再発予防と体調管理
インタビューでは多くの人が、がんと診断されたことをきっかけに自分のそれまでの生活を振り返り、食生活や睡眠時間、運動習慣などを改めたり、それまで以上に気をつけたりするようになったと話しています。病気や治療で落ちてしまった体力を回復したいという人もいれば、再発を予防したいという人もいて、どの程度真剣に取り組むかということも人によってまちまちですが、専門家の助けを必要とする西洋医学的な治療法とは別に、自分でもできることとして、免疫力を高めることによりがんに負けない体づくりをしたいという考えを持つ人が多いようです。
食生活の見直し
玄米に野菜、魚や“ぬるぬる・ねばねば”食品などを中心にした食事療法は、健康食品やサプリメントに比べてお金がかからないこともあって、多くの人が行っていました。
生活習慣の見直し
水泳やウォーキング、ストレッチなど運動療法についての語りは初発の人から多く聞かれましたが、半身浴やモーツァルトの音楽、ペットとのふれあいなどを通じたリラクゼーションは再発を経験している人たちも実践していました。乳房再建術のためと閉経後のリスクの一つである肥満への対策として食事に気をつけ、運動を心がけた人もいました。また、睡眠時間の確保、規則正しい生活を重要なこととして上げた人もいました。
ストレスを減らす
生活の仕方だけでなく、気持ちの持ちよう、心のありようを変える努力をしている人たちもいます。ストレスをためない、無理をしないというのは、病気になる前の生活に対する反省から来ているようです。また、免疫力や笑いの効用について書かれた文献を読んで、それを実践している人もいました。
好きなように生活する
中には、厳密に食事療法をしたり、生活習慣を改めたりすることはかえってストレスになると考える人もいますし、とにかく好きなことをするのがよいと考えている人もいます。また、予防すること自体が難しいのではないかと考えている人もいました。
※20世紀前半に桜沢如一が独自の陰陽論に基づいて考案し、欧米で広まった、玄米菜食を基本とする食生活法
2018年9月更新
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食事のカロリーバランスを考えて野菜中心で、温野菜にしたり、サラダでも冷蔵庫で冷やさないようにしたりしている
インターネットや本で免疫力を高めるものを調べ、ニンジンジュースや野菜スープ、ねばねば食品、発酵食品など自分なりに1日分の食事のメニューを作っている
がんの先輩を見習って玄米食と菜食中心で肉や魚、脂っこいものや甘いものは必要以上にとらないようにしている。玄米の美味しい炊き方を研究して上手に炊けるようになった
農薬が使われていない草(薬草)やぬるぬるの食品、黒い食品、根菜類などをとるようにして、薬には頼らない
抗がん剤の副作用で足のしびれがあるときも、水中ウォーキングが抵抗なく歩けたし、腕のリハビリを兼ねて泳いでいたら1キロも泳げるようになった
肥満は乳房再建術の傷の治りに影響するので、ダイエットを勧められた。運動嫌いだったが、再発予防のためにも必要だったので、食事に気をつけ、ジムに通っている
外食が多いので食べものに気をつけるより、ハーブティーを飲んだり、お風呂にゆっくり入ったり、音楽を聴いたり、猫をなでて話しかけたり、ゆったりすることを心がけている
無理をしたり流されたりしないで、自分にとって本当に居心地のいい状態でいられるようにすることを心がけている
夫がいろいろ調べてくれて、免疫力を高めるのは「笑い」だということで、一生懸命笑わせようとするので、おかげで自分からも冗談を言うようになった
術後6年経ち、定期検診の間隔をあけてほしいと医師に話した。健康のため、体を動かし、よく噛んで食べ、明るい気持ちで嫌なこともいい方に解釈している
8年経っても転移の不安はどこかにあるが、体に気をつけて悪いことは考えず、前向きに楽しいことだけを考えて過ごすようにしている(手話・通訳付)
もともとマクロビオティック(※)には関心があったが、あれこれと気を付けるよりも、積極的に生きることにエネルギーを費やしている
心と体は一つととらえる立場から、ストレスをなるたけ軽減しようと思っていて、酒も飲み、食べたいものも食べ、言いたい放題、やりたい放題している
