インタビュー時:56歳(2012年8月)
関係:妻(夫を介護)
診断時:夫58歳、妻53歳

診断される1年ほど前から夫の異変を感じていたが、2009年に前頭側頭型認知症と診断される。夫と介護者、娘と息子の4人暮らし。その後、夫はコンビニなどのトイレからトイレットペーパーを持ち帰ることが続き、2012年警察に保護されたこともあった。なるべく夫の習慣に合わせて対応を工夫してきた。現在は若年性認知症の人を受け入れるデイサ-ビスに週5日通っており、夫に合った対応をしてくれているので、嬉しく思っている。

語りの内容

基本的には、結構理屈っぽかったり、筋を通さないと気がすまなかったり、そうですね。情よりも知のほうみたいな感じだったと思いますね。……あ、今は、しょっちゅう何かにつけて「愛しているよ」って言うんですね。でも、わたしが無理やりつかまえて、シャワーをお風呂場でわぁーっとかけていると、「ああー」って反抗しながら「ママ愛してるよ」とか言うんで、「ちょっと待って」って。最近は、ちょっと、その大あばれを封じるためにふっとね「わたしを愛している?」って聞くと「愛している」って言うんで、びしょ濡れのままで。「あ、じゃ、いいわ」っていう感じで(笑)。何か、今朝も笑いながら、ご機嫌よくて「愛しているよ」って「ママは僕のこと愛しているの?」って言うから、「いやあ、どうかしら」とかね、「どうにかこうにか」とかね、いろんなね、「しょうがないし」とかいろんなこと言ってて。「え、それはどういうことだ」とかいろいろおろおろしたりしていますけども(笑)。すごく、何か、そういうことを簡単に口にするようになったんですね。何か、人をほめたいのかなあって、うーん。

―― それは、今まではなかったんですか。
そんなことなかった。愛なんて言葉、全然言わなかったですね。それとか、「普通、夫婦は、愛情があるもんだよね」とか言うんですね、今、今でも。「で、僕らは、誰の紹介で知り合ったんだっけ」とかいろいろ言うんですね。だから、すごく、「愛し合っているから夫婦になったんだよね」とか。ほんとに何か単純になってきている。ストレートっていうんでしょうかね。絆というのか。「子どもたちもかわいいしね」とか「2人ともかわいいね」「長女と長男の名前は、誰がつけたんだっけ」とか、ほんとに原点にかえっているような。

私は: です。

(アンケート結果の扱いについては個人情報の取り扱いについてをご覧ください。)

認定 NPO 法人「健康と病いの語りディペックス・ジャパン」では、一緒に活動をしてくださる方
寄付という形で活動をご支援くださる方を常時大募集しています。

ご支援
ご協力ください

モジュール一覧