精密検査(二次検診)の結果を知る

精密検査(二次検診)の結果はどのように伝えられるのでしょうか。また、精密検査の結果を知ったとき、受診者はどのような思いを抱くのでしょうか。精密検査の結果は、検査をした医師から告げられますが、内視鏡検査の際に意識が覚醒している状態であれば、モニターに映る腸の様子や、それを見る医師の表情、言動、雰囲気などから、結果を察することもあります。また、内視鏡検査でポリープが見つかった場合、それががんであるかどうかは凡そ判断できますが、確定診断には病理検査が必要であるため、肉眼所見がどのように伝えられるかも様々です。ここでは二次検診として受けた精密検査の結果を知ったときの状況や、結果を告げられたときの人々の思いを紹介します。

問題なしと言われる

まずは、精密検査の結果、問題なしと言われた人たちのケースを紹介します。便潜血検査で陽性反応が出て、精密検査を受けても、実際にがんが見つかるのは精密検査受診者全体の2.35%となっています(厚生労働省「平成19年度地域保健・老人保健事業報告」)。今回の協力者の中にも、精密検査でがんが見つからなかった人たちが複数いました。内視鏡検査で、ポリープなどの異常が何も見つからなければ精密検査は終了となりますが、何か見つかった場合は病変の大きさや性状によっては、その病変の一部を採取し(これを「生検」と呼びます)、その組織を顕微鏡で確認する病理検査が必要になります。悪性か良性かの検査結果が出るまでには1週間から2週間ほどかかります。

便潜血検査で陽性反応が出て内視鏡検査を受けたある女性は、検査終了後に待合室で、検査をした医師から、「見た感じ大丈夫でした」と結果についての説明を受けています。潜血の理由は痔によるものだろうということでした。また、同じように便潜血検査陽性で内視鏡検査を受けた男性は、ポリープが見つかり、色や大きさから「たぶん悪性ではない」と思われるが病理検査をしてみなければ分からないと言われ、1週間後に改めて検査結果を聞きに行き、そこでポリープが良性のものであったことを告げられました。

別の女性は、内視鏡検査でポリープが見つかりましたが、大きいのでその場で取ることはできませんでした。医師に「見た目は悪性ではないが、本当にそうか(悪性かどうか)はポリープを取って病理検査をしないとわからない」と言われて、悪性であった場合を考えてがんセンターに転院して、内視鏡によるポリープ切除術を受けることにしました(その詳細については「大腸内視鏡検査の実際」のインタビュー05 をご参照ください)。この女性は、医師にポリープ切除をしないで放っておいたらどのくらいの確率でがんになるかを質問しました。20%と言われて、それは高いように感じたので、納得して内視鏡治療を受けたそうです。

がんと診断される

では、大腸がんと診断された人たちの場合はどうだったのでしょうか。前述のように、大腸がんの確定診断には病理検査が必要ですが、内視鏡検査でポリープが見つかった場合、その色や大きさなどから、それが良性のものか悪性のもの(がん)であるかは、ある程度予測がつくようです。例えば、一次検診で陽性となったので、インターネットで探した内視鏡専門の病院で受診した女性は、検査を行った医師から、病理検査の結果を見ないとわからないが自分の勘では早期のがんだ、と言われたそうです。また、ある男性は、内視鏡検査を受けてすぐ、一緒に来ていた妻と一緒に医師から説明を受けましたが、そこで写真を見せられながら、「検査しなくても、立派ながんだ」と言われました。

しかし、このように病理検査の結果が出る前にはっきりがんだと告げられた人は多くありませんでした。ある男性は、内視鏡検査でポリープが見つかりましたが、医師からは「普通より大きいよ」とは言われたものの、がんの可能性などについての言及はなく、細胞を細かく検査してみるとだけ告げられました。一方、同じように内視鏡検査でポリープが見つかった男性は、検査をした専門医から悪性の可能性が高いと言われました。その2週間後に病理検査でがんの確定診断を受けています。ただ、この方の場合、内視鏡検査時に全て切除できていたので、追加の手術は必要ありませんでした(「大腸内視鏡検査の実際」のインタビュー12 を参照)。便潜血検査の結果を誤解して精密検査を受けてこなかった男性(「便潜血検査の結果を知る」のインタビュー17 を参照)は、内視鏡検査をしている間、医師が「これだ」「やっぱり」と言うのを聞いて、何かあるかもしれないと思ったといいます。後日、検査結果を聞きに行った病院で腫瘍の写真を見せられながら、進行性のがんであることを告げられました。

がんの診断をどう受け止めるか

精密検査(二次検診)を受けてがんと診断されたとき、人はそれをどのように受け止めるのでしょうか。ある女性は、早期にがんが発見されたこともあり、腹腔鏡手術で切除でき、復職も早くできましたが、もっと早く内視鏡検査を受けていればポリープの段階で発見できたのではないかと後悔を口にしています。

逆に、早期に発見できたことで、自分は「運がよかった」と語っている人もいます。この男性は、便潜血検査で陽性反応が出ていましたが、体調もよく、当初、精密検査の受診には積極的ではありませんでした。しかし、勤務する会社の社長が大腸がん経験者で、その社長から内視鏡検査を受けるよう強く勧められ、受診をしたところ、早期のがんが見つかりました。

がんと診断されることで死を意識する人は少なくありませんが、その受け止め方は人それぞれです。前述のステージ2以上の進行がんと診断された男性は、腫瘍の映像を見せられ、「命の保証はない」と感じたものの、それまで全く痛くかゆくもなかったのだから、あえて悲観的にならずに、「手術すれば治る、盲腸の手術と一緒」と思うようにしたそうです。

一方、視覚障害のある男性は、失明して数年でがんの診断を受けてダブルパンチのような感じだったが、かえって開き直って、いつ死んでもいいようにやりたいことをやろうと思えるようになったと話しています。

先ほど紹介した、職場で受けた大腸がん検診で早期のがんが見つかった男性は、命が助かるとわかったので、次に心配になったのはお金のことだったと話しています。