参加中の体調トラブル

臨床試験・治験中に、何らかの体調トラブルが起こることがあります。そのようなトラブルは試験中の薬や機械が原因とは限らず、病気自体が引き起こす場合もありますし、偶然起きた可能性もあります。しかし、臨床試験・治験では、試験中の薬や機械の安全性をチェックすることが目的なので、とりあえず臨床試験・治験中に起こったすべての体調トラブルを有害事象として記録に残す必要があります。実際にそうした体調トラブルが起こるかどうかは、人によってさまざまですが、ここでは、インタビューに参加した人たちが、具体的にどのような体調トラブルを体験したのか、その結果どういうことになったのか、を見ていくことにしましょう。

体調トラブルを報告する

私たちのインタビューではひどい便秘を経験し、治験のせいかも知れないと思って病院に電話をした、という人がいた一方、説明文書に書かれているような副作用だったので「このくらいはしょうがないか」と思って過ごしてしまった、という人もいました。試験が始まる前に渡される説明文書には「予測される不利益および副作用について」などというタイトルで、想定されうる様々な体調トラブルが記載されています。しかし、説明文書に記載されていてもいなくても、何らかのトラブルを感じたら、すべて医師に報告することが必要です。報告したら直ちに試験が中止になるわけではなく、本人が耐えられないほどではないと感じ、医師が問題ないと判断すればそのまま、参加を継続することになります。

次の人は、医療機器の治験参加中に貧血のため3回も輸血をしましたが、そうした副作用が出る可能性については説明文書にも書かれており、それを十分覚悟の上で治験に参加したといいます。

参加をとりやめる

体調トラブルが起こっても、上記のように担当医らへの相談で解決され、臨床試験・治験が続けられることもありますが、医学的な判断により、中止せざるを得なくなる場合もあります。さらに、医学的には継続可能でも、我慢できない・このまま続けるのは辛いと思えば、ご本人の意思でやめることもできます。参加に同意したあとも、いつでも同意を撤回できることは、臨床試験・治験の実施側が、必ず事前説明の際に被験者に伝えなくてはならないことのひとつです(「事前説明:説明の内容」を参照)。

次の人は、過活動膀胱の治験の薬を飲んだ直後から体が非常にだるくなり、血圧もいつもよりだいぶ下がってしまったことがとても辛かったため、治験の担当医には引き留められたものの参加を取りやめることにしました。

次の人は、C型肝炎に対する薬の治験に参加していたところ、サルコイドーシスという難病を発症してしまい、自身では我慢するから治験を続けたいと言ったものの、治験の担当医から参加を中止するよう言われたと語っていました。

また、参加を取りやめないまでも、予定されていた量・回数の薬を服用することが難しい場合もあります。肺高血圧症という難病を患う次の人は、吸入の機械を使って薬を投与するタイプの治験に参加していましたが、投与の初回から頭痛・血圧の低下がひどく、本来は1日7~8回やるべき吸入を医師に頼んで6回にしてもらったと話していました。

副作用以外の体調トラブル

持病などがあって、従来何らかの薬を常用していた人が臨床試験・治験に参加する場合もあります。このような場合、従来飲んでいた薬と試験対象となる薬とがお互いに影響しあって(薬物相互作用)、薬の効果を抑えてしまったり、増強しすぎて有害な反応を引き起こしたりする可能性があります。試験薬の効果(有効性・安全性)を正しく判断するために、また患者さんの安全性を重視する立場から、試験中は常用していた薬を休薬する場合もあります。医療者と十分に話し合い、きちんと納得した上で、どのような選択を行うかきめることが大切です。

次の人は、尋常性乾癬という病気に対する生物学的製剤の治験に参加しましたが、参加期間中は症状が悪化してもステロイドが使えず、辛かったと話していました。

※この方が入っていた治験は、同じ被験者に対して第2相試験と第3相試験を連続して行うもので、第3相ではプラセボを用いず、実薬のみの長期投与をするという特殊なデザインだったようです。通常は、第3相試験でもプラセボ対照試験が行われます。

2016年11月公開