終了後の感想

臨床試験・治験に参加すると数ヶ月から数年にわたりそのプロトコル(計画)に従った生活を送ることになります。決められた時間に治験薬を服用する、決められた日に検査を受けるため病院に行く、体調についての記録をつける等数多くの決まりごとを守ることが求められます。こういった決まりごとを守り、研究に参加した人たちは、参加終了後にどのような思いを抱いたのでしょうか。

まずは肯定的な感想からご紹介します。具体的に試験された薬や医療機器が保険適用になって発売されたことで、医学の発展や将来の患者のために貢献できたと実感した人たちがいます。

一方、実際に薬や機器が承認されたかどうか具体的な結果を知らなくても、研究の「協力者」として将来の医療に貢献できたと感じた人たちもいました。
例えば、次の人は参加したことで、薬の開発の「裏方」に当たる人たちと接触できたことを得難い経験と評価しています。

また、病気の治癒や症状の改善を期待して、臨床試験・治験に参加した人たちは、実際にどの程度の効果が見られたかについて語っています。自分が協力した治験薬が後日承認され、現在もそれを使っているという女性は、病気であることを忘れるくらい薬がとてもよく効いたと語り、いい時にいい治験に巡り合えたと語っています。

次の人は自分が効き目のある薬をもらっていたのかどうかはわからないとしながらも、現在膝の痛みなどの骨粗しょう症の症状が出ていないのは治験に入ったおかげではないかと思っていました。

インタビューに答えてくださった方々の多くはこのように肯定的な感想を抱いていましたが、中には参加の時の状況を振り返ってみて、納得いかないという疑問を抱いた人もいました。がんを患う母親に決め手となる治療法がない中で臨床試験・治験を選んだ人は、プラセボが用いられることについて、いくらパンフレットを読み、医療者から説明を受けても、最後までその理由が理解できない、と話していました。

この方は1回目の治験で実薬を投与されていないことが2回目の治験を受ける際の条件となっていたので、1回目の治験の担当医に確認してプラセボ投与のグループに入っていたことを知りました。それで2回目の治験を受けることができたわけですが、それでもプラセボ比較試験が「治験に必要なこと」というのが「納得できない」というのが、家族としての率直な気持ちなのでしょう。もっと患者の立場に立った説明が求められているのです。

2016年11月公開