神経ブロック

神経ブロックは、痛みを感じている部位の神経やその周辺に局所麻酔薬を注射して、一時的に神経の興奮を抑えて痛みをなくすという治療法です。「痛みの情報」が伝わる経路を遮断(ブロック)して、筋肉の緊張を緩め、血流をよくすることが主たる目的です。1回の注射で効果が得られる場合もありますが、薬物療法と組み合わせたり、複数回実施したりすることが多いようです。(なお、局所麻酔薬を用いるもののほかに、高周波熱凝固などの方法で神経を破壊して持続的に痛みを抑える神経ブロックもありますが、インタビューに協力してくださった方々の中にはそうした神経ブロックの経験について話された方はいませんでした。)

私たちのインタビューでも多くの人が神経ブロックを経験していましたが、その効果についての評価は人それぞれです。一時的であっても劇的に痛みが軽減したと感じて歓迎する人もいれば、「その場しのぎ」に過ぎないと感じた人もいます。中には、全く効果を感じられなかったという人もいました。

なかには硬膜外ブロックの局所麻酔薬の影響で、つねっても叩いても痛みを感じないのに、CRPS(複合性局所疼痛症候群)の患部である足首の痛みだけは取れなかったと話している人もいました。

神経ブロックにはいろんな種類があり、痛みの症状や部位によって使い分けられています。首の付け根辺りにある星のような形をした神経のかたまりに注射をして、主に上半身・腕の痛みを緩和する「星状神経節ブロック」、脊髄を覆っている「硬膜」の外側にある隙間に麻酔薬を注入して、神経の炎症を抑えて痛みを和らげる「硬膜外ブロック」、押すと強い痛みを感じる部分(痛みの“引き金”となる場所)の筋肉に直接局所麻酔薬や鎮痛薬などを注射して痛みをとる「トリガーポイント注射」などが代表的です。インタビューに答えた人の中には複数のブロック療法を試している人がいました。

痛みが非常に強く、期間的にも長く続いている人の場合、神経ブロックの頻度も高まります。今回のインタビューでは、週2回別々の病院で神経ブロックの治療を受けていると話す人もいました。しかし、トリガーポイント注射でも硬膜外ブロックでも一定のリスクがあり、回数が多くなれば合併症も心配になります。医師によってリスクについての考え方も異なるため、次の男性は、結局は自分で考えなくてはならない、と話していました。

2018年7月公開