臨床試験・治験とは

一般になじみの薄い「臨床試験・治験」という言葉ですが、最近はテレビや新聞などで取り上げられる機会も増えてきました。しかし、実際にどのような目的で、どのように実施されるものなのかを正しく説明できる方は、まだまだ少ないのではないでしょうか?日本全国に住む成人1000名を対象とした調査1)では、「聞いたことがある」と答えた方は61%いましたが、「説明できる」と答えた方は21%でした。

このウェブページでは、「臨床試験」や「治験」に参加した方、参加したが途中で中断された方、参加できなかった方などが様々な経験や想いを語って下さっています。

臨床試験・治験には特別なルールや仕組みがあるので、基本的な流れを知らないまま見てしまうと、せっかくの語りも意図が伝わらなかったり、間違って理解されてしまったりすることが懸念されます。 そこで、ここでは臨床試験・治験の基本的な知識について、臨床研究コーディネーター(CRC)である、大阪医療センターの森下典子さんに解説をしていただきます。

1)平成24年度厚生労働科学研究費補助金 医療技術実用化総合研究事業「一般利用者の視点に基づく臨床試験コンテンツ作成とポータルサイト構築に関する研究」研究代表者:有田悦子

臨床研究、臨床試験、治験の違い

このウェブページで使われている臨床試験、治験という言葉のほかに、臨床研究という言葉があります。これらはいずれも日常生活では耳慣れない言葉ですが、それぞれにどういう違いがあるのでしょうか。

臨床試験の目的とルール

私たちが体の変調を感じて医療機関を訪れるとき、その目的は自分の状態が改善するような治療をしてもらうことです。このように日常診療においては、医療者が目の前の患者さんの病気を治すことが最大の目的となります。それでは、臨床試験はどのような目的で行われるのでしょう。

このように臨床試験は「人=患者」を対象として行う研究なので、危険な研究や無益な研究から患者さんを守る必要があり、現在では厳しいルールに従って行われています。

「ヘルシンキ宣言(1964)」は、世界共通で適用されている医学系研究の倫理規範です。その内容は、【1】臨床試験は科学的・倫理的に適正な試験実施計画書によって行われること、【2】倫理審査委員会で試験計画の承認を受けること、【3】被験者に試験の内容を十分に説明し自発的な同意を得ること、が必須とされ、その他多岐にわたり臨床試験の倫理的原則が規定されています。ナチスの人体実験に対する反省から定められた「ニュルンベルグ綱領(1947)」がもとになっており、患者・被験者の人権を尊重するために、医学研究者たちが自らを規制するルールとして定められました。

一般の診療との違い

一般の診療との違い病気やケガで医療機関を受診した際に、臨床試験や治験への参加を打診されることがあります。通常の治療を続けるか、臨床試験・治験に参加するかという選択肢が提示されるわけですが、臨床試験・治験は一般の診療とどのように違うのでしょうか。

臨床試験には一般診療とは異なる人たちの関わりがあります。どのような人たちが関わっているのでしょう。

いま、どんな臨床試験がどこで行われているのか知りたいと思ったときは、自分で情報を探すことができます。代表的なものには、国立保健医療科学院の「臨床研究情報ポータルサイト」があります。「情報リンク」のページでは、ほかにも臨床試験に関連する情報が得られるサイトを紹介していますので、ご参照ください。

2016年11月公開