食生活と水分摂取・活動
多くの人が医療者の指示、病気になったことによる身体の変化や制約、自身の病気に対する認識や知識によって、飲食や活動が変化したと話しました。
変化を受け入れた気持ちや、新たに生活の工夫について話した人たちがいました。
食生活と水分摂取
体に多くの食塩がとり込まれると、体内のナトリウムの濃度が高くなり、これを薄めようとする作用が働いて、水分の排出が妨げられます。
このために血液量が増えて、心臓に負担をかけたり、むくみの原因の1つとなったりします。
(心臓血管研究所 附属病院「心不全になると塩分制限が必要なのはなぜ?」をご参照ください)。塩分や水分の過剰摂取は悪影響になりますが、個人の適正量を医療者と確認しながら、適切に摂取することが必要です。
私たちのインタビューでも多くの人が心臓病の再発を防ぎ、心不全を悪化させないための塩分や水分の制限について話しました。
心筋梗塞から心不全になった人は、以前は全く自炊をしていませんでしたが、治療後は減塩の調味料や食品を使って、塩分摂取は1日6グラム以下で生活しているそうです。
一方、退院直後は厳格にやっていたが、徐々に日常に戻り、家族のためにもなるべく薄味にしていると話した人もいました。
次の人は外食でもお店の協力で塩分制限が出来ていると話しています。
水分量にまつわる体験は多様でした。
翌朝のむくみが、1日の水分量のバロメータになると話した人がいました。
内科医から言われて1日800ccに水分を制限している人は、お水を我慢する苦しさもあるが、足が象のようになる苦しさもあり、水を制限した方がいいということになったと話していました。
一方、次の人は自分で身体の具合を見ながら水分を摂取しているそうです。
心臓病の治療に使う薬が、食事に制限を加えることがあります。
不整脈や心臓の弁の手術後に血が固まりにくくするために使うワーファリンは、納豆などのビタミンKを多く含む食品を食べると薬の効き目が変化するため注意が必要です。
弁膜症で手術する場合、機械弁と生体弁があり、機械弁だと生涯ワーファリンを飲み続けなくてはいけません。
納豆好きの男性が食べたいものが食べられない葛藤について話しています。
活動
心機能が低下すると日常生活や身体活動に影響が出ます。
私たちのインタビューでは個々の状態に応じて運動や身体活動に関する多様な語りがありました。
心不全になると少し動くだけで息切れがしたり呼吸が乱れたりすることがあります。
そのため、以前は動くと心臓に負担をかけ、心不全を悪化させてしまうと考えられていたときがありました。
しかし、今日では病気の回復に応じた適切な運動が自覚症状の軽減や再入院の予防、生命予後の改善につながることが科学的に証明されており、心臓リハビリテーションに参加して積極的に治療としての運動療法を行うことが推奨されています。
詳しくは特定非営利活動法人心臓リハビリテーション学会の「心臓リハビリって何?」をご覧ください。
先天性の心疾患を持つ人は、やれる範囲で身体を動かしていた子供時代をふりかえり、親が制限して体を動かさなくなっていたら、病気は余計進行してしまっただろうと話しました。
*先天性の心疾患にも様々な種類があり、一概に当てはまるものではありません。
心臓病の状態によっては、運動や日常生活での身体活動が出来ないこともあります。
運動療法の他にも、多くの人が自分に適したやり方で、心不全になってからも日常生活での身体活動を再開していました。
認定 NPO 法人「健康と病いの語りディペックス・ジャパン」では、一緒に活動をしてくださる方
寄付という形で活動をご支援くださる方を常時大募集しています。

心臓に負担をかけないため、塩分1日6~7g、水分一日1.5ℓという生活をしている。摂りすぎると体調や体重に響く
塩分を摂るとむくむので、すし屋では醤油を使わず、塩をつけないマイおにぎりを持参するなど工夫している
水分の摂り過ぎはいけないと言われるが、自分の場合赤血球が多いドロドロ血なので、さじ加減が難しい
ワーファリンを飲むと納豆を食べられなくなると聞いて、医師に「納豆を食いたい」と訴え、治療法を相談した
運動の程度で脈拍を測り、これくらいのしんどさでこれくらいという物差しを幾つか持って、活動の目安にしている
