投稿者「dipex-j」のアーカイブ

障害学生の語り

今の障害学生は支援があって恵まれているかもしれないが、支援があるために言い訳ができないといった苦労もあるので、昔と比較して、昔よりましだと思う必要はない

何か、でも私が思うに今、確かに大学で支援室とか、障害学生支援室とかいろいろできてきて、一言で言えば恵まれてるっちゃ恵まれていると思うんですけど、でも、それなりの苦労があるっていうのはすごい分かるので。たとえ支援室があったとしても悩みっていうのはあるので、どんどんこう壁にぶち当たったりすると思うんですけど、昔よりはましだとか思う必要はないと思う。それなりの苦労があるので、うん、何か昔と比べて今はましなんだとか全然思う必要ない。昔は昔で楽なところもあったので、今のほうが大変っていうこともあるので、そんな比べることはないかなって思う。

――それはやっぱり今の学生だって自分のこととしてはすごく大変なんだから、もっと、それこそ、ものを言ってもいいしみたいな、そういう感じですかね。

あと昔は支援がないことを言い訳にできたんですけど、今はそれがなかなか言い訳にしにくいので、そこら辺も、ちょっと精神的につらいかなって思います。うん。何か、成績が悪いのも、さっきも英語のリスニングで支援が全くなくて成績Bだったって言い訳にできてますけど、今はちゃんとこう支援してもらって成績悪かったりすると、ちょっと悩ましい。

障害学生の語り

とにかく無理しないでいいよと伝えたい。自分の思う通りに、勉強するなり遊ぶなりして、苦しくないように過ごせばいいのではないかと思う(テキストのみ)

とにかく…、無理しないでいいよってことですね。学校生活、楽しんでくださいって、言うことがよくあるんですけど、楽しもうったってね…、その楽しむっていうことはどういうことなんだろうっていうふうにもやもやしてしまうともったいないし…。

その時間をどう使おうが、これから生きる、その人のための時間なので……、自分が例えば選択、あの、選んだ後でも、これ選んで良かったなって…、後になって思えたらいいなって思うので、とにかく無理はせず…、自分のままで、勉強したかったらすればいいし、遊びたかったら遊べばいいし、何もしたくなかったら何もしないのもありだし、その時間を…、そのとき自分が苦しくないように過ごせば…、いいんじゃないかなっていうふうに思う。

勉強だけに熱中したければ、もう周りの人間なんて放っておいて勉強に集中すればいいし、そこで人間関係がうまくできなくても、それはそれで得るものが他にきっとあるから、そこはそこで頑張んなくていいよっていうふうに思います。

障害学生の語り

大学時代の友達の話から、障害のない人が、障害のある人に接することは大きな学びになることだと思った。だから、障害のある学生は堂々とキャンパスにいたらいいと思う

私のお友達がね、あの2つあって、1つは私に、私と出会ったきっかけっていうのが、その子がずっとそのことを言っていたんだけど、私がね、トイレの前で、トイレってあの屋外から入るトイレってあるじゃないですか。外から入り口があるトイレ。建物の中のトイレじゃなくて、キャンパスなので、じかにトイレがあるわけですよ。男性と女性が当然あるんだけど、どっちが男性でどっちが女性か分かんないわけですよ。で、うろうろ、うろうろしてて、ずっとうろうろしてて、で、その子が来て何か、「何か困ってますか」とか言って声掛けてくれたんです。
で、私当時、本当にシャイだったので、何かずっとしゃべれなくて固まってて、すごい緊張した顔してたらしいんです、真っ赤になって。「え、大丈夫ですか、具合悪いんですか」、いやとか言って、「どうしたんですか」、いや、トイレがとか言って、あ、トイレはどこでしょう…とか言って、そのトイレはどこかって聞くのに、その、こんなに緊張してこう聞かなきゃいけないぐらい緊張するんだっていうのを初めて知ったんですって。
で、見える人だったらそんなに考えないで人に聞いちゃうって、逆に「トイレどこですか」って、見え、トイレの前で聞くわけじゃないですか、私の場合は。普通はトイレがないとこで「トイレはどこですか」って聞くわけでしょう、見える人は。だから簡単に聞けちゃうけど、トイレの場所を聞くのにこんなにこう、どの人に声を掛けたらいいのかとかこんなに悩んで、思い悩んで、こんなに緊張して声を掛けなきゃいけないっていう気持ちがあるんだっていうことをすごい知ったんですって。
それがすごいショックだったっていう話をして、その子は本当それで、あ、障害があるってこういうことなんだって知ったっていうのを教えてくれた子がいたんだよね。で、それもその子にとっての気付きだけど、私にとってもそれで友達が1人できたんで、あの、それが最初だったんです、その子と。その大学でできた最初の友達が、そのトイレの子だったんですけど。
で、次の、次にできた子が、その子は授業が結構一緒になる子で、その子もね、割と、あの、おとなしい子だったんですけど、いつも、一緒に、席がそばになったことがあってきっかけで、すごく仲良くなったんですけど。その子が、私といつもよく腕を組んで歩いてたら、ある他の全然関係ない友達から、「何とかさんは偉いね」って、「いつも手助けしてあげて」って言われたときに、ものすごい腹が立ったんですって。
そんな気持ちを一度も持ったことがない。普通にお友達と思って腕を組んで歩いているだけで、たまたまそれが私にとっては必要だからそうしてたけど、お友達だってずっと思っていたのに周りからそんなふうに見られているんだと思ったら、その、そのことに対してものすごい悔しくて。後で話してくれたんですけど、すっごい怒ったらしいんです。
で、怒られたほうの子は、それが自分が何で怒られたかが分からないんですって。その、褒めたつもりが怒られたみたいな感じで。でも、その子にとっては障害がある人っていうのに対しての差別感っていうのをそこで知ったって、周りの目っていうか、自分に対して向けられた目で知ったって。この2つの話が多分あって私もそれは後から聞いたんだけど、そういうふうにして多分障害のある人に接する障害のない人って、すごいいろんなことを学ぶ機会になるんで、だから障害のある人は、もう堂々とキャンパスにいたほうがいいと思う。自分のためだけじゃないから、存在が絶対。

障害学生の語り

障害があると誰かの手を借りなくてはいけないことが絶対にあるが、そういう時も、卑屈にならないようにしている。「ごめんなさい」よりも、「ありがとう」と言っていたい

障害を持ってるとやっぱり誰かの手を借りないといけないときは絶対にある、必ずあるので…、卑屈にならない、やってもらったことにはごめんではなく、ありがとうと返す、笑顔を忘れない、この3つかなって思います。やっぱり卑屈になってしまうと、手を貸す人も貸さなくなってしまう、何だよ、もう、じゃあ、おまえ1人でやれよっていうふうになってしまう。そうなって困るのは後々、自分なんですね。
卑屈にならないこと、それから、そうですね。まあ、卑屈にならないの中には、そう、自分が何か、思うようになんなかったときに、まあ、こう何でこうなんだっていうの、それもそうなんですけど、それをならないために自分で何か対策を打たないといけないし、自分で(人より準備に時間がかかるので)10分早く起きる…、とかっていうのがありますね。
あとは2つ目に、やってもらったことには、ありがとうございます、絶対に、ありがとうございますって言う。ごめんなさい、ごめんって言うと、どうしてもやっぱりマイナスなイメージが強い。まあ、たまにはいいと思うんですけど、何か本当に、ああ、ごめんねって思ったときはごめんねって言っていいと思うんですけど、やっぱりごめんって言われるよりは、ああ、ありがとうって言ってもらったほうが気持ちいいと思うんで、周りの人を気持ちよくさせながら、あの…、愛される生き方をして、したいなって僕は思ってて、これはやっぱり大事なことなのかなって思ってます。

どっちかというと…、けがする前は僕もこう…、我が強かったので、その研究のあれもなんですけど、どうしてこうなってるんだ、じゃあ、何でこうなったんだみたいな結構人にも求めたりとか、いろいろしているところもやっぱりあったりはしてたんで、そういうのはやっぱり駄目だなっていうのがあって、やっぱり助けてもらえるためには、やっぱり…、そうですね、他人に甘く自分にも甘く。他人に優しく、自分にも優しく、ですね。

障害学生の語り

学生相談室などに相談できるといい。相談することで、他の資源につながることもあるし、相談することは、自分の障害について理解し、得意不得意を知ることになる(音声のみ)

まあ…、できるだけやっぱり大学の、例えば学生相談室とか、保健センターとか、あとは自分の病院の先生とかに、何かこう悩んだことがあったらすぐ相談できるといいかなっていうふうに思います。

あとは、やっぱり学生時代のうちに、こう自分の障害について、こうよく理解しておくこと、自分はこういうことが、あの得意で、こういうことが苦手で、こういう配慮をしたらうまくいくんだっていうことを知っておくっていうのはすごく、会社に入ってからもすごく活きることだなというふうに思います。

――分かりました。ご自身としてはやっぱりその、ご自分のことを知ることにおいて、あの一番、いろいろあったのかなと思うんですけど、一番これは、役に立ったなっていうふうに思われることはどんなことですか。

そうですね。まあ…、うーん、まあ自分で考えたっていうとこもあるんですけど、まあカウンセリングで、カウンセラーさんといろいろやり取りしていく中で、自分の傾向について気付けたっていうことと。あとはやっぱりその…、えーと、(カウンセリングに行っていたことで紹介された)大学でやっていた(発達障害の人たちの)グループワークで、こう発達障害の人の特徴というのはこういうことで、で、こういうふうにしたらうまくいった人がいますよっていうような話を聞けたことは、自分にも当てはまるなとか、そういうふうに考えられたっていうのはあります。

障害学生の語り

メンタルのことは自分も周囲に伝えにくいとは思っていたが、それでも学ぶために入ったので、できないことはできないと伝えて自分のペースを守った方がいい(音声のみ)

やっぱりこう…、それまで、こう一日ずっとこう…、あの、働くとかなかったので、朝から晩まで学校にいると、もう疲れて、疲れて、何だろう、頭は痛くなってくるし、グループワークどころじゃないっていうか、もう。それを、なかなかこう分かってもらえない、あの、グループの人に、メンバーに分かってもらえなくて…。うん、その辺が、ちょっとやっぱり難しいなと思いました。うん。

何か、うまくいかなかったときに私、もう本当に大学院無理だからやめようと思ったんですね。で、結構みんなにも迷惑掛けちゃうし、やめようかなと思ったことも、やっぱ去年はあったんですけど。うん。まあ、本当だったらちゃんと周りの人に、あの、分かってもらって、できることとできないことをはっきり言ったほうがいいんだけど、なかなかそれってやっぱりこう、メンタルの、精神的なことだと言えなかったりすると思うんです。

なので、うん、そういうときは、まあ、指導教官とかに、仲裁に早めに入ってもらうとかもいいと思うんですけど、あの、一番はもう(周囲に)合わせ過ぎて、もう、本当にやめるしかないような状況にならないように、多少、何か周りに、まあ、誤解じゃないけど、「あの人はやらないね」って言われても、自分のペースをやっぱり守ることを優先したほうがいいんじゃないかなと思います。その人とグループワークする目的で入ったわけじゃないし、あの、卒業することが目的なので、あの、そこは、まあ、やっぱり…、同級生の関係とかは、ちょっと、うーん、悩んだりすることもあると思うんですけど、まあ、自分のできることとできないことは、もうはっきり、あの、させて、できないことはもうできないって言ってしまったほうがいいと思いますね。

障害学生の語り

最近は支援体制が整いつつあるが、支援があるだけでは自分の能力は発揮できないので、用意された支援で満足せずに、自分に必要な支援を伝えていってほしい

多分、私もそうだったんですけど、やっぱり支援体制は十分に整っていると、逆にこう自分から環境を整えていこうという気があんまりなくなっちゃう。まあ、支援者いるし、みたいになっちゃうんですけど。でも、そうじゃなくてやっぱりこう支援を有効的に使うためには、それに合わせた環境をつくるっていうのは大事だなと思っているし、で、自分からも周りに働き掛けないと結局こう支援者を介してしか周りとつながれないみたいな感じになるんですよ。
なので、そういう意味ではやっぱりこう先生とか、同じ授業を受けているクラスメートとかにもきちんとこう自分のことをちゃんと話して、こういう支援があるからディスカッションのときは1人ずつみんなしゃべってねとか、そういうお願いをもっと自分もするべきだったし、今の、まあ、学生たちにも、やっぱりそこはちょっと、もうちょっと働き掛けてみようよっていうことは言ったりします。
まあ、そこは自分の反省点でもあって、まあ、学生たちにも今後やっぱり大学とか、まあ、社会に出た後にやっぱり支援っていうツールがあるだけだと自分の能力ってきちんと発揮できない、されないので、やっぱりいかにこう自分から周りに、アプローチしていくかっていうのは大事かっていうことが分かってもらえたらいいかなとは思っています。

――ちょっと今伺った中身で、支援があると自分の能力、支援があるだけじゃ自分の能力が発揮できないっていう話だったんですけど、具体的に、もうちょっとその話を伺うと、どんなふうに、そのことは思われていますか。

うーん…、何か、聞こえないからパソコン通訳、手話通訳っていう、ただ、そういう選択にいくんではなくて、やっぱりシチュエーションに合わせても必要な支援って多分細かく違ってくると思うんですよ。まず、そういうことをきちんと考えて、自分からこういうときにはこういうふうに支援をしてほしいって言えるようにならないと、まずそこで一つずれが起きるなと思っていて。聞こえないから手話通訳どうぞ、みたいな感じではないなとは私は思っています。
で、まあ、そういうことが言えるっていうのは、ある意味、自分のニーズをはっきり自分で持っている人なので…。だから、もうそういう人って多分周りとのコミュニケーションも円滑にいっている人だと思うんですよ。何か自分のニーズを持って、さらにそれをきちんと周りに的確に伝えることができることができるっていう。
やっぱりこう仕事をしてて日々思うんですけど、コミュニケーションって一番大事じゃないですか。やっぱり、そういうところでやっぱりつまずくのが、まあ、コミュニケーション障害でもある聴覚障害なので、何、うまく言えないんですけど、何というか…、きちんと…、何か自分のニーズは何で、どういう支援をこういうふうに使ったらきちんとその場に参加することができて、かつ、まあ、自分の、何か、そう。まずその場に参加できないと能力発揮しようにもできないので、その参加するためのツールが支援だと思っていて。だから、そのツールを、いかにきちんと使うかっていうのは、うん…、大事なんじゃないかなと思っています。

障害学生の語り

これから大学に入る人は、できるかできないかより、やりたいかを先に考えてほしい。子どもたちにも、まず何がやりたいかということを、大事にしてほしいと思っている

できるかどうかより、やりたいかを先に考えられるような環境をつくりたいなと思って研究をしていますし、そう言える子供たちを育てなきゃいけないというのはずっと思って…。何がやりたいのかがないと合理的配慮が決めれないというか、そういうこともありますし、何がやりたいのかというのをちゃんと問われないといけない。

――ご自身としては、できるかできないかよりも、ご自身のやりたいっていうのを、何て言うんですかね、大事にしてきたなっていうような、そんな思いですか。

そうですね。まあ、もちろん、それは現実問題、折衝をしなきゃいけない所っていうのはいっぱいあるとは思うんですけど、基本的にはそういう感じで、できるので、そこは結構大事かなと思います。

――じゃあ、その今、例えば進学に迷っているとか、その行き先を迷っているとか、大学選択に迷っているとか、そういう、お子さんがいらしたら、ご自身としては、できることを、考えてほしいというか、そういう思いでいらっしゃる?

そうですね。具体的に何がやりたいのかっていう所を大事にしてほしいなって思います。

障害学生の語り

最近は障害学生に対する理解も少しずつ広がっているので、将来、他の障害学生が大学で学ぶためにも、諦めないでほしいと思う(手話)

最近、障害のある学生に対する理解も、まあ、少しずつ広がっていると思います。先ほどお話ししたとおり、点字データも少しずつ広がってきていると思いますので、将来の可能性もたくさんあると思っています。ですので、諦めないで大学に入っていただきたいなと思います。また、大学のほうも諦めずに相談を続けていってほしいと思います。
自分のためではなく、将来、他の人、障害学生が入ってくる人のためにも役立つことができると思います。ですので、自分が卒業した後、支援者、支援もおしまいという意味ではないと思います。(自分が受けた支援が)将来も役に立っていくことがあると思いますので、ぜひ、諦めずに進んでいってほしいと思います。

障害学生の語り

病気や障害をもちながら大学生活を送るのは不安になるし、人と違うことをするのは勇気が必要だと思う。だが一歩踏み出す勇気を持てたら、仲間が増えて輪が広がっていく

えー 、多分、今、その病気を持ったりとか、障害を抱えながら何か学校生活をしていくっていうのは本当にできるんかな、どうなんかなっていうことであったりとか、人とは違うことをしていきますんで、やっぱり勇気が要ることだと思うんですね。
そういった中で、えー、やはり自分の味方になってくれる人っていうのは必ずいると思うんですね。ただ、その味方になってくれる人を見つけるためには、自分がやっぱり一歩踏み出すっていう勇気なのかなと思うんですね。で、一歩踏み出す勇気が、1人が仲間をつくります。で、その1人が仲間ができれば、2人、3人ってやって、あと、増えていくんですね。で、そうしていく中で一個、一個の輪って広がっていくと思うんです。
ただ、私自身もそうだったんですが、勇気を出すまでに時間かかります。うん。時間かかるんですが、そのときに、えー、自分でやったら何もできないとかって思う必要はないと思うんですね。あの、必ず皆さんには力がありますので、あの、力あるっていうことを信じて、ちょっと勇気踏み出そうかなっていう心を、まあ、えー、待ってみるのも一つの方法かなと思うんですね。
で、えー、多くの方がやっているから自分もしなくちゃいけないって思っちゃうとすごくしんどくなっちゃいます。なので、少し、自分もこれやったらできそうかな、こんくらいやったらやってみようかなって思う部分から始めるっていうのが、あの、一番いいのかなっていうふうには思っていますので、ちょっとした一歩、もう半歩でもいいです、半歩踏み出す勇気っていうのが大事なんかなっていうふうには思っています。はい。