身体活動への影響と対処:動作・外出・家事・運動
慢性の痛みは、ちょっとした動作や外出、家事全般、運動といったからだを動かす日々の活動にも影響していました。慢性の痛みは完全になくなることはありません。慢性の痛みをもつ人は、痛みがひどくならないように様々な工夫をしながら日々の活動をしていました。ここでは、慢性の痛みが日々の活動にどのように影響しているのか、その影響に対し痛みを抱えながらどのように対処しているのかについて紹介します。
ちょっとした動作
普段、何気なく行っている動作にも、痛みがひどくならないようにどうすればよいか注意して行動したり、外出先で自分にはできないことをあらかじめ想定し、回避できるように意識しているという語りがありました。
外出
外出することによって痛みがひどくなることが多いが、自分にとって楽しいと思える外出のときには、痛み止めの頓服やドリンク剤を飲んで気分を明るくして出かけるという人がいました。また痛みのため歩くことが怖く、一人では外出できないこと、万が一、転倒した際に迷惑をかけたくないと近所の人に付き添ってもらうことを断っていると語った人がいました。
外出時に公共交通機関を使う場合、ラッシュ時は避けたり、車の運転をする方は、運転に支障がないように鎮痛剤を飲む時間を考えているという語りがありました。
家事
多くのひとが痛みや関節の変形で家事をスムースに行うことが難しくなっていました。できないことは家族やヘルパーに依頼する方もいましたが、自分なりにできる方法や負担が軽くなるように工夫されていました。また家事をすることがリハビリテーションとなる、家族内での自分の役割であり1日の目標であるという語りがありました。
運動
日々の生活の中で、痛みがひどくならない範囲で軽い運動を取り入れているという語りがありました。なるべく階段を使ったり、散歩するなど運動不足を解消することが痛みの軽減につながると考えている人もいました。
2018年3月公開
認定 NPO 法人「健康と病いの語りディペックス・ジャパン」では、一緒に活動をしてくださる方
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右手で重いものを持つことを避けたり、誰かにぶつからないように注意して歩くなど、常に右手をかばいながら生活している
手首が動かず肩が痛いので手をついて立ち上がったり、物の上げおろしが不自由。優先席に座っていても席の移動が難しいため、結局立っている方がよくなった
毎朝、起きたときに違う痛みを感じる。痛みがひどくならないようにゆっくり起き上がったり、極端に腰をかがめたり伸ばしたりしないようにこれまでの経験から心がけている
外出すると全身が痛くなるが、たまにスーパーで5分ほど買い物をするのが楽しみで唯一の社会参加なので頓服をつかうなど工夫して、できることを最大限しようと思っている
痛い胸を抱えて外出するのは結構しんどいので患者会にも参加していないが、痛くても外出予定があるときは、ドリンク剤を飲んで気分を明るくして必ず行くようにしている
腰を折ってから、痛みがあり歩くのが怖い。リハビリの先生と歩く練習をしているが、普段は天候にも左右され一人で出かけることが難しい。
ラッシュ時は、人に押されて身動きが取れず、痛みが増すので、公共交通機関は空いている時間帯しか利用できない
通院は誰かに連れていってもらえるわけでもないので、自分で車を運転して行くしかない。車の運転に支障がないように通院するときには薬の飲み方や時間を考えている
リウマチの人は痛くても包丁をもって野菜を刻んだほうが関節を使うのでいいような気がする。曲がった関節も伸ばすようにしている
風呂掃除は前に屈むときに痛いが、リハビリだと言い聞かせてやっている。家事は全般的に慣れてできるようになり、それが生きがいにもなっている
夕方、痛みが強くなるため、夕飯をつくるのが一番つらい。休み休みやればいいというが、しんどくても一気にやってできたほうが満足感、達成感があってよい
軽い運動や深呼吸、腹式呼吸を生活の中に取り入れている。ストレッチは心地よいところまで伸ばすと痛くなるのでその手前までやめておくようにしている
