投稿者「dipex-j」のアーカイブ

前立腺がんの語り

骨シンチでは苦痛はなかったが、検査用注射液が高かった。注射した検査液が全身に回るまで4時間もかかった

あの最初、ガンマー線は当てられるっていうことで…ほらガンマー線というのは、放射線と違いまして、初めてお話聞いたわけなんですが。ガンマー線というのは、ただ放射するだけであって、そんなに痛くもないし、ただベッドに横たわっているんで。そこから一応放射されまして…ま、そういうことですから、全然苦痛も何もありませんでしたね。最初は何か苦痛あるかなと思ったんですけど(笑)。あと、その検査をするためにですね、多少の放射線を含んでいるので、例えば体調悪いとかいった場合は、その注射液を捨てるということになりますので。それはかなり高い金額なんでね。その辺は一応了解してくださいということ言われましたね。
まあ全身にわたるまで約3時間から4時間の時間を必要とすると。それは、あくまでも全部がですね、頭から足の先まで、その注射の液がですね、わたるようにということで4時間ぐらいかかりましたね、ええ。その後一応、ガンマー線を照射されまして、それで一応完了ということですね、はい。

――その4時間の間は、どうされているんですか?

病院内で、あっち行ったりこっち行ったりしていましたよ、うん。それで病院のほうから、何時までに一応来てくださいということがありましたので。その時間の10分くらい前に、そこの受ける場所にね、行きました。

――その検査は、泊まってやるものですか。それとも外来で、もうその日に。

外来です、はい。

前立腺がんの語り

閉所恐怖症なので、MRI検査の時に発狂するかもと思った。担当技師が、つらかったらボタンを押すよう笑顔で言ってくれ、安心して受けられた

あの、検査される方とか、レントゲン室の、放射線室の方とか、ものすごくこう…どういうのかな。幼稚園生をいろう(世話をする)ように、優しくて笑顔があって。特に私の場合は…閉所恐怖症なんですよ。もう図体でかいけども、駄目。もうあの、ああいう狭いとこ入ったらね。で、最終的に、何かグーッてして、狭いカプセルみたいなところに入らないかんでしょ。もう発狂するか分からんと思って、半分冗談めかして、検査技師の方、確かあの時は男の方と思いましたな。ああ、ペアで来られとったな。その方に、「ああ、ちょっとわしはもう閉所恐怖症で。途中で発狂したらどげんしましょうかいな」って話したら、にこにこ笑いながら「ああ、大丈夫ですよ。ここ、スイッチ、あなたに預けますから。もう、どーうしても辛抱たまらんっちったときは、それを押してください」って言うて。うん。そうなると、最前の話みたいに、言うてもらうと安心するんですな、うん。で、その間はしかし、もう硬直して「うーーーん」っちゅうなもんで。間違えてボタン押すんじゃなかろうかと思って、そっちのほうが自分で心配しながら。思い出したくもないけど…ああ…。もうでも、狭いとこ平気な人が大半なんでしょうけども。そういうことはありました。

前立腺がんの語り

MRIのような検査は、もっと事前に情報が欲しい。狭い場所に閉じ込められ、身動き取れない状態で大きな音で責められ、まるで拷問のよう

今、医療機器で、検査機器で、いろいろがんに関するものが検査機器でいろいろありますけども、MRIっていうのがありますね。これは大変な機械ですね。あの、中世ヨーロッパで、囚人を拷問にかける機械(笑)じゃないかなっていう。そういう…そんな感じがするようなね、機械があるんで、これもちょっとこう改善できるといいかなっていう気がするんですけども。このMRIでもなかなか、いろいろとその種類っていうか、メカによってこうバリエーションがあるもんですからね。こういったものに対する情報がね、何かこう欲しいなっていうことはね、非常に強く感じますですね。あれひどいですね、あれは。狭いところへ入っちゃって、で、ものすごい音がするじゃないですか。ガンガンガンガンガンガンとねえ。ほんで、動くとまた検査のし直しだっていうから、いわゆる狭いとこへ閉じ込められて、身動きのできない状態にされて、ものすごい音で責め立てられるような感じ(笑)。拷問する機械いう感じがします。

前立腺がんの語り

生検は確率の問題。世の中に100%という化け物はなく、運と思わなければしょうがない。あきらめるのも人生だ(テキストのみ)

組織を取ったところにはないけども、取ってないところにはあるかもしれない。それはどの生検でも同じですね。ええ。でも、それは確率の問題ですから。人生確率で生きてるんですよ。昨日まで私は元気だったんだから、明日も元気だろうというのは、単なる確率論にすぎないんです。だから、それはしようがないと思います。世の中に100%みたいな化け物はありません。獅子文六の「自由学校」という小説の中にありましたね。化け物みたいな人間はいないんだよということを誰かの言葉として言っていたと記憶しています。だから100%診断できる医者はいませんし、その何%かの診断から漏れたら、それは運と思わなければ、しようがないのでは? どっかで、あきらめるということも人生ですよね。

前立腺がんの語り

生検は医師によってやり方が違うし採取する数も病院によって違うらしい。どれくらい採取するのが適当か、決まっているといいと思う

生検というのは、お尻の穴からこう見て、針を前立腺に差し込んで組織を採るんですけども、まあ先生によってだいぶやり方も違うんですよね。私が一番最初やったのは、ものすごい格好、こう足を上げてから、ねえ、すごい格好で、こうやって。次やったときはこう寝てて、すぐ横からひゅひゅっと浣腸するような感じでやったんですよね。もう先生によって、だいぶ違うし、また考え方もいろいろとなって、僕の場合は6カ所、同じ病院ですから、6カ所って決まっているみたいなんで、そこの病院はね。病院によっては、10カ所とか、10何カ所とか、あるいは何十カ所やる先生もいるらしいんですよね。だから、そこら辺がよく分からないですよ。でも、あの、だから、僕が6カ所やって。先生に「何カ所やるんですか」ったら、「6カ所」って。「10何カ所やる病院もありますけど」って言ったら、「6カ所で十分だよ」っていうかね、言うんでね。まあそう言われると、「まあ、そうですかね」って言うしかないんですけども。何かそういう、決まりっていうか、何かもっと医者同士が話し合って、何カ所がいい、適当かどうかぐらい、決まっていてもいいかなと思うんですけどね、ええ。まあ、取り逃がさないっていうことを単純に考えればね、多いほうがいいっていうことにもなるんですけど、100、どこか100カ所もやったとかいう、そういうまあ外国の話があって、そんなことしたらぶつぶつになっちゃいますね、体ね。思いますよね。でも、6カ所でも見つかるときは見つかるし、10何カ所でやっても見つからなくてっていうこともあるし、そのまあなかったんだからって言えば、それなんですけども。

前立腺がんの語り

同じ生検標本なのに、オーストラリアでは5個ががん、日本では2個だけと言われ、病理診断の見解の違いに衝撃を受けた

その時点で先生にお願いしましたのは、「オーストラリアでの生体検査の病理見解と、その総合病院での病理見解が同じであるかどうかということを(確認を)お願いします」ということを申し上げました。で、1週間後ですが、同じ先生のとこ行きますと、私にとっては非常に衝撃的だったですが、15細胞から5個のがんが見つかったと申しましたが、そこの総合病院では「5個のうち2個はがん細胞だが、あとの3つの細胞は、がん細胞かどうかは、もう少し検査が必要だ」と明確に言われまして。「ああー、15細胞のうち、細胞が、2細胞だけががんなのかな」と。そのときの気持ちは今も忘れませんが「がん細胞がオーストラリアと日本でも、こんだけ違うのかな」というのが、私の心の中には大きな衝撃となりました。従って先生に「どうしてそういうことが起こるんですか?」ということを聞きますと、やはり細胞見るのは病理医の先生だと。要するにコンピュータじゃなしに人間の目ですると。説明を受けまして、「ああー、そうなんだ」ということを、非常に…今申し上げましたように、衝撃的な気持ちで受けまして。

前立腺がんの語り

検査担当者や病院によって悪性度が微妙に変わることがあると聞いている。結果的に2つの病院で検査を受けてよかったと思う(テキストのみ)

――グリーソンスコアが、一つの病院ともう一つの病院で変わるというのは。

あ、それはね、病院の病理学者がやりますよね、検査。その人の判断でね、微妙にこう違うところ、違うんだそうですよ、病院によって。で、ある病院では、これはこうだと、3だと。で、ある病院は、おれはこのがんはね、4に値するという。その病理学者の判断によって微妙に違うことは、変わることはあるんだそうですよ。で、向こうは、そうだっていうからね。だからまあ結果的にはね、両方やったほうがよかったのかもわかんないです。

前立腺がんの語り

PSA値は高いのに、生検を受けても「がんではない」と言われた。1年後に再検査と言われ「がんだとしたら1年も持つかなあ」とひどく不安だった

会社を辞める折に健康診断を受けて辞めることになっていたんで、一応受けると(PSA)数値が34ぐらいあったんかな。それでお医者さんに…病院に行って調べてもらったところが「何もない。何もないじゃないけど、がんではない」言われて、数値が高いのに「がんではない」と言われたから、これは非常に不安に思いました。それからまた「あと1年先」って言われたんで「1年もがんじゃったら持つかなあ」とも思いましたしね。
始めの1年が一番えらかった(大変だった)。うん、もう不安。何にもわからん。それが検査がね、ほんまに不思議なんじゃけどな、CT撮ったりいろんなことをして、それから調べてくれたんですけれど…。
お尻からね、針を3カ所ぐらい、肉かなんか知らんが採って「これ、ありません」言うて見せてくれたんじゃから、先生が。そやから不思議に思うて、そこまでさせられてありませんから言うて、前(PSA検査)とったところへ、紹介状書いてくれたところへ、また持って行ったんです。「ありません」言うて。「先生なかったですよ」と。「おー、不思議だなあ」って言われたんじゃけど。うん、そやからもう1年間ぐらいは、ほんまにもう誰にも言えんぐらい、いろんな薬も、ようけ飲んだしなあ。もう1カ月1万円ぐらいの薬をずーっと(笑)買ってね、色んなのをな。あれが早う見つかっとったらな、あれもっと楽になったわ、うん。
それは一番初めに、先生が言われたもん。「34だったらこれ、がんじゃよ」言うて。「間違いねえ」って言うたの。「だから、はよう行かないけん」言うて。うん、それで行ったらまあ1週間ほどでね、調べてもらって、いろんな検査して調べてもらったら「ない」言われたから、これはもうほんまショック。「ほんなら(見つからなかったと)書いてくれ」言うて「ない」いうて持ってったん、向こうへ。あれはショックやった。

前立腺がんの語り

PSA値はグレーゾーンで問題なかったが、生検で非常に性質の悪いがんと言われて絶望的な気持ちになった

例のPSAの腫瘍マーカーの数値っていうのはグレーゾーンですから、全然問題なかったんですよ。ところが、いわゆる顔つきっていうのがあるじゃないですか、がんにはね。あれの場合には、前立腺がんの場合には、グリーソンスコアとかっていう、GS、GSっていうふうにいってますよね。10点満点でそれが9点だっていう、非常にこう…悪質の、質(しつ)の悪い、まあ未分化、分化度が低いっていうんですかね。何か、高い低いっていうふうにいわれると、こう低い方がよくて高いほうが悪いように聞こえるんですけれども。分化度っていうのはどうもこう、低い、低分化、未分化のがんっていうのは質(しつ)が悪いらしくて。それで大変…そのときに大きなショック受けましたですね。ですから最初に「あなたはがんですよ」って言われた…「がんかもしれないですよ」っていうふうにこう言われたときには自分自身、非常に健康状態が良かったもんですから、何でもなかったんですけれども。その結果を聞いて、しかもその、顔つきの悪いがんだと言われたときには、もう絶望的な気持ちになりましてねえ(笑)。もう本当にいいのかな、大変なことになっているなと思っちゃったんですね。

前立腺がんの語り

生検結果でwell differentiated(高分化という意味)とあるのをみて、ステーキの焼き方みたいだと言った。がんでもいいほうだと言われた

そして、いよいよその結果を聞く日ですけど、主治医の先生がね、私に何と言ったかな? …病理細胞検査、病理細胞検査表だったかな、なんかそういうような名前の報告書を私に見せてくれまして。そして私がひょっとこう見たら、病名のところはずっと、というか内容のことは英語で書いてあるんですが、Adenoというスペルが最初出てきたんです。これはあかん、私のかじりかけた英語の中で、そういう言葉っていうのはどうもがんに類するあれ(単語)だと、直感的に思ったんです。そうしてあとにwell differentiatedというのが出てて。そうするとなんとなしにまあ、単語の個々の意味はわかるが、医学的にはどういうのかよくわからなかったですが、先生が「あなたは、前立腺にできた、well differentiatedっていうのは高分化と言います」と「高分化の腺がんです」と。「高分化というのは、やさしく言うと、いわゆる、そのところにある細胞のそのものの姿がかなりたくさん残っている」ということで。まあ高分化の反対はpoor differentiatedと。「ステーキの焼き方みたいですね」と先生にちょっと言ったんですけど(笑)。そのpoorになるともうずっと変形しちゃって、あるんだと。中間がなんと言ったか知りませんが、中間と3つぐらいに分けるんだと。外国ではもっとこういくつにも分かれているけど、そういう分け方はあるけど、まあ日本ではこの3つに分けると。そうすると、あなたの場合はまあ、高分化のがんだから、まあまあ、がんはがんでもいいほうなんですと。こういうふうに話をされまして。まあ、いわゆるがんと、こういう風な宣言を受けました。