入試の準備と実際

大学入試には、様々な準備が必要です。その中でも障害を持つ学生は、入試に際して、配慮が必要になることもあります。ここでは、入試に向けた準備と、実際の入試の配慮について、また、入試の時に大学に自分の障害を伝えることについて、それぞれの語りを紹介します。

入試に向けた準備

日本では2010年頃から入試の方法が多様化し、一般入試が減り、AO入試(アドミッションズ・オフィス入試:学力試験ではなく高校の成績や小論、面接などで人物を評価して入学の可否を決めるもの)や推薦入試の割合が増加しています。インタビューに答えた人たちも、AO入試や推薦入試で受験した人が多くいました。

AO入試や推薦入試では、学力に関すること以外にも、出願までに様々な準備が必要です。次の車椅子の女性は、推薦入試に向けて行った準備について、語っています。

AO入試の中でも、様々な種類があります。次の人は、それぞれの入試で求められる内容を平行して準備をした体験を、語っています。

推薦入試の場合は、高校の内申点が、出願の条件や合否の基準になることがあります。推薦入試で受験をした人の中には、「高校の成績を良くするため、定期試験の点数を上げられるように努力した」と語った人がいました。

また次の人は、推薦入試に向けて内申点を上げる必要があるのに、障害のために高校の体育の成績がネックだったことについて、語っています。

推薦入試やAO入試が増えている一方で、一般入試で受験をする人も多くいます。次の弱視の女性は、一般入試の準備のために通った学習塾や参考書選びについて、語っています。

さらに、推薦入試やAO入試、医療系の学部の入試など、入試に面接がある場合もあります。看護学部の受験を目指していた次の吃音の男性は、入試の面接の準備について話していました。

入試の配慮

入試当日は、事前に配慮申請をして、配慮を受けながら試験を受けた人が多くいました。インタビューに答えた人の中には、「特別支援学校は、大学入試の配慮申請に慣れている」と言う人もいましたが、普通学校で、「高校の先生と要望内容をまとめて、大学に提出した」という人もいました。また、入試の際に配慮申請ができることも知らないまま、受験をした人もいました。

次の2人は、入試の際の配慮申請について、出身校のかかわりを語っています。

入試当日に受けた具体的な配慮内容について、次の4人は、実際に自分の障害に合った配慮を受けた体験を語っています。

障害のことを伝えて受験した人の中にも、次の2人のように、当日試験に行ってみて自分が思うような配慮内容ではなかったり、実際の試験で困ることがあったりした人もいました。

受験先に障害について伝える/伝えない

インタビューに答えた人たちの多くは、試験で配慮を受けるために前もって自分の障害のことを大学に伝えています。しかし、障害について大学に伝える思いや、あえて伝えなかった理由についても、様々なことが語られました。

高校卒業までごく限られた人にしか聞こえないことを伝えてこなかったという聴覚障害の女性は、「大学に入ったら、ありのままにやりたいことをやろうと思って、大学に聞こえないことを伝えた」と語っていました。

次の人は、入試に配慮は必要ありませんでしたが、あえて願書の備考欄に自分の障害について書いた時の思いについて、語っています。

次の難聴の女性は、センター入試では申請して配慮を受けましたが、一般入試については配慮の申請をしなかったことを話しています。

インタビューに答えた人は、20代~40代と幅があります。合理的配慮が意識されなかった時代に受験した40代の男性は、自分の障害のことを事前に伝えずに受験して、そのことを責められた経験について、語りました。

2021年1月公開 2022年4月更新

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