大学選び

たくさんの大学が存在する中、具体的にどの大学を受験するか、また複数の大学に合格した場合、最終的な進学先をどう選ぶかに関しても、多くのことが影響してきます。ここでは、大学を選ぶ際の条件や、決め手になったこと、壁にぶつかった体験についての語りを紹介します。

オープンキャンパスの体験

多くの受験生は、障害の有無にかかわらず、大学のオープンキャンパスに行って、様々な観点からその大学が自分に合うかどうかなどを判断します。オープンキャンパスは、直接教職員や在校生と話したり、施設を見たりすることができるいい機会です。

車椅子を使う男性は、オープンキャンパスや学校説明会の機会に、設備や環境面を確認したことを語っています。

また、病気のために高校卒業から時間が空いて受験を考えた聴覚障害の女性は、高校から情報を得ることが難しく、自分で様々なことを調べながらも、オープンキャンパスはとても役立ったと話していました。

大学選びの決め手

インタビューに回答した人の何人かは、学内の設備や環境、サポート体制、入試の形式、学校の立地を、大学を選ぶ際に考慮したと話しました。一般学生もこれらを考えて受験先や進学先を選びますが、障害学生の場合、それらがクリアできないと「学べない」という制約になっていることも考えられます。

次の2人は、自分の障害がバリアになりにくい入試の形式で受験できる大学を探した体験を、語っています。(入試当日のことや、具体的なサポート詳細については、「入試の準備と実際」のページをご参照ください。)

学校の立地が、大学選びに影響したという人も多くいました。次の2人は、一人暮らしを始めたくて実家から離れた大学を選んだということを、語っています。

次の慢性疾患を持つ男性は、看護師になって自分が支援を受けた病院で働きたいと思い、大学を決めたことを語っています。

また、障害のある学生が集まる大学に進学した聴覚障害の男性は、大学の魅力とその時の葛藤や思いについて、次のように話しています。

本当は行きたい大学があったが、通学にヘルパーが使えないという制約から、行きたい大学を断念したことを語った人もいます。

通信課程の大学で学ぶことを選んだ人は、学費の安さや自由な学び方といった通信制ならではのメリットについて、語っています。

設備面や立地など以外に、インタビューに答えた多くの人が、大学の教職員の対応や、先輩の存在など、大学選びに影響があった「人」の存在について、語っていました。次の2人は、オープンキャンパスや説明会で会った大学の教職員の対応について、語っています。

看護系大学を志望した聴覚障害の女性は、以前、障害のある先輩が介助者をつけて実習に行ったことを知り、その大学を選びました。また次の車椅子の男性も、自分より前にその大学に在籍していた障害学生の先輩の存在が、大学選びに影響したことについて語っています。

大学選びでぶつかる障壁(バリア)

インタビューに答えた人の中には、大学を選ぶ際に、障害のために壁にぶつかった体験について、語った人がいました。次の2人は、大学側から受験を断られることや、受け入れが難しいと言われた体験について、語っています。

またインタビューでは、大学より以前の高校受験の際に、受験の拒否に遭った経験を語った人もいました。次の40代の脳性麻痺の男性は、高校受験の際の受験拒否の経験が、大学受験の時にも大きな影響をもたらしたことを、語っています。

障害学生の大学選びに関しては、情報不足が大きな課題です。インタビューに答えた人の中には、自分が支援を受けられる大学を探すために、「20校くらい問い合わせた」「36校に電話をした」「30校ほど受験した」という人がいました。情報の不足は、受験生にとって、時間や労力、経済的な負担になることが考えられます。

次の車椅子の女性は、大学案内を取り寄せ、オープンキャンパスにも行ったが、それでも情報が少なくて困ったという体験を語っています。

インタビューに答えた人は、20~40代と幅がありました。その間に、大学側の制度や環境も大きく変わってきています。次の20代の人は、大学選びの際にバリアを感じたが、合理的配慮の時代なので積極的に交渉できるという思ったことを語っています。

2021年1月公開 2022年4月更新

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