病とともに生きる

最初に前立腺がんという診断を受けたとき、ほとんどの男性は痛烈なショックを受けました(「患者本人への影響」の項を参照のこと)。しかし、最初のショックや心的外傷の後、多くの男性はいたって普通の生活を送ることができました。中には病状が悪化した人や、ストレスの多い職種のせいで仕事を辞めざるを得なかった人もいましたが、たいていの場合は、治療をしながら仕事を続けることができました。倦怠感や治療の副作用のために、早期退職を余儀なくされたケースもありました(「治療の副作用」を参照のこと)。根治的前立腺切除術を受けるために休職したものの、手術から回復した時点で職場復帰したという患者も何人かいました。また、今までどおりスポーツや旅行などいろいろな活動を楽しんでいると語った患者たちもいます。けれども、これは常に可能だったわけではありません。

患者たちは、前立腺がんの診断を受けて、避けられない死というものをいっそう意識するようになりました。身体的にも精神的にも健康であるためには、ふだん通りを心がけることが大事だと悟った人たちもいました。その一方で、今の生活を見直して、まったく別のことに主眼をおくことにした人たちもいました。多くの人が、つねに活動的であることと日々を精いっぱい生きることの重要性について触れました。たとえ安静が必要でそれまでの活動が続けられなくなったとしても、あるいは、分裂性の病状がでていたとしても、その重要性はかわりません。支援グループの中で活動し、その過程で新たな友人を得たという人もおおぜいいました(「支援グループ」を参照のこと)。ある患者は、監視的待機を選択しました。長生きするより充実した人生を送るほうが大事だと考えたからですが、そんなに年金のことを心配しなくていいと思うと、ある程度ほっとしました。