かかわったあとの治療

臨床試験・治験に参加する人の中には、一時的な怪我や病気でその時だけ治療が必要だった人もいれば、がんやリウマチのような慢性的な病気で継続的な治療が必要な人もいます。後者の場合、臨床試験・治験にかかわったあと、その病気に対する治療はどうなるのでしょうか?ここでは、臨床試験・治験への参加が終わったあとの治療についてご紹介します。

治験薬の継続服用に関すること

基本的には治験で用いられる薬を、あらかじめ決められたスケジュール以外で使うことはできません。のちにその薬が承認され、市販されればもちろん使用することができますが、多くの場合、治験薬が実際に市販されるまでには数年を要しますので、自分の身体に合っていたからといって、治験薬をそのまま引き続き使用できるわけではありません。

次の人は、腎がんの治療の飲み薬の治験に参加していましたが、尿検査の値が悪くなり、治験を中止せざるを得なくなりました(「参加継続/中止をめぐる思い」のインタビュー13を参照)。それでも、自己注射や点滴が必要な従来の治療に比べ使用が楽で、がんに対する効果も実感していたので、別の治験に参加したあと、市販された最初の薬を飲みながら日々の生活を送っています。

全身性エリテマトーデスという難病を持つ女性は、治験で使った薬の効果を実感できたので、承認販売まで待てずに、インターネット経由で個人輸入して飲んでいるそうです。但し、本来、医薬品の個人輸入が認められているのは、外国で受けた薬物治療を継続する必要がある場合や、海外からの旅行者が常備薬として携行する場合などへの配慮からで、厚生労働省は「自己判断で使用すると重大な健康被害を生じるおそれがある医薬品は、医師による処方が確認できない限り、一般の個人による輸入は認められない」としています。

一方、長期投与した際の安全性の情報等を得ることを目的に行われる臨床試験に参加している場合、途中で薬が承認されて、切れ目なく継続して薬を使用することができることがあります。肺高血圧症という難病の女性は、参加して半年ほどで治験薬が市販されることになったので、治験は終了しましたが、薬はそのまま継続投与されたそうです。

抗がん剤の延命効果を評価する長期投与試験に参加していた人は、3年間に及ぶ試験の途中で薬が承認されたので、今でもその薬を飲み続けていると話しています。

試験終了後の受診機関の選択

臨床試験・治験終了後は、継続的な治療が必要な場合、かかりつけ医による診察を再開することになります。しかしながら、治験のために通っていた病院で治療を継続する場合もあります。次の人はこれまでの主治医ではなく、臨床試験・治験を実施した大学病院に縁を感じ、その後も通院することにしたそうです。

次の人はかかりつけの病院と治験が実施された病院が同一施設でした。主治医から誘われ、治験参加中に副作用が出てしまい、自分から申し出て参加中断しました。少し気まずい思いを抱えながらも、続けて通院しています。

2016年11月公開