妊娠・出産への思い

ここでは、妊娠が可能な年齢に乳がんとなった人たちの妊娠・出産に対する思いと実際に出産された人の体験について、紹介します。今回、インタビューに協力してくださった人たちの中に、妊娠中に乳がんになった人と乳がんになった後、出産を体験した人がそれぞれ1人いました。

妊娠・出産への思い

乳がんの治療が終われば、生理がある人は妊娠・出産が可能であり、治療が将来の胎児に悪影響を与えたり、乳がん治療後の妊娠・出産・授乳が再発リスクを高めるという証拠はありません(日本乳癌学会 患者さんのための乳癌診療ガイドライン2016年8月1日更新ウェブサイト)。しかし、将来の妊娠・出産に対する不安の声は多くの人たちから聞かれました。結婚や出産への希望を持っている20代の女性は、治療に用いた薬剤がどう影響するのか心配だと話していました。

特に30代後半から40代の女性にとって、その時期に抗がん剤治療やホルモン療法を受けることで、妊娠・出産可能な年齢を過ぎてしまうのではないかと懸念し、治療を受けるかどうか悩んだ人も少なくありませんでした。再発防止を優先して5年間のホルモン療法を受けることにした人がその時の気持ちを語ってくれています。

遺伝性の乳がんであることがわかった女性は、妊娠に対して抱いた特別な思いを話しています(遺伝に関しては乳がんと遺伝を参照)。

すでに結婚して子どものいる人でも、次の妊娠に関する悩みが聞かれました。最初の子どもを出産後、20代で乳がんとなり、治療後しばらく時間が経って、妊娠を考えた時の夫の反応について話してくれた女性がいました。

妊娠・出産の体験

今回、インタビューに協力してくださった人たちの中に、1人妊娠・出産の体験をした女性がいました。彼女は、結婚後子どもが欲しくて不妊治療をしていたところ、20代で乳がんが見つかりました。そこで術後抗がん剤治療の前に、卵子凍結保存をすることを決め、採卵しましたが、治療終了後に自然妊娠し、出産しています。

インタビューに協力してくださった人の中で、妊娠中に乳がんになった人は1人いました。この女性の場合は、妊娠後期に乳がんと診断され、帝王切開後、乳房切除術を受けています。しかし、妊娠初期は妊娠継続するかどうかの選択や妊娠中は治療の制限があるため(※)、病状や妊娠週数によって対応が異なってきます。

※妊娠初期の抗がん剤治療、妊娠中の内分泌療法、抗HER2療法は勧められない、妊娠中期・後期の抗がん剤治療の長期の安全性は確立されているとは言えませんが、必要性に応じて考慮してもよいとされています。また、妊娠中の放射線療法は禁忌とされています。(日本乳癌学会 乳癌診療ガイドライン薬物療法2018年版ver.3、放射線療法2018年版ver.2」)

なお、「英国人の乳がんの語り」にも乳がんになった後に妊娠した人(30代・インタビュー17)や妊娠中に乳がんが分かった人(30代・インタビュー44)の体験談があります。

2020年1月更新