きょうだい児

子どもにとって、きょうだいの存在はとても大きなものです。
当たり前に喧嘩もすれば、きょうだい同士でお互いを意識し、刺激しあうことは、どこの家庭でも変わりません。
親にとってもきょうだい児の存在は大きな支えです。
しかし、普段のケアに追われ、長期の入院付き添いとなればほとんど家に帰ることができず、きょうだい児になかなか目をかけることができないと葛藤を抱えている親が多くいます。

きょうだい児の子育て

医療的ケアのある子を育てるにあたり、きょうだい児の子育てに関わる時間的・肉体的・精神的余裕がなく、気にかけているとのお話や、もう子育て期は過ぎてしまったが、その時期に十分にきょうだい児に関われなかったことをすごく後悔しているとのお話がありました。

医療的ケア児を支援する社会的サービスはあっても、きょうだい児を支援するサービス自体はほとんどなく、きょうだい児の預かり、保育園入園、ファミリーサポートの充実を願う声もありました。

きょうだい児の学校行事やPTA活動などにも、できるだけ参加したいけれど、それもままならない、その状況をどこまで周囲に伝えたらよいのかという気持ちをお話くださった方もいます。

次の方は、日常生活はなんとかなっても、きょうだい児が急病やケガをした際にも、学校への迎えや病院に連れていくことも医療的ケア児を置いていけず、逆に医療的ケア児が急変したときのきょうだい児の預け先はなく、一緒に病院に連れていかなければならないといった不自由さをお話くださいました。

きょうだい児の幼稚園や保育園の送迎、学校行事などに、医療的ケアのある子を連れていくためには準備が必要で、移動中のケアをどうするかなどの問題があります。
次の方は、きょうだい児の保育園送迎の際に、携帯と自宅の子機をつなぎ、子機で医療的ケア児の様子をモニターしながら20~30分ほど家を空けざるを得なかったと言います。
危険は承知の上だったが、当時、この子は長くは生きられないと告げられていたことから半分諦めの気持ちもあり、経済面でも他に方法がなかったとお話くださいました。

きょうだい児の医療的ケアの受け入れ・捉え方

小さい頃から、医療的ケアのある子と接してきたきょうだい児にとって、ケアはごく当たり前の日常のようです。
胃ろうのある子の口の中をよーくみたら、きょうだい児が入れたじゃがりこが入ってた!という微笑ましいような、ヒヤリとするような体験をされた方もいました。
きょうだい児がありのまま、きょうだいとして接する姿、対等に喧嘩をする姿を見て、親は精神的に励まされたといいます。
その一方で、きょうだい児が成長していく過程で、医療的ケア児に対する捉え方が変化してきたとお話してくださった方もいます。

小さいときはごく普通のことと受け入れていても、きょうだい児が成長する中で、医療的ケア児に障害があることや、周囲の子と違うことを認識し、その気持ちをどう扱ってよいかわからない時期を体験することもあります。
「普通のお兄ちゃんがよかった」という妹たちの言葉を聞いたというお母さんもいました。きょうだいにとって、そのような言葉は対等な立場にいる証拠なのかもしれません。
きょうだい児の成長過程における心の動きについてのお話をご紹介します。

きょうだいの関わりの中でのケア児の成長

きょうだいの影響を受けて、医療的ケア児が成長する様子を感じている親もたくさんいます。
下の子が生まれると自分がお姉ちゃんになったことを意識したかのように立てるようになったというお話、病院では座位保持が難しかったのに家に帰ってきょうだいの様子をみているうちに座位がとれるようになったなど、きょうだいからの刺激は大きかったというお話がありました。

きょうだい児をもつことへの思い

第1子や第2子が医療的ケア児である場合に、それ以降のきょうだい児をもつかどうか親としての考えは人それぞれです。
医療的ケアのある子だけに力を注ぎたいと思う方もいれば、きょうだいがいたほうが楽しいという方、将来、親は先に亡くなるからこそきょうだいの存在が必要ではないかと考える方もいました。
その一方で、次の子も同じ障害をもって生まれる可能性も念頭に、その葛藤に悩んだ方、次の子をもうけることに周囲の反対があったという方もいます。

次の方は、第2子を出産するときに悩みながら出生前診断を行った経験をお話くださいました。

きょうだい児による医療的ケア

きょうだい児は小さい頃から自宅での優秀な医療的ケアのサポーターだったというご家庭が大変多くありました。

きょうだい児は心強いサポーターであったが、男女のきょうだいである場合には将来的にどこまでケアできるかを親として考えたというお話や、成長に伴いきょうだい間で恥ずかしさを覚えてくるというお話もありました。

きょうだい児の将来については、子どもたちがそれぞれの道を歩んでくれればそれでよい、きょうだいの面倒を見ることで自分の道を諦めてほしくないなど、親の思いをお話いただきました。

次の方は、4人のお子さんがいらっしゃいます。末っ子に医療的ケアが必要で、子育てにケアに忙しい毎日ですが、第4子が生まれて夫婦の話し合いやきょうだいの間の絆が強まったとお話くださっています。

次の方は、3人のお子さんがおり、長男が発達障害、次男が内部障害で自己注射が必要です。長男は母親、次男は父親が担当し3人の子育てをする中での経験をお話くださいました。

2023年7月公開

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