
インタビュー時:年齢非公開(2022年1月)
関係:父
医療的ケアのある子:長男6歳
妻と長女(10歳)、長男の4人家族。
長男は生後直後から、哺乳力が弱く経鼻栄養を開始した。
現在は少し口から食べることも可能だが、一日2回の経管栄養が必要である。
妻は外勤で、自分はIT系で在宅中心の仕事のため、家事・育児、子どもの入院付き添いなどは自分が担うことが多い。
突然の息子の入院で自分の生活は何一つ自由にならなかった経験も数度ある。
その中で、ITで子どもの気持ちを理解し、家族がもっと楽にケアできる環境づくりができないかを考えるようになった。
語りの内容
ウイルスとか感染するのによくないのは加湿状態なんですよね。
冷えとか一番よくないのと、空気が暖房付けてるとカラッカラに乾くんで、ここは結構、研究しててね。
加湿をどうするかっていう問題と。
先に仕事の話をすると、(子どもの環境整備を)専門に今(仕事を)してるんですけど、寝てる間にいかに風邪引かせないか。しかも布団かぶらないんで、かぶらない状態で部屋の温度や空気を最高にいい状態に持ってこうとしてて、僕はそこを全部テクノロジーに置き換えてます。
365日、各部屋の湿度温度と気圧と、子どもの動きと、全部モニタリングしてるんですよ。それを全部データ化してます。
そうすると、大体このぐらいの時期に気圧がこうで、なんか夜泣きするよなーとか、風邪引くよなーってのが分かってくるようになるんですよね。
僕は医療の人間じゃないんだけど、テクノロジー側のアプローチで、声を出せない子どもの声を聞きたいんですよ。
つまり今、喉が痛いのか、頭が痛いのか、おなかが痛いのかが分かんないから、すごく困るんですよね。
だけど今、結構、乾燥してるからこうなのかなーとか、ちょっとヒューヒューしてるからって。
例えば聴診器なんかも全部デジタルでモニタリングして、看護師さんの本、読んでるんですけど、いろんな、捻髪音(注1)だとかね(笑)、そういうのを蓄積して、こういう音がしたら、少したんが絡んでるとかっていうのをデータ化してるんです。
そういうことをたまたま言ったら、今、子どもがお世話になってる病院の院長先生が、ぜひ一緒に取り組みたいっていう話で、この1年間ぐらい病院と僕は契約して、病院の中のそういうバイタルセンシングって言うんだけど(それをやっている)。
バイタルのモニタリングと環境のモニターの相関で、特に重度心身障害児で、急性期じゃないんで、中長期、入院してる子たちの体調管理を、長い時間でデータ化していくことによって、ある程度の一定のパターンを見つけようっていうのと。
あと先生から僕にリクエスト来たのが、この世界って、サドンデスといって突然死がすごい多い世界なんで、先生はすごくそれを一番気にしてるんですって。
予兆がないんですって、サドンデスって、悔しいと。
医療ではそこが見れないっていうので、それを防げることはできないけど、じゃ僕もうちの子どもはそうなんないように、何かしらの因子みたいのを見つけられるようにしていきたいっていうのも。
注1)肺を聴診したときに聞こえる異常な呼吸音で、パチパチ、バリバリのような音。
インタビュー35体験談一覧
- 地域の学校に行かせるか意向を聞かれたが、受け入れに前向きではない普通学校より特別支援学校のほうがいいと思った (テキストのみ )
- 通学手段や準備について親切な地域支援員が教えてくれたが、基本的に情報がなく、行政の中での連携不足を感じる(テキストのみ)
- 入院時に親は付き添うのが当然のように言われる。仕事の都合はそっちのけで、不自由な生活を強いられることに驚いた(テキストのみ)
- 療育センターを見学し、たくさんのアクティビティと同時に細かなケアに対応するスタッフの姿勢に感激した(テキストのみ)
- 療育センターの見学で、反応がないように見える子に、歌を歌おう、絵を描こうと明るく接するスタッフに衝撃を受けた(テキストのみ)
- 子どもの笑顔を見たくて笑わせる方法を考えてしまう。上の子と先に弟を笑わせたら勝ちという勝負をするのも楽しい日常だ (テキストのみ)
- テクノロジーで誰もが在宅ケアの管理ができる体制を整えたい。そのためには社会制度も変えていかないといけない(テキストのみ)
- 温度、湿度、気圧、子どもの動きをモニタリングして室内をよい環境を保つことができるようデータを蓄積している(テキストのみ)
- 家族で気軽に外出したいとキャンピングカーを購入した。移動や宿泊の手間がなく、災害時対応としても手ごたえを感じる (テキストのみ)