情報をみつける

大部分の女性たちは、最初に自分ががんだと診断されるまで、乳がんについてほとんどまったくと言っていいほど何の知識も持っていませんでした。しかし、医療分野で働いていたり、家族の中に乳がん患者がいたりして、さまざまな量の知識を持っていて、それについて話している人たちもいました。患者たちのほとんどが、かかりつけ医や専門医、外科医から十分な情報を得ていました。治療についての情報を患者のために紙に書いてくれたり、テープレコーダーに吹き込んだりしてくれたことを話す女性も何人かいました。

多くの患者にとって、ブレストケアナース(乳がん専門の看護師)は、医療情報に関する最も重要な情報源であり、また病気による精神的な衝撃を受け止めて支えてくれる拠りどころでした。多くの患者は、医療専門家たちを信頼しており、他から情報を探し求めようとはしなかったと語っていました。

しかしながら、数人の患者は、十分な情報が与えられていなかったと述べ、ある人たちは特定の情報、例えばリンパ浮腫などについての情報がほしかったと述べていました。

数人の患者が、最初にがんと診断された時に、必要な情報や受け止められる情報の量は限られていたと話していました。これらの女性たちの幾人かは、渡された情報を読むのが怖いと思ったことについて語り、ある患者は最初の診断を受けた時のショックが過ぎた後で、より多くの情報を探し求めた様子を語っていました。

他の人たちは最初、できる限り多くの情報を得ようとしていましたが、もっと後になると、自分に必要な部分だけを読むようになったと話していました。多くの女性たちはがんの患者支援団体や自助グループが作成したチラシやパンフレットを読んでいました。

少数の女性たちが、書籍を読むことが役にたったと話す一方、インターネットから、より多くの情報を得たという人たちもいました。その多くが、インターネットから得られる情報を高く評価している。一人の女性は、炎症性乳がんについての自分のウェッブサイトを立ち上げていました。別の女性は、インターネットを利用した上で、自分の治療についての決定をしたと話しています。また他の患者の経験について、もっと読んだり聞いたりしたいと願っている人たちにとっては、インターネットフォーラムも同様に、重要な意義がありました。

この女性は、自分が受けた治療に対して影響を及ぼしうる調査研究についての情報を、どのようにして得たかを話しています。

われわれが面接した女性の中にはインターネットで得られる情報の有効性について疑問を持つ人もいました。何人かの女性たちは、乳がんに関する情報は沢山あったけれど、その多くは病気の情緒的な側面よりも、医学的な側面の方に重点を置いて論じていたと指摘しています。これらの女性の中には、情緒的な影響や他の患者たちのそれぞれの経験についてもっと知りたいと望む者もいました。

乳がんを経験した他の患者や友人たちから提供された支援や情報が助けになったという人もいました(サポートグループを参照)。 家族を通して情報を得ていたという人もいました。これらの中のひとりはパンジャブ語(インドの北西地方の言葉)しか話せなくて、情報収集と通訳に関しては完全に子どもたちに頼るしかなかったと語っていました。

ある女性はパンフレットを読むことで、治療に対する恐怖感がいくぶん取り除かれたと話し、またある患者は知識を得て恐怖感を減らすためにもできるだけ多くの情報収集をするよう勧めていました。

2017年10月更新

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