クローン病とコロナ禍 *NEW*

2020年8月から11月にかけて、以前インタビューにご協力いただいた方の中から11名の方に再度インタビューを行い、新型コロナウイルス感染症(以下「コロナ」)の拡大がクローン病の人にどのような影響を及ぼしているかを伺いました。このトピックでは、クローン病の人にとってのコロナ禍が健康な人にとってのそれとどう違うのか、感染症対策や治療への影響、生活面における変化などを通して明らかにしていきます。そしてクローン病患者としてコロナ禍について思うことなどについてのお話なども紹介しています。

「基礎疾患」としてのクローン病とコロナの関係

2021年3月時点で厚労省がワクチン優先接種の対象としている14種類の「基礎疾患」にはクローン病全般は入っていませんが、「ステロイドなどの免疫の機能を低下させる治療を受けている」人には該当します。
(厚生労働省「接種順位の考え方」(PDF)のP4を参照)

患者のみなさんはこのことをどのように理解しているのか、基礎疾患を持つ人はコロナにもかかりやすいとか、かかった場合重症化しやすいと考えているのかを伺いました。次の男性は友人の歯科医師が「基礎疾患があるのだから気を付けるように」と消毒の仕方の情報をくれたり、遠くの大学に通う娘も父親に基礎疾患があることを気にかけて里帰りを控えたりしていることを踏まえて、以下のように話しています。

2020年8月に出された厚生労働省「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」班のJAPAN IBD COVID-19 Taskforceの資料によると「現時点では、炎症性腸疾患の患者さんと一般の方との間で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染または発症するリスクに差はない」とされています。しかし、実際に感染して発症した場合は、「炎症性腸疾患が落ち着いていない患者さん、ステロイド投与中の患者さん、ご高齢の患者さんでは重症化率が高い傾向にあるため、注意が必要」とも書かれています。それでもまだデータが蓄積されつつある段階だということもあり、医療関係者の間でも見解が分かれているようで、患者として何を信じたらいいか悩ましい状況があるようです。

なお、コロナとクローンとの関連に関する情報入手先としては、他にも専門医の団体のHP(下記2件)があります。リスクに関しては治療法とも関係して個人差がありますので、詳しいことは主治医にご相談ください。
日本炎症性腸疾患協会
日本炎症性腸疾患学会

免疫抑制剤や生物学的製剤の使用とコロナ

クローン病の人の中でも、免疫抑制剤や生物学製剤など免疫機能が低下するような治療を受けている人は重症化のリスクが高いとされています。また、感染した場合、免疫を抑える薬剤は中止の検討が必要とされているため(原則中止とされていますが、クローン病の病状のと兼ね合いもあるので)、主治医に確認が必要です。それらの薬を使っている人たちはコロナ問題をどうとらえているのでしょうか。

クローン病患者で生物学的製剤や免疫抑制剤を使っている人はコロナの影響で特に不安を募らせていると思われます。そういう人向けの支援があってもいいのではないかという話もありました。

クローン病由来の発熱・倦怠感等の症状とコロナの症状の見極め

そもそもクローン病の人は体調を崩しやすいわけですが、コロナの症状の一つである発熱や倦怠感はクローン病の症状としても頻繁に経験されるので、コロナとの違いの見極めが難しくなります。さらに免疫機能が落ちている場合はコロナも重篤化しやすいので、体調を崩した際に医師からPCR検査や抗原検査*などを勧められることは健康な人より多いと思われます。今回のインタビューではPCR検査を受けた方は2名、抗原検査を受けた方が1名おられて、いずれも陰性でしたが、その時の経験を話していただきました。

*(参考)
PCR検査:検査したいウイルスの遺伝子を専用の薬液を用いて増幅させ検出させる検査方法で、主に体内にウイルス
     が検査時点で存在するかを調べるときに用いる。
抗原検査: 検査したいウイルスの抗体を用いてウイルスが持つ特有のタンパク質(抗原)を検出する検査方法で、
     PCR検査に比べ検出率は劣るが、少ない時間で結果が出る。特別な検査機器を必要としないことから速や
     かに判断が必要な場合等に用いられることが多い。
抗体検査: 過去にそのウイルスに感染していたかを調べる検査で、体内に抗体ができるまでには時間がかかり、現在
     そのウイルスに感染していないことの検査に用いることは難しいとされている。

次の方は通常であればPCR検査を受けなくてもいい状況だったにもかかわらず、クローン病を始め多くの病気を抱えていたので、そのことをよく理解している医師の判断でPCR検査を受けることになりました。

39度の高熱が出たので接触者センターに電話して、クローン病だという事を話したら、すぐにPCR検査を受けることが出来たという方がいました。基礎疾患を持っている人にはPCR検査を優先的に受けさせていたという事のようです。

クローン病の治療への影響

クローン病の人は定期的に通院をしている人が多いのですが、通院に伴うコロナ罹患のリスクについてどのように考えているのでしょうか。感染リスクと治療中断によるクローン病の症状悪化のリスクのバランスをどうとらえているか伺いました。

厚生労働省はコロナの拡大を受けて2020年4月にオンラインや電話による診療に対する制限の緩和を始めましたが、クローン病の患者さんたちの中には、この制度を活用して、通院による感染リスクを下げるようにしている人もいました。

今回のインタビューではコロナ禍の中で入院を経験した方が4名おられました。これはクローン病患者に限った事ではありませんが、みなさん家族の面会も出来なく、とても辛かったと話しています。

クローン病患者としての日常生活や仕事への影響

コロナ禍においてはコロナに感染していない健常者でも、その日常生活や仕事への影響は多大なものがありますが、クローン病やほかの疾患を持っている人にとってはまた違った影響もあったようです。
トイレットペーパーが店頭から消えたことによる影響は想像がつきますが、ガーゼが手に入らないことによる意外な影響を受けた人もいました。

クローン病だからもともと感染症対策には気を付けていたり、病気が悪化した時には活動の制限があったりしたので、コロナ禍になったからといって特に大きな影響を受けていないという方もいました。

次の方は、コロナ禍になっても、病気を抱えている者が通院や治療を続けられているのは、医療関係者の努力のおかげだということを理解し、その感謝の気持ちを語っています。

2021年4月公開

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