異常の発見から診断まで
このトピックでは診断がつくまでの過程でインタビュー協力者がどのような体験をしたかをご紹介します。今回、多くの方が下痢や腹痛を伴う消化器症状または痔ろうといった初期症状で受診し診断に至っていました。一方、初期症状が消化器症状ではなく、蕁麻疹や関節炎等ではじまった場合、消化器の疾患を疑うのが難しかったという方もいました。
腹痛や下痢などの典型的な症状からの発症
まず初めに腹痛、下痢、発熱あるいは痔ろうなどの症状で、内科や肛門科を受診して、比較的早くに診断がついたという方々のお話です。最初に行った医療機関で診断がつかなかった人たちは、大学病院などのより専門的な病院を紹介してされて診断に至っていました。
様々な理由でなかなかクローン病の診断がつかなかった
初期症状として、クローン病特有の腹痛や下痢がなく、関節炎や蕁麻疹、鼻血、発熱のみであったため他の病気が疑われ、結果的にクローン病と診断されるのが遅れたという方々がいました。
中には、ある男性は、検査で大腸のみの異常しか見つかっていなかったため7年もの間、同じ炎症性腸疾患である潰瘍性大腸炎と診断されていた人もいました。
ストレスや精神的なものという理由でかたづけられて正しい診断がつくまで時間がかかった方々もいます。特に受験生の場合は受験のストレスと思われたり、一度精神的なものと言われるとその病院に行きづらくて、病院を転々とすることになったりして、診断の遅れにつながっていました。
12歳から鼻血とひどい腹痛が続いていた女性は、近くのクリニックで神経的な胃痛と言われ、自分から大きな病院に行きたいと言っても、医師がなかなか紹介してくれず、親子そろって精神病とまで言われて大変な思いをされたそうです。
診断が遅れた別の理由として、肛門科に受診することのハードルの高さについて話す若い女性もいました。
診断のための検査
クローン病の確定診断がつくまでには小腸造影や大腸内視鏡など多くの検査をしなければなりません。それらの検査はおとなでも大変ですが、小学生にとってはとても辛いものだったようです。
内視鏡検査は大事な検査ですが、患者にとっては大きな負担になっています。特に小腸は内視鏡は口からあるいは肛門から内視鏡を挿入して行い、時間がかかり、他の内視鏡より負担が大きいです。そこで、カプセル内視鏡というものが開発され、一部保険収載もされています。その経験を次の方に語っていただきました。
2019年6月公開
認定 NPO 法人「健康と病いの語りディペックス・ジャパン」では、一緒に活動をしてくださる方
寄付という形で活動をご支援くださる方を常時大募集しています。

中学生のころからよくお腹が痛くなった。高3の冬に痔ろうがなかなか治らず、大きい病院を紹介してもらい、クローン病が疑われた。その後大腸カメラなどの検査で確定診断がついた
朝から下血があり、痔かと思ったが夕方になっても止まらず病院に行ったらそのまま入院となった。内視鏡検査の結果、回盲部(小腸から大腸への移行部)に病変が見つかりクローン病だとわかった
25歳のころに下痢がひどくなって、ある朝我慢できない腹痛で近所の国立病院に行ったら、そのまま入院となり、数日後に内視鏡検査でクローン病だと判明した
小学校のころは、症状としては発熱だけで、下痢や腹痛はなかったのでお腹の検査はせずに血液検査、骨髄穿刺をやった。最終的に診断がついたのは20歳のときだった
32歳の頃に微熱と関節炎が出て、病院に行ったがどこも悪くないと言われた。その後下血が始まり、頭皮にぶつぶつができたり、また針反応がでたりしたので、ベーチェット病が疑われた
大学3年の終わりに下痢と発熱が続き、胃腸炎だと診断されたが、症状が続いたので、総合病院を受診した。慢性膵炎と診断され入院して一旦良くなったが、その後クローン病と診断された
潰瘍性大腸炎としての治療を7年ほどやったが良くならず、大腸全摘の手術を受けることになったが、その時、小腸もやられていることが分かり、手術中にクローン病に診断名が変わった
中学2年の頃から下痢が始まって高校3年の頃には通学電車のトイレに毎日入らなければならないような状態になった。いくつものクリニックに行ったがいつも受験のストレスでかたづけられてしまった
発症してから診断がつくまで、ストレスのせいにされて、病院も転々として長い時間がかかってしまった
近所のクリニックではただの精神的な胃痛だと言われ、もう動けなくなるくらいまで大きな病院には行かせてくれず、やっと大きな病院へ行ってクローンの診断が出た
