ICU(集中治療室)での経験
心不全は慢性的な心臓の状態ですが、急に悪化した時や、心臓に関する手術後には、集中治療室(Intensive Care Unit:ICU)に入室して治療を受けることが多いです。
ICUは、生命の危機に瀕した重症の患者に対して、24時間を通じた濃密な観察のもとに、先進医療技術を駆使して集中的に継続的な治療・管理を行い、より効果的な治療を施すことを目的とした場所です。
疾患により専門化されている医療施設もあり、心臓血管疾患集中治療室は、 CCU (Coronary Care Unit)と称し、 重症の循環器系疾患を集中的に治療しています。
ICUやCCUは常に医療機器が作動し、医療者も多く配置されて、観察やケア・治療・処置が多く行われ、一般病棟と療養環境が異なります。
ここでは、急性の心不全や、心臓に関連する手術後の経過管理のため、ICUに入室した方の経験を紹介します。
ICUという環境
ICUには窓がないところが多く、夜は少し暗くなるが、昼夜を通して電気で明るいので、時間の感覚がないとか、一般病棟に移ってはじめて太陽が見えて感動したと語る人もいました。
また、プライバシーが守られず、恥ずかしい思いをしたと語っている方もいました。
スペインに留学中、ICUで治療を受けた男性が、日本とスペインのICUと一般病棟との違いについて語っていました。
生きて帰ってきた実感
心臓の手術を経験して、ICUに入室した方は、目が覚めた時、家族の面会があった時に、生きて帰ってきた実感を味わっていました。また、カーテンでしか仕切られていないので、ほかの人々の声が聞こえるけれど、大声で泣いている赤ちゃんの声に励まされたという経験を語っている方もいました。
苦しい体験
手術後の治療では、呼吸を助けるために気管内にチューブが入り、無意識のうちに動いてチューブなどを抜かないように手を紐で縛られて動かせないこともあります。
次の方はナースとして働いていたのでICUの状況を頭では理解できていましたが、初めてのICU体験がどれほど苦しかったのかを語っていました。
気管内のチューブが入っているので、声を出せず、助けを求められずに苦しかったと語る方、筆談でコミュニケーションをとったがうまく書けずにもどかしかったという思いを語っている方もいました。
せん妄の体験
ICUでは、せん妄状態になる方もいます。せん妄とは、急性に発症し、一時的に頭が混乱したり、現実との区別がつかなくなったりする状態です。
人や場所が分からなくなる(混乱)、幻覚(見えないものが見える)、急に怒ったり不安になったりする、点滴を抜こうとしたりベッドから降りようとしたりする、などがあります。
ICUでは、睡眠リズムが乱れる(昼夜がわからない)、音や光で落ち着けない環境、強い薬を使う、長時間身体を動かせない、不安・ストレス・恐怖の体験などの理由で、せん妄が起こりやすいと言われています。
せん妄は多くの場合一時的なもので回復します。
せん妄の状態で経験する内容は人によってそれぞれです。そのような時の医療者の対応についても語られていました。
スペインに留学中に心臓手術を受けた人は、勉強中の出来事が夢のような形で現れたと話していました。
医療者の対応
ICUでの医療者の対応についての感想は、人によってさまざまです。丁寧に対応してくれた人もいたと語っている人もいましたが、テキパキと対応している姿が患者さんにはツンツンしているように映ることもあったようです。
患者さんは心が弱っているので優しくしてくれるのがありがたいと語っていました。一方、医療者の個人的な話題のおしゃべりが聞こえてきて、とても不快だったと語った方もいました。
看護師の対応については、そばにいて優しく声をかけてくれたことが大事だし、とてもありがたかったと語っている人もいました。一方で自身が看護師であった方はその対応を経験して、看護師の教育などについても色々考えさせられたと語っていました。
家族の支え
ICUでは一般病棟に比べて面会時間が短いことが多いですが、その中でも、家族の面会がインタビューを受けた方の療養を支えていたと語っていました。
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ICUで食べ始めるのはスペインの方が割と早く、医師が患者にメニューの希望を聞いてくれて、オーダーメードなのでびっくりした
ICUで目覚めて「ああ生きている」と感じたが、両手は縛られ息も咳もできず、助けてという声も出せず、とにかく苦しかった
