※写真をクリックすると、動画の再生が始まります。
インタビュー時:43歳(2022年1月)
関係:母
医療的ケアのある子:長男13歳
関西在住。夫と長男の3人家族。
息子は妊娠27週目に超低出生体重児で生まれ、生後すぐに心臓手術や気管切開を行った。
1歳のとき、人工呼吸器と4時間おきの経鼻経管栄養が必要な状態だったが、家で一緒に過ごしたいと強く希望し在宅療養となった。
成長はゆっくりながら、4歳で自力歩行可能となり、手話のほか、呼気を使って近くなら聞き取れる程度の声で会話もできる。
現在も胃ろうからの栄養注入とたんの吸引が必要である。
現在特別支援学校に通っているが、将来の自立に向け、勉強の機会はもちろん、自力でのたん吸引等を許可してほしいと考え交渉中である。
語りの内容
――今中学生で、特別支援学校より(普通学校の)支援級、育成学級への転籍っていうのは、お子さんの医療的ケアとか発達上のことで、選択肢っていうのはあるものなんでしょうか。
逆は聞いたことないですね。
普通学校から支援学校は聞くんですけど、支援学校から育成学級っていうのは聞いたこともなくって。
ただ、支援学校の中にも高等部からは、もう結構独立できてる子が行けるなんか専門学校的な分野的なところもあるんです。
ただ、そこでは、やっぱり自分がやらないといけないんで、その医療行為があると、まず自分で通えないといけない。
そこがまず無理で。医療行為も自分でできない。
だから、そこがすごい悩みどころなんです。
勉強を重視するのか、体を重視するのかって考えると、学習面ではすごいもやもや感はあるけど、健康で学校に行けることを優先にしない限りは勉強もできないかなって思って、支援学校しかないのかなっていう考え方ですかね、私は。
――お子さんが今練習中っていうふうにおっしゃってたんですけど、医療的ケアがご自分でやれるような状況になれば、そういうことも可能な現状なのでしょうか。
自分で医療行為ができるようになっても、今から多分普通学校の支援学級行っても、能力がもう全然。
今で小学校2〜3年生のことをやってることなんで、もう行けないですね(笑)。
行くと、なんか周りの子に迷惑かけるとも思うんで。
もし初めっから育成(学級)で頑張ってほしいとか、あんまり知的には問題がなくって、ただ吸引だけがあるとか、もう自分でできるから普通学級に行きたいとか、育成学級に行きたいってなるんじゃないかなとは思うんですけど、でも多分今からだと、もう全然幅が広がり過ぎて無理だと思いますね。
能力が少しでもあるんであれば、育成(学級)をお勧めしたいです。勉強を重視するのであれば。
普通のところで働いてほしいとか思うのであれば、そうしてほしいかなとは思います。
自治体にもよると思うんですけど、支援学校って、うちのところは、卒業したら事業所みたいな所ありきで、学校生活をしてるのかなっていうのを私は思ってるので。
なんで、普通の、アルバイトでもパートでも、普通の仕事をしたいんであれば、支援学校は、私はあまりお勧めしないかなって。育成行って、それでも駄目だったら支援学校のほうがいいんじゃないかなって。
ただ、お母さんたちとか、支援学校のほうがデイ(サービス)とかも行きやすいし、お迎えもあるし、スクールバスもあるしっていうので、知的にはすごい軽くても、今はもうお母さんが選べるじゃないですか。どっち行ってもいいですよ。
だから、知的が軽い子でも支援学校に来てる子は、結構多いです。
東京はどうなんですかね。うちのところは総合支援学校なんです。総合なんで、知的も肢体も一緒なんです。
ただ、違う県では、肢体と知的が分かれると、今度はそっちだと結構お勉強はするらしいんです。知的のほうは。
なんで、本当に自治体にはよるんですけど、総合のところはちょっと考えたほうがいいかもしれないですね。
インタビュー36
- まとまった期間で帰省し実家にケアをお願いする。祖父一人で看ていたらカニューレが抜けたが、見よう見まねで切り抜けてくれた
- 特別支援学校では知的能力の育成にあまり力を入れてくれない。勉強や自立を考えているなら普通学校の支援級をおすすめしたい
- 家での吸引は自分でほぼできるので、中学に入ったら自分でさせてほしいと伝えたが、特別支援学校では自己吸引を許可してくれない
- 小学3、4年までは新学期から秋頃まで付き添った。高学年になり体調が安定してきたことで親自身の時間が少し長くなってきた
- 息子が小学校高学年となり性教育が気になっていたが、母親ではなかなか教えることができず、学校で個別に行ってもらった
- 呼吸器をつけていても動ける子が増えているのに、基準での重症の認定は古いままで、将来必要な支援が受けられないのかもと心配だ
- 息子はその日の宿題が終わればゲームをしてよいルールで、ゲームを楽しみにしている。和太鼓のリズムゲームは相当な腕前だ
- 小さいときは録音ボタンを押したり、ベルを置いて呼んでもらった。簡単な手話や絵カード、チェキの写真を指差しして会話した
- 新聞で東大で開発中の人工喉頭を知り、息子に使いたいと問い合わせた。小学校の卒業式で返事をするという目標を立て、実現した
- 人工喉頭を使うことで、外から聞こえる言葉と自分の発する言葉が一致して、言葉への理解が進むようになったと実感している