいれば、使えるようになると思う

あのー、すぐ忘れてしまうので、一応iPadに、あの、いつも入力して、それをまとめて、パソコンに、あの、電送すればいいんだけど、それはやらずに、その、それを見ながら、手の練習、脳の、あー、訓練だと思って打ち直しております。あとは、出掛けるときは、その、さっき言った、あのー、駅探で調べた情報をメモ機能という、メモに入力して、で、何時何分に出るかということをいつも確認して、それで、アラームを掛けて、電車に乗ったら何分後にアラームを掛けて、途中駅を気にせずに、えー、一番、えーっと、疲れが少ないように工夫をしております。

―― あの、高齢の方とかだと、やっぱりその、機械に慣れない方も多いと思うんですけれども。

はい。

―― そういう場合はどうすればいいでしょうかね。

ああ、高齢の方でも、私、新老人の会という、もう75歳以上の方のところで、もう80歳でもちゃんとiPadを使って、絵も描くし、そういうので本人の気力次第。本人が自分は駄目だと思ったら駄目なんですけど、本人がやる気で、そこにサポーターという、何べんでも教えてくれるという、忘れてもいいんですよ、何べんでもしますよと、そういう親切な人がいれば、何回聞いてもいいということがわかっていれば、その、1回で覚えようとせずに、何回でも、あのー、教えてもらえるという安心感があれば使えると思います。

認知症の語り

認知症になったら、第二の人生と考えて、状況を受け入れ、まずは今までの人生を切り離すことをお勧めしている(テキストのみ)

認知症になったら、第二の人生っていうふうに考えて、今までの人生は、まず切り離すことをお勧めしてるんですね。「今までと同じだ」って思ってると、あのー、滅入ってくるし、あの、「昔はこうだったのに」っていうのに引きずられて……いくと思うんですよ。で、第2の人生っていうか、生まれ変わった、第2の人生になって、これが、これ、この状態の私なんだっていうことをまず受け入れる…その……病識というかそれをきちんと認識した上で……ここが……具合が悪いか、ここに障害が、出てしまったから……何かを足してい……ちょっとだけ手を借りるとこはこういうところだっていうような、あの、何て言うのかな……自分に片意地張らなくっていいような、気持ちの持ってき方……を……できたらいいんじゃないかなと私は思ってるんですね。……うん。

……だって、ねえ。血流が悪くなって脳が死んじゃってるところはどうしようもないけど、でも……どうにかして他の所と回路がつながればまた復活するかもしんないって、いうふうに私は思ってるんで。

認知症の語り

家族は手伝いすぎないこと。代わりにすることが依存を生む。見守って、本当に出来そうにないときだけ手伝うようにして欲しい(テキストのみ)

家族はやりすぎないこと。今日ができないからって言って、明日ができないわけじゃないんですよ。波があるんです、初期の段階は。だから、「ああ、できない」「ああ、もうダメなんだ」「もう手を出さなきゃダメなんだ」っていうふうな考え方はやめてほしいんです。つながる日はつながるんですよ。できる日はできるんですよ。じゃあ、ちょっと見守ってて……どうしてもダメなとき、「ちょっと手伝おうか?」っていうような気持でいてくれたならば、進行しないと思っています。

「ああ、めんどくさい。やっとくから」とかね。「代わりにやるよ!」っていうようなことになってくると、依存になっていきます。必ず依存になっていく。依存になってくのは早いです。薬物と一緒だと思います。そうなったときに、脳が動かなくなった……あの、依存になると、とっても楽なんです。何もかもやってもらえたら、本当に楽なんです。でもね、自分らしく生きてほしいんです。私は自分らしく生きたいんです。だから、自分の脳で考えるんです。そういうことを分かってもらえたら、うれしいですね。

認知症の語り

夫も当事者支援活動に理解を示し、息子も赤ペン先生をしながら、講演の手書き原稿をパソコンで打ち直し、応援してくれている。私が元気でいるからだろう(テキストのみ)

―― ご家族との関係性というのは、そうやって、社会的な活動をされる方がよくなっていったのか、そのあたり、どうでしょうか。

うん、そうですね。今は、あのー……応援してくれてます。……今日も主人、送って来てくれたんですけど、あの……時間割くのも、遠くに行くのも、ちゃんと理解してくれてます。講演もやって、あの、行ってもいいって言うし。文章手書きで書いて、息子が、あの、パソコンで、こう、きれいに打ち直してくれるんですけど、赤ペン先生をやりながら。(笑)そんな感じで、うん。だから、あの、応援してくれてます。うん。

それは多分、元気でいるからでしょう。うん。やっぱり「具合悪い」って寝てられるより、元気でうつかうつか(あちらこちらと)歩いてた方が……いいと思う。(笑)うん、元気で留守がいいのかな、と。(笑)……うん、そう思います。