クローン病患者は「難病の患者に対する医療等に関する法律」(難病法)に基づく医療費助成(注)の対象となっており、最大で月額3万円が医療費の自己負担限度額となっています。しかし、クローン病の治療は長期にわたることから、患者にとって心身のみならず、経済的な負担は少なくありません。
また、クローン病患者の中には障害者手帳を持っている方もいます。その場合障害者雇用促進法の法定雇用率の対象となりますが、障害者手帳を持っていない患者は対象となりません。
経済的な支援以外にも、近年ヘルプマークといった、一般の人々の支援を喚起するための働きかけも始まっています。こうした公的支援を受けること、あるいは受けないことに対するさまざまな経験や意見を紹介します。
(注)医療費助成制度の詳細はこちらを参照ください。http://www.nanbyou.or.jp/entry/5460
経済的に負担が大きいという訴えは、医療費以外の交通費の負担や、生命保険に入れないなどさまざま語りに見られました。また体調が安定しないため、仕事を増やすことが難しく経済的に苦しい、という事情を語った人もいました。
難病法が施行された2015年1月以前は特定疾患としてクローン病の医療費はほぼ自己負担ゼロでしたが、難病法施行後は自己負担額が増えています。指定難病であっても軽症者は医療費助成の対象からはずされる場合も出てきていますが、こうした状況に対してさまざまな意見がありました。
クローン病は小腸機能障害者として身体障害の障害者手帳を交付されますが、手帳を申請する際にやや抵抗感のあった人、みずから医師に申し出て自動車の減税などの優遇を受けている人などがいました。ただ、障害の等級によって、支援の程度は異なるようです。
経済的支援以外にも、「ヘルプマーク」等の配布を行って、クローン病のような内部障害を持つ人が周囲の方から援助を得やすくなるように支援する自治体も増えてきました。ヘルプマークは外部からはわからない、人工関節や義足、内部障害、妊娠初期の人たちへの配慮を求めるために考案されました。内部障害とされるクローン病の患者さんもこの範囲に入りますが、ヘルプマークの考えに賛同しつつも、実際に付けることについては躊躇している人もいました。患者さんがこうしたマークを安心して付けるためには、社会全体の病気に対する理解が求められます。
医療費助成制度はありがたいので継続してほしいが、それ以外にも就労支援のようなものがあれば、難病患者も社会でもっと活躍できると話しています。(障害者雇用促進法では障害者手帳を持っていない難病患者は法定雇用の対象にはいっていません。)
2019年6月公開
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