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インタビュー時:51歳(2010年7月)
関係:妻(夫を介護)
診断時:夫57歳(インタビュー本人04)、妻47歳

2006年に夫が若年性アルツハイマー型認知症と診断を受ける。夫婦2人暮らし。介護者は自宅介護をする傍ら、週の半分は家族の会の電話相談や講演活動を行う。夫は発病後、週3回有料老人ホームで入浴介助などの介護の仕事をしており、やりがいを感じ、利用者に必要とされていることを喜んでいる様子から、有り難い仕事を与えてもらったと嬉しく思っている。現在、介護に関する公的サービスは利用していない。

語りの内容

あの、夏場はまあ、Tシャツなど、こう、1枚着るだけでいいんですけども、冬場になると、セーターやシャツ、何枚か着ますよね。そうしたら、いつも、あの、置いておくと、まあ、ぱーっと着てたんですけど、ある日突然、どれを着ていいか分からない、1番に。「えっ?」とか思ってですね。あの、そうすると、彼が「僕はあのー、どれを着ていいか分かんないので、あの、ハンガーに番号を書いてくれ」って言われたんですね。んで、ハンガーに1、2、3っていうふうにそれぞれ書いて、えー、そこに、着る順番に服を、こう、掛けておいて。で、ちょっとはそれで着てたんですけども、今度、その、1番、2番、3番とか、ちょっとした瞬間に、そのハンガーがちょっと、2番が落ちたりとかすると、もう分かんなくなっちゃうんですね。前まではそれが、こう、分かっていたのに。だから、本当に急に、何かこう、本人にとってその状況がぱっと変わってしまうと、うん、あの、受け入れられなくなってしまうことがね、そういったことがあったりとか。
何が起こってくるかっていうのは、何か全然、予想が、あの、できないんですけども。でも、でもですね。できるようになる時もあるんですね。急に今度は突然、以前できなかったことができるようになったりとか。で、今日もそうだったんですけど、ネクタイが、36年間締め続けたネクタイが、ある日突然できなくなったんですよ。「えっ、ちょっとこれ、何かおかしくない」とか言って、言うので、「ああ、ちょっとここ違うね」って言って、もう、もう、その感覚がもう、ずれてしまうと、もうできないんですね。だから、まあ、ネクタイとかも、頭よりも、こう、手で覚えてるんですけども、その感覚がもう、ちょっとずれてしまうと分かんなくて。もうずっと、わたしが、こう、ネクタイをこうしてあげてたんですけど、それがまた、今日突然、わたしが「ネクタイするよ、あと、わたしがね、こうしたら、ここに、首に、こうかけたら、わたしがあとするからね」って。ふと、わたしがこっちで何かをしてる間に、「どう」って見せてくれて。ばっちりできてたんですね、100%。「すごいじゃない」って言ったら、「そうやろ、やればできるんだよ」っていうのがね、本人の中で、もう自慢、もう、ほんとにうれしい顔でね。

私は: です。

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