認知機能の変化:記憶・時間・空間・言語など|認知症の語り

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NPO法人 健康と病いの語り ディペックス・ジャパン > 認知症の語り > テーマ別 > 認知症の症状とどうつきあうか > 認知機能の変化:記憶・時間・空間・言語など

認知症の語り

認知機能の変化:記憶・時間・空間・言語など

認知症の症状は「中核症状」と「BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia:認知症特有の行動・心理症状)」の2つに分類されます。中核症状は脳の機能が低下することによって起こり、認知症になると誰にでも現れます。一方、BPSDは、生活や環境、生活、周囲の人とのかかわりの中で起きてくる行動や心理の症状で、以前は、「周辺症状」と呼ばれていました。人それぞれ現れ方が違うのが特徴です。ここでは多くの認知症の方に共通してみられる中核症状にまつわる、認知症本人や介護家族の方々の語りを紹介します(周辺症状については「心配の種:お金・火の元・運転・触法行為」 「日常生活の障害:排泄・食事・睡眠など」 「「徘徊」と呼ばれる行動」 「対応に困る言動:不穏・暴力・妄想」 をご覧ください)。また、幻覚や認知機能の変動など、「レビー小体型認知症に特徴的な症状」 については別のページにまとめてありますので、そちらもご参照ください。

記憶障害

認知症の典型的な症状の一つが記憶障害です。誰しも年を取ればある程度もの忘れをするようになりますが、認知症によるもの忘れはそうした「うっかり」の範囲を超えて記憶が欠落し、日常生活に支障を来すようになります。私たちのインタビューでは、スーパーで買い物をレジ袋に詰めるとき、台の上の自分が買ったものと他の人の買い物とが、区別がつかなくなってしまったり、職場で部下に指示を出すのに1時間前に言ったことと全く違うことを言ってしまったりするというエピソードが語られていました。ご本人は自分のもの忘れに気づいて強い不安とストレスを感じることがあり、それを見守る家族も切ない思いをしています。その一方で、ちょっとしたことは忘れてもいいと割り切っている認知症の方もいました。

母は意識がはっきりしているときは、自分のもの忘れがひどいことに気づいて、長生きしてもみんなに迷惑をかけると落ち込んでいた
周りからは忘れっぽくなったと言われるが、自分では自覚症状がない。ちょっとしたことは忘れてもいいと思わないと、頭の中が整理しきれなくなってしまう(音声のみ)

こうした記憶障害を持つ人とのやりとりで周囲がイライラしたり、本人がパニックに陥ったりするのも、ちょっとした工夫でかなり緩和されたと話す介護者もいました。

夫が待ち合わせ場所を間違えたり、財布や定期入れを置き忘れたりするのに、初めはイライラしたが、今はメモを渡したり物を置くトレイを用意したりして対処している(音声のみ)

時間認知の障害

さらに記憶障害と関連して、時間の認知機能に障害が出てきます。町内会の役員を務めていた60代の男性は、町内の行事の日程がわからなくなってしまったため、周囲の人々とトラブルが相次ぐようになりました。

夫は町内の行事に日にちを間違えて出かけようとし、他人の家のカレンダーや新聞の日付が間違っていると言い張って迷惑がられた(音声のみ)
時間の感覚が飛んでいる妻は、週2回のデイサービスの日がわからず、毎朝午前3時ごろに出かける支度をする。「行くときは教えて上げるから」と言ったら安心した

時間認知の障害は必ずしも記憶障害がある人だけに生じるものではないようです。記憶障害はほとんどないという若年性レビー小体型認知症の女性は、過去に起きた出来事については覚えているのですが、それがどのくらい前のことかがわからないそうで、そのことを「時間の距離感がつかめない」と表現しています。

過去にあったできごとが3日前なのか1週間前なのか1か月前なのかがわからない。それは時間の距離感がつかめないような感じである

こちらの若年性レビー小体型認知症の女性も、今日が何月何日かは分かるが、過去に起こった出来事がいつのことか、夢が現実なのかも判断がつかないため、手帳に今日起きたことやこれからの予定は欠かさず書くようにしていると話しています。

また、この女性は、時間の深さが分からなくなったように、1個と10個の差も分からなくなったそうです。

時間の深さがわからない。夢で見たことも、現実に起きているのと同じように感じる。数も「1」と「10」の違いが分からなくなった(テキストのみ)

空間認知の障害

また、空間認知にも変化が生じる場合があります。物と物との距離や位置関係の把握が難しくなってきたために、字がきれいに書けなくなったという若年認知症の女性は、自宅のトイレの場所がわからなくて浴室やベランダに出てしまうこともあるそうです。同じ若年認知症を患う男性は、一時、広いオフィスの中での移動が難しくなったことを話していました。空間認知障害があると、車の運転も難しくなり、路上で左右に偏ったり、車体をこすったりすることもあります ( 「心配の種:お金・火の元・運転・触法行為」 を参照)。また、時間の認知機能が障害されることとも関連しますが、時計が読めなくなる人もいます。私たちのインタビューでも、アナログ時計が読めなくなったので、デジタル時計に変えたが、それも次第に難しくなった、と話していた介護者がいました。

ボランティアに行っていた介護施設の職員から妻が字を書けなくなっていると言われ、家で便箋に書いた文字を見てみたら四角の升の中に収まっていなかった
今は何ということはないが、自分のオフィスの中を移動するのに「俺はどこからどこまで歩かないといけないのか」という感じを持ったことがある

嗅覚(臭覚)・味覚障害

認知症の比較的初期の時点で現れる症状の一つが匂い・臭いがわからなくなる嗅覚(臭覚)障害です。匂いがわからなくなると、味覚にも影響が出ます。若年性レビー小体型認知症の女性は、匂いが全くわからなくなって料理をするときに困るようになったと話しています。ただ、その後アロマオイルの匂いがわかる程度に回復したこともあり、波があるようです。

匂いがわからなくなるのは記憶障害の前触れと思っていたのでショックだった。味もわからなくなり料理にも困る。いい匂いを他の人と一緒に楽しめないのはさみしい

関係性認知の障害

記憶障害も始めのうちは少し前に起きたことを忘れる(短期記憶障害)だけですが、次第にもっと昔のことも思い出せなくなってきます。そういう中で家族の名前や関係性についての記憶もあいまいになってくることがあります。介護する人にとっては、認知症の人が家族のことがわからなくなってしまうのは悲しいことです。それをあえて笑い話にして語ることで、その悲しみと折り合いをつけているように感じられるエピソードがありました。

正常圧水頭症の夫に「あなたはこの家のどういう存在ですか?」と聞かれ、「赤の他人の口うるさいおばさんだと思ってた」といわれた(音声のみ)
以前は母が警察官だった父の給料が安かったという愚痴を繰り返すのが嫌だったが、次第に父のことも忘れて法事にも行かないと言うようになったのはちょっと悲しい

実行機能障害

ついうっかり、火をつけっぱなしにしたり、水を出しっぱなしにしたり、というのは健康な人でもたまにはあることですが、認知症の人は家事や仕事を順序立てて効率よく行うことが全般的に難しくなってきます。レビー小体型認知症の母を介護する女性は、ピーマンの輪切りの味噌汁やごぼう尽くしの食卓など、母が一生懸命作ってくれる一風変わった料理を父と二人で困惑しながらも食べている、と話していました。

たくさんの食材を使って調理しようとすると疲れて座りこんでしまうこともあるが、夫にきちんと食べさせなくてはいけないという役割意識は強い(音声のみ)

さらには、顔を洗うとか服を着るといった、それまで特に考えなくてもできていたような単純な動作ができなくなることもあります。今では寝たきりになってしまった若年認知症の父を持つ娘は、まだ自分で衣服の着脱ができていた頃は、なるべく自分でやれるように、必要なところだけ手伝うように気遣っていたと話していました。

厳格だった父は娘の前ではいいところを見せようとしてかえって混乱するので、父の視界に入らないようにして見守りタイミングよく手伝うようにしていた

人によってできること、できないことの内容・程度や、それらが現れる順序はさまざまで、できるときとできないときがあったり、ひとつのことができなくても、ほかのことはきちんとできていたりすることがあります。

60代でアルツハイマー型認知症の診断を受けてアリセプトを飲んでいた男性は、一人暮らしで、食事も車の運転もできていたのですが、ある日頭や体に石鹸をつけたままお風呂から出てきたので、家族は驚いてしまったそうです。次に紹介する若年認知症の男性の家族も、それまでできていたことが突然できなくなったり、再びできるようになったりして、全然予想ができない、と話しています。

若年認知症の夫はある日突然セーターやシャツを着る順番がわからなくなり、ネクタイも締められなくなったが、今日は一人で締められたので本当に嬉しそうだった

失書・失読

また、難しい漢字が書けない、というのも健康な人によくあることですが、その場合は書けなくても、知っている漢字であれば読めないということはありません。認知症の人たちは、字が書けなくなるだけでなく、次第に読めなくなっていくこともあります。

夫は月に1回、家族と一緒にカラオケに行って歌っていたが、次第に字幕が追えなくなり、そのうち字幕がどこにあるかもわからなくなったので、行くのをやめた

失語

「書く」「読む」といった文字言語に関わる機能の障害のほかに、「聞く」「話す」という音声言語についても機能の障害が出てきます。アルツハイマー病では特に名詞が出て来なくなって、「あれ」「それ」などの代名詞の繰り返しが増えていきます。若年認知症で休職中の大学教員の妻は、社会とのつながりを失うことが、症状の進行につながったと感じていました。

大学教員の夫は休職して、社会とのつながりがなくなったら、目に見えて言葉が出にくくなり、会話が成り立たなくなってきた(音声のみ)

2017年4月更新

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