ペースメーカ

心不全の原因の一つに心臓のリズムが乱れる不整脈があり、その治療のためにペースメーカを入れることがあります(専門家の解説ページ「心不全とは」もご参照ください)。
ペースメーカは「心臓の調律師」とも呼ばれ、心臓を人工的に電気刺激して心臓を動かす医療機器のことです。
ペースメーカを入れた人の多くは不整脈の心配から解放され、日常生活を送っています。
詳しくは、一般社団法人日本不整脈デバイス工業会「ペースメーカとは」をご覧ください。

ペースメーカ・ICD・CRT-Dを入れるということ

インタビューに協力してくださった方の中でペースメーカを入れている方は、9人いました。
次に紹介するのは、60歳代の女性が不整脈に気づいてペースメーカを入れるまでの語りです。

別の不整脈の治療機器として約30年前に登場した植え込み型除細動器(Implantable Cardioverter Defibrillator= ICD)も小型化され、タイプも増えて進歩しています。

ペースメーカは主に脈が病的に遅くなる徐脈などの不整脈の治療に、ICDは脈が速くなる頻脈で危険度の高い心室細動という不整脈の治療に用いられます。詳しくは、一般社団法人日本不整脈デバイス工業会「ペースメーカとは 」「ICDとは 」をご覧ください。

ICDを装着した人は、ICDが作動した時の経験を語っています。

薬物治療と外科的治療の中間に位置する『両室ぺーシング』というペースメーカを応用したCRT(心臓再同期療法)という新しい治療法が、1994年に欧米の学会で紹介されました。
日本では 2004 年に保険が適用となり、重度の心不全患者さんのQOL(生活の質)を向上する画期的な治療法として普及が進んでいます。
CRT-Dは、CRTとICD(植込み型除細動器)の両方の機能を併せもつ医療機器で、CRTの機能により心不全を改善しながら、同時にICDの機能によって危険な不整脈による突然死を防ぎます。
一般社団法人日本不整脈デバイス工業会「CRTとは 」を参照してください。

CRT-Dを装着した人の語りを紹介します。
この方は、27年前に通常のペースメーカを植込みましたが、なかなかうまくいかず、7回も手術をした結果、CRT-Dを植込みました。

ペースメーカの点検・管理

ペースメーカは医療機器なので、動作確認やリード線の異常の有無などの定期点検が必要です。点検時に、バッテリーの残量を測ることで電池交換の時期も判定します。
電池交換の時期については、心機能やペースメーカの種類、その人の状態でのペースメーカの作動状況によって異なります。
ペースメーカの機器の会社の人や臨床工学技士が点検に立ち会うこともあります。

機器の点検と共に、心電図検査や血液検査、心臓超音波検査など(必要な検査は人によって異なります)の心臓の機能の定期検診も不可欠で、通常、機器の点検と同じ日に行われます。
2か月、半年、1年に1回など、検診の頻度は合併症の有無などで人によって異なります。
以前、半年間検診をしないでいたら、心臓が大きくなって心不全を起こしていた経験のある人は、定期検診の間隔を2カ月半に1回にしたと話していました。
検診の結果によっては、ペースメーカの心拍数の設定などの調整も必要になります。

ペースメーカがサポートする心拍数は、上限、下限の回数が設定されています。自分なりの日常生活を続けながら、ペースメーカの設定を変えてもらった経験を語っていた人もいました。

生活上の注意事項

ペースメーカを入れると、運動の制限、感染への注意、CTなどの検査時、携帯電話、息切れ時の対応など、常に様々なことに注意が必要です。

ペースメーカは皮膚の中に埋め込まれており、そこからリード線が心臓の内側にある心筋につながっています。リード線からの感染はペースメーカの機能に支障が出るので、注意が必要です。
犬にかまれたことが感染のきっかけになった経験を持っている方もいました。
一般社団法人日本不整脈デバイス工業会パンフレット「ペースメーカ・ICDをご利用のみなさまへ」を参照してください。

ペースメーカは継続的に作動する装置です。
私たちの生活圏を飛び交うさまざまな電磁波による電磁干渉の影響を受けることでその動作に異常をきたす恐れがありますが、その影響の程度は一概にはいえません。
CTスキャン、MRIなど電磁波が発せられる検査などを受ける際は注意しましょう*。

*心臓植込みデバイスの機種によってはMRI検査、体脂肪率検査、胸部CT検査、マンモグラフィ検査などを受けられないことがあります。しかし、最近では、条件付き MRI対応のペースメーカだけでなく、ICDや CRTでもMRI対応の機種が使用可能になりました。

その他の電磁波の影響についても、注意が必要です。
携帯電話については以前ほどその影響は強くないと言われていますが、操作時はペースメーカまたはICDの植え込み部位から15㎝離す、通話時は植え込み部位と反対側の耳に当てるなど、15㎝離して通話するように厚生労働省から情報(「電波の植込み型医療機器及び在宅医療機器等への影響に関する調査等」 報告書 p.33)が発出されています。

その他にも、ペースメーカを入れている方は、日常生活の様々なことに注意をしていく必要があります。一般社団法人日本不整脈デバイス工業会の「ペースメーカのはなし」の中の「生活のはなし」「付記」を参照してください。

ペースメーカの受けとめ

ペースメーカの受けとめについて、最初は嫌だったと語る人もいました。
また、医師に任せていたので、嫌という思いが無かったが、一生入れておかなくてはならない、もと通りにならないと考えてしまい絶望感を持った人もいました。
しかし徐々に気持ちを切り替えていったと語っていた人もいました。

ペースメーカを入れている時の感覚について、最初は体の中に異物がはいっているという抵抗感があり、局所的な違和感があったという人もいました。
最初は、ペースメーカを入れていることは、眼鏡や補聴器、入れ歯と同じような感じかと思っていたが、実際に入れてみるとそんな簡単なものじゃないと分かったと語っていました。

ペースメーカのおかげで長生きできたので、何物にも代えがたく大切なもの、と認識している人もいました。

ぺースメーカと共に生きることについて、植込み前にやりたいことがあったができなくなった、という人や、ペースメーカのおかげで体調がよくなって身体が楽になったという人もいました。
ペースメーカのおかげで長生きできたので、何物にも代えがたく大切なもの、と認識している人もいました。

ペースメーカを入れている自分のイメージ

ある男性は自分がペースメーカを入れた時代には、他者から「機械人間」とか「ロボット」というイメージをもたれていたと語った方もいました。また、自分自身の身体を機械で補うのは「サイボーグ」になったと思う方もいました。

ペースメーカの患者会について

ペースメーカの患者会活動をしている方は、同病者へのメッセージや、友の会に入って様々な心配について先輩に聞くことができて安心したと語っていました。

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