緊急時・災害時の対応

人工呼吸器には常時、電源が必要なため、災害により電気が供給されないことは命に関わります。そこで在宅でのケアでは予備バッテリーと呼ばれる予備電源を確保しておられます。
ケアに必ずしも電源が必要ない場合でも、胃ろうに注入する栄養剤やチューブなどが、災害時で供給が止まっても大丈夫なように備蓄しておく必要があります。
ここでは災害時の対応や備え、また、お子さんが緊急時の対応や備えについてお話を伺いました。

災害の経験と教訓

地震、台風、大雪、大雨洪水など、季節や地域によって、様々な災害が起きる可能性があります。医療的ケア児を育てる中で、避難場所に行くこともなかなか難しいと考えておられる方も多くいます。
ここでは、実際に災害を経験された方のお話を紹介します。

次の方は九州地方で台風の多い地域にお住まいです。
お子さんは人工呼吸器を使用しており、停電が30分以上続いたら救急車を呼んで自家発電のある県病院に避難すると事前に話し合っていました。
しかし、現実はなかなかうまくいかなかった経験をお話くださいました。

次の方は2018年9月、北海道の大規模停電を経験されました。お子さんは胃ろうのみで、医療的ケアに電源は必要なかったので、なんとか生活はできたと言います。

次の方は、北陸地方にお住まいで、冬には雪の多い地域ですが、それでもお子さんが生まれた年は60年に1度の大雪を経験しました。家から出られず、入院付添いができなくなることを懸念して、病院近くに泊まり込んだと言います。

次の方は首都圏にお住まいですが、台風の際に福祉避難所が開設されなかったことに不安をもった経験があります。議会への陳情の中に、災害対策を訴えています。

電源確保や備え

 災害時に向けた電源バッテリーの確保や、必要な器具や材料を日々、備蓄する必要を感じているという方は多くいらっしゃいます。その一方で、非常に高額なバッテリーを十分な数を備えるのは難しいという方が多くいました。

次の方は、避難訓練に参加した経験についてお話くださいました。
地域のハザードマップを頭に入れたり、自治体にいる訪問看護師、保健師、相談員との連絡網を作ったりしているそうです。
福祉避難所が開設されても、保健師は巡回になるところと常駐のところがあり、そこまで移動できるのであれば保健師が常駐の福祉避難所のほうが安全であるなどの情報をもらったこともあると言います。

次の方は首都圏在住ですが、地震で8時間ほど近隣が停電した経験から、複数の蓄電池を確保しています。
さらに自治会役員になることで、近隣の人たちに重いバギーを使っているため停電してエレベーターが使えないときは避難が困難になることや、非常用の電源が必要なことを知ってもらうようにしたと話してくださいました。

子どもの急変時

次に、平常時でも起こり得る子どもの急変への対応をご紹介します。
在宅でのケアでは、カニューレがスムーズに入らず、呼吸ができない状態となり子どもの顔色がみるみる変わってとても焦ったというお話、子どもが急変し1日5回もバギングという手動で呼吸を助ける行為を行ったという方もいます。

次の方は、呼吸器のチューブ内に結露した水が気管に入り、お子さんが溺れた状態となってしまった経験を何度かされており、その際の対処法についてお話くださいました。

次の方は、病院まで車で40~50分かかる距離にお住まいです。お子さんの急変時、救急車を呼んでいるとかえって時間がかかるため、ご自身で病院まで運転していったり、家で対処できることや範囲が増えてきたりしていると言います。

コロナ禍を経て

2020年3月に日本でも新型コロナウイルスの影響が急速に広まり、学校の休校、病院の面会の制限、デイサービス施設の利用制限など様々な影響がありました。
コロナ禍を経て、社会全体が手洗い・消毒やマスク着用をするようになり、医療的ケア児のいる家庭にとってはむしろ自分たちの標準に社会が近づいてきてくれたように感じたという声もありました。

緊急事態宣言下にあったころは病院の厳しい面会制限で子どもに会えず、きょうだい児にも1年以上会わせることができず辛い思いをしていた経験をお話くださいました。

次の方はコロナ禍で家族みんなの在宅時間が増え、家族で医療的ケアの分担ができたと言います。家族の誰かがかかったときのシミュレーションをするなど、対策を考えたと言います。

2023年7月公開

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