臨床試験・治験の関係者へ

臨床試験・治験に実際にかかわった人たちには、実施側の関係者に伝えたいことがたくさんありました。ここでは、私たちのインタビューで語られた、医師やCRC(臨床研究コーディネーター)、そして製薬会社へのメッセージを見ていくことにしましょう。

臨床試験・治験の実施に関する情報提供

臨床試験・治験の実施状況や実施医療機関に関する情報が入手しにくいと感じている人たちがいました。次の人は、自分の母親を臨床試験・治験に参加させたくて、自分で一所懸命に探したそうです。その時の苦労を思い出しながら、病院側の情報発信の重要性を訴えていました。(臨床試験・治験に関する情報源については「情報リンク」を参照)

また、次の人はそもそも臨床試験・治験というものを全く知りませんでしたが、たまたま声をかけられて参加することになりました。実際参加して自分が役に立てたと感じたので、このような試験のことはもっと積極的に病院側が患者に声をかけたほうがいいと話しています。

参加に際しての事前説明について

参加する臨床試験・治験がどのようなものか、自分は一体どんな試験に参加するのか、ということは患者にはあまり理解しにくいものです。ですから医療者には丁寧な説明をしてもらいたいと感じる人が少なからずいました。

医療者との関係について

また、スムーズな臨床試験・治験の実施には、医療者との信頼関係が重要であると感じた人もいました。次の人は医療者も被験者も目的は同じなのだから、色々と話して信頼関係を結んでいくべきだと言っています。

また、次の人は医療者が臨床試験・治験に関する説明をきちんとおこなわなければならないし、患者自身も自分の症状をきちんと伝え、医療者にわかってもらわなければならないと感じています。

製薬会社で新薬の開発に携わっていた次の男性は、GCP(=Good Clinical Practice)すなわち「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」の功罪について話しています。患者の権利を守ることを基本とするこの省令によって、臨床試験・治験を実施する側には数多くの書類の作成・管理の義務が課せられることになり、医師のCRCへの依存度が高まり、しっかり患者と向き合うことが減っているのではないかと話しています。

情報の開示と患者参画

さらにこの男性は、自分が参加した治験の結果(自分がプラセボを投与されていたのかどうかや薬がその後承認されたかどうか)についてのフィードバックがなかったので、治験薬(この場合はロイコトリエン拮抗剤)に対する関心を失ってしまい、その後も試してみようと思わなかったことで損をしたと感じていました。そこで、参加した治験がどうなったかについて情報を知らせてくれるような制度があったほうがいい、と話しています。同じように、自分が参加した臨床試験・治験がその後どうなったのか知りたいと思う人は他にもいました(具体的な例は「臨床試験・治験の結果を知ること」をご覧ください)。

次の人は、ご自身が臨床試験・治験の適格条件に合わず参加できなかったという体験から、患者の本当の思いが届いていないような気がすると言っています。そして、もし臨床試験・治験の計画段階から患者が参画する仕組みがあれば患者の思いも伝わるだろうから、大いに参加したいし、どういう思いでその薬を作ろうとしているのかも聞きたいと話しています。

2016年11月公開