薬物療法

心不全治療には、複数の薬が処方され、インタビューに協力した方はたくさんの種類の薬を服用していました。ここでは、薬にまつわる経験の語りを紹介します。

薬の内容の理解

多くの人がどのような症状のための薬なのか、医師から説明をされたことについて話しています。
一つずつ理解して飲まれている方がいる一方、「聞いてもわからない」「言われているから飲んでいる」「特に知りたくもない」という方もいました。
薬についてどのように理解しているのかについての語りをご紹介します。

薬の服用がちゃんとできるのは、定期的な診察と検査に基づいて医師が処方しているのを信じて飲んでいるからだという方もいました。
単に薬の内容を理解し、その効果がわかっているから飲むというだけでなく、医師との関係がその根底にあるという語りがありました。

薬のことを自分なりによく理解して、主治医に相談しながら処方してもらっているという人もいました。

利尿薬

心不全の状態は、心臓から全身に血液を送り出す力が低下し、腎臓に流れる血液が少なくなって尿の量が減り、体に水分が溜まります。
利尿薬は、体に溜まった水分を外に出すことで、心臓にかかる負担を減らす効果があり、多くの方が利尿薬を服用していました。
利尿薬を飲むと尿量が増え、トイレに行く回数も増えます。また、過度に水分を排出してしまうと、脱水症状になることもあります。利尿薬の効果と頻回のトイレに対して、それぞれの対処をしていることが語られています。

利尿薬には水分を排出する効果だけでなく、眠気や倦怠感などの副作用もありますが、生活に支障が出ないように工夫して飲んでいる人もいました。

降圧薬

高血圧の治療薬である降圧薬には心臓の緊張を和らげ、心臓を保護する作用があるので、心不全の人には血圧が高くなくても降圧薬が処方されることがあります。降圧薬にはカルシウム拮抗剤、アンギオテンシンⅡ受容体遮断薬(ARB)、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、利尿薬、β遮断薬、α遮断薬の6種類がありますが、中でも、α遮断薬は血管の収縮を抑えることで血圧を下げるため、めまい、頭痛、眠気、不眠などの症状があらわれる場合があります。

抗血栓薬

よく「血液サラサラの薬」と説明される抗血栓薬は、抗血小板薬と抗凝固薬の2種類に分けられます。
抗血小板薬(バイアスピリンR、パナルジンR等)は、血液を固まらせる血小板の働きを抑え、血流の速い血管(動脈)での血栓を予防します。
抗凝固薬は血液を固める凝固因子の働きを抑え、血流の遅い血管(静脈)などで血液が滞るために起こる血栓を予防します。従来から使われているビタミンKの働きを阻害するワルファリンRに加え、近年では生活の制限が少ない直接経口抗凝固薬(DOAC)(ダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバン)が多く使われています。
抗血栓薬の作用や副作用を自分なりに感じている人たちもいました。薬を飲むことで調子がいいので、飲み忘れないようにしているという人もいました。

薬の中断や飲み忘れた経験

利尿剤を飲むとトイレが近くなるため、服用しなかった経験を持つ方もいます。
外出する日が続いたため一週間も利尿剤を飲まなかったとか、通院に時間がかかるところに住んでいて効果も実感できなかったため、自己判断で中断して症状がひどくなった方もいました。

薬を服用して心不全の症状がなくなった時、薬の効果で治まっていると理解するのではなく、心不全が治ったと誤解して薬を中断してしまい、2,3か月後に自覚症状が出てなかなか治療が進まなかった経験をした方もいました。

服用を忘れないような工夫

多くの患者さんが沢山の薬を服用しているので、飲み忘れないように工夫をしています。一包化(処方された薬を朝、昼、夜、とそれぞれに一つの袋に入れる)してもらったり、箱やカレンダー式の壁掛け(お薬カレンダー)などを利用したりしている方もいました。

災害への準備

自然災害や何かの事故にあった時等に備えて、薬をストックしている、常に予備の薬を持参しているなど、特別な状況になっても服用を継続できるように心がけている方もいました。

薬を飲むこととは?

薬を飲んでいるということをどう捉えるかについて話してくれた人もいました。

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