薬物療法

クローン病の薬物療法には主なものとして、5-ASA製剤、ステロイド剤、免疫調整剤、生物学的製剤があります。
今回インタビューに協力して頂いた方々は、基本的にはみなさん標準治療に則って薬物治療をされていますが、クローン病においては根本治癒につながる薬はまだありません。ある程度症状が落ち着いていても薬は飲み続けなければなりません。ここではそうした薬物療法について体験談をご紹介しますが、薬の効果や副作用については個人差があることをご承知おきください。なお経腸栄養剤(エレンタール、エンシュアリキッド、エネーボ)の語りは「食事療法」をご覧ください。

5-ASA製剤

5-ASA製剤(主な商品名はサラゾピリン、ペンタサ、アサコール、リアルダ)はクローン病の基本薬で、貼り薬のように腸の粘膜に直接貼りついて炎症を抑える効果があります。寛解(症状が治まること)導入にも寛解維持にも使用されますが、たまに副作用が出て使えない人もいます。しかしよほど軽症の場合を除けば、5-ASA製剤だけで寛解導入することは少なく、ステロイドや生物学的製剤など他の治療と併用することもあります。

サラゾピリンを使うと体液や爪あるいは皮膚に色がつくという副作用がでますが、一歩踏み込んでちょっと話づらいことまで話していただきました。

ステロイド剤

ステロイド剤(主な商品名はプレドニン、リンデロンなど)は炎症を抑えるにはとても効果がありますが、反面副作用が出たり効き目が悪くなったりして使えなくなることもあります。特に副作用は重篤なものが出ることもあるためその使用については医師により、また患者自身でも考え方が様々です。しかし最近は、十分な量を投与し、短期間で漸減・離脱すれば副作用は最小限に抑えられるので、適切な使用であれば必要以上に怖がることはないと考えられています。重篤な副作用は、長期間にわたり漫然と使用する場合に起こりやすいことがわかってきました。
まずステロイドの副作用について語っている方のお話を紹介します。

次の方は主治医に対して「ステロイドは副作用が怖くて使いたくない」とはっきり言って、できるだけ使わないようにしていました。

ステロイドを減量すると症状が悪化してまたステロイドを増量しなければならないという、いわゆる「ステロイド依存」になってなかなかステロイドをやめることができなかったという方もいます。

ステロイドは副作用が出ることが多いですが、大量に使ったにもかかわらずひどい副作用は出なかったという方もいました。

免疫調整剤

免疫調整剤(主な商品名はイムラン、アザニン、ロイケリンなど)は5-ASA製剤とステロイドが効かない場合、あるいはステロイドをやめようとする場合に使います。また生物学的製剤(レミケード)の効果を長持ちさせるために併用することもあります。(ステロイドや生物学的製剤との併用については「ステロイド」や「生物学的製剤」の語りの中で紹介されています)

生物学的製剤

生物学的製剤とは、化学的に合成した医薬品ではなく、生物が合成する物質(タンパク質)を応用して作られた治療薬です。2002年から生物学的製剤の最初の薬としてレミケードが広くクローン病の治療に使われるようになりました。初めて使った患者は「劇的に効いた」とか「魔法の薬」という表現でその効果を称賛しました。しかし、長期間使用しているとその効果も薄れてきたり、あるいは副作用が出て最初から使えない人もいました。その後ヒュミラが出て、最近ステラーラが出てきて選択肢は広がり、また免疫調整剤との併用や、倍量投与、期間短縮投与などによりますます治療の選択肢は広がっています。

ヒュミラという薬は自己注射(自分で皮下注射を打つもの)で、そのやりかたなどについても話していただきました。

ステラーラという新しい生物学的製剤を使い始めたという方の語りです。レミケードやヒュミラがTNFαという炎症反応に関与する生体内物質の働きを抗体によって抑える薬であるのに対し、ステラーラはインターロイキン12とインターロイキン23という物質の働きを弱めることで、クローン病の症状を改善する薬です。

狭窄があると生物学的製剤は使えないと医師から言われた人もいました。それは生物学的製剤を使うと潰瘍の治った跡が盛り上がって狭窄が進行し、腸閉塞になりやすいというのが理由のようです。しかし、狭窄があっても必ずしも腸閉塞になるとは限らないことから、狭窄の状況を見ながら生物学的製剤を使う医師もいます。

2019年6月公開