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インタビュー時:36歳(2019年12月)
関係:母
医療的ケアのある子:長男2歳
首都圏在住。夫と長男、長女の4人家族。
2017年出産時の医療事故で長男が脳性麻痺となった。
気道狭窄のため気管切開して人工呼吸器を使用し気管内吸引、口腔・鼻腔内吸引が必要な状態である。
嚥下できないので、栄養は胃ろうから注入している。
訪問看護やデイサービス、訪問リハビリテーション、ショートステイなどを利用。
現在は育休中だが、在宅の仕事や月1~2回の出社をするなど仕事を続けている。
語りの内容
(新居の)工夫はいろいろあるんですけど、まずは、息子の場合は、ゆくゆく自分で自立して、立つ、歩くっていうことは難しいっていうふうに、もう思っています。
だからトイレは特にバリアフリーにはしてないんですけど、他のところは全てバリアフリー、段差のない家にしました。
加湿がものすごく大事だっていうふうに聞いてるので、なるべく自然の壁で、呼吸ができるような壁とかっていうのを、設計士さんのほうが選んでくれて、家の中の湿度が循環するようにとか。
空気がきれいに保たれるような造り。
エアコンをなるべく使わなくていいように床暖房にするとか。
他の方からアドバイスいただいたのは、息子は常に、天井を見てるような状態が続くので、電球が丸見えだと目が痛くなってしまうから、なるべく電球が丸々見えないようなライトにするとか。
あとは天井のほうに窓があるって、そこから空が見えるとか、木が見える、お花が見えるとかっていうと、楽しみができるから、なるべく天井、上を見上げたときに見えるものがあるといいよっていうのを教わったので、そういうふうにしたり。
設計士さん自体が工夫してくれたのは、家の壁。
私たちもそれはびっくりしたんですけど、家の壁の縁、床の縁、天井のクロスの縁っていうのは、掃除機とかガンガンこう当たってもいいように縁に木が張ってあるんですけど、そこにもちょっとした段差というか、幅があるんですけど、その幅にほこりがたまる。
なるべく、そういうところにもほこりがたまりにくい家の構造だったりっていうのを、設計士さんもできる限り考えてくださってるようです。
大事なのは、医療的ケアが常につきまとってくる生活なので、いかに他の家事を楽にするかをテーマにして。
食器洗いは食洗器に頼るとか、洗濯ものもなるべく、たたむ時間をなくするとか、家事にかける時間をなるべく少なくできるように、家電とかに頼れるものには頼っていける家にしてます。
インタビュー02体験談一覧
- 出産事故で怖い思いをしたにもかかわらず、翌日にきょうだいはたくさん欲しいと夫婦で話し合った
- 息子が生まれ会社を辞めようと考えたが、仕事が支えになると社長が言ってくれ、在宅や月1,2回での簡単な勤務を継続している
- 病院のソーシャルワーカーに退院後の支援について自分で役所に問い合わせるよう言われ、いろんな部署を回って大変な思いをした
- 新居を建てるにあたり、医療的ケアのある息子と暮らすことを前提にバリアフリーや天井に窓がある家、加湿や空気のきれいな環境を保つ家づくりをした
- 本退院前には自宅に病院の主治医と看護師が来て、ベッドやアラームの位置や動線を確認してくれ、自信をもって在宅療養を開始できた
- 退院前に1か月の母子入院で日常的ケア、緊急対応や外出も想定した訓練を受けた。自信をもって退院でき、やってよかったと思う
- 息子が退院し最初の3か月はケアに不慣れで心身ともに参っていた。夫との間でケアの能力差が開いていることにもイライラしていた
- 息子が障害をもって生まれたことで自分の中の差別意識に気づき、障害者差別をなくす活動につながっている。息子には感謝の思いだ
- 息子に障害があることでどう声をかけたらいいか友人たちも悩んだようだ。話してみると子育ての悩みは同じだといわれ嬉しかった
- 仲間内で愚痴程度に話していた内容を陳情書の形で3つの区議会に出した。改善まではされていないが、まず第一歩だ (音声のみ)
- 障害のある子とない子が一緒に育つ教育環境と、行政の中で医療的ケア児に関する情報が連携されることを要望している(音声のみ)
- 電源確保の助成、障害児家族も対象とした避難訓練、災害時の福祉避難所の確実な開設を区議会に要望している (音声のみ)