学業・仕事への影響

痛みは学校生活や友人関係などに大きく影響していました。仕事への影響としては、痛みをやり過ごしながら今の仕事を何とか続けようとしている方、やむを得ず今の仕事を続けることを断念した人、自分にあう仕事を模索し、できる仕事をするなどの語りがありました。ここでは、慢性の痛みがどのように学業や仕事に影響したのかについてご紹介します。

同級生と同じように活動できない

小学生のときから、慢性の痛みを抱えていた方は、疲れやすく同級生と同じように活発に動くことができず、一人でいることが多かったと語っていました。教員から心配されることがひいきととらえられ、同級生からいじめられることもあったとのことです。

大学生の時に発症した人は、授業に出ても痛みに耐えているだけだったこと、痛みのため外出準備をするだけでも大変であることから引きこもり気味になったと語っていました。そのため、同級生と同じように就職活動ができず、将来的に働くことができるのか不安だったと語っていました。

病気をきっかけに新たに勉強を始める

病気を治すために、自分で海外の文献を読んだことがきっかけとなり大学に編入したという方がいました。仕事と学業を両立しながらの生活は大変だが先行きの見える人生を送ることができるようになったことに満足していると語っていました。

なんとか今の仕事を続ける

痛みによってほとんどの人が仕事に支障をきたしているようでした。三叉神経痛のある薬剤師は、しゃべる仕事はできないときがあったがデスクワークはできたと話していました。翻訳業でパソコン作業をする方は指が動きやすい時間に仕事をするそうです。小学校教諭はもっとゆとりのある生活をしたいが、今は立場上任された仕事を頑張りたいと語っていました。また痛みがあってもゆっくり仕事をすることでやり過ごしていると語っている人もおり、可能な内容や方法で何とか仕事を続けていました。

今の仕事を続けることを断念する

休職・復職を繰り返していた臨床検査技師の女性は、骨折を機に会社から2年間しっかり休むことを提案されました。しかし、2年間の休職後、復職を希望したものの認められず、辞めざるを得なくなったと話していました。一方、痛みのため、仕事上の責任を十分果たすことができないと自らの限界を認め、今の仕事を辞める、あるいは別の仕事に変える決心をした方がいました。

中学校で音楽教諭をしていた方は、女性特有の病気のため、男性教諭が多い職場であることや学生への影響も考え、学生や同僚にも具合が悪くなる理由を話すことができなかったと話していました。度々休むことや学校行事での役割を積極的に引き受けることができないことから職務を十分、果たすことができないと限界を感じ、退職を決心されたそうです。

痛みのために一旦、事務職をされていた元養護教諭の方は、幼稚園の養護教諭に復職する機会を得ましたが、子ども相手の仕事に思うようにからだが動かないことを実感し、自分がやりたくてもできないことがあるのを客観的にわかったと語っています。

また心療内科医の方は、クリニックでは患者数をこなさなければならないことに限界を感じ、障害者施設での仕事に移ったと語っていました。

自分ができる仕事を模索する

痛みがあることを隠しながら転職を繰り返し様々な仕事をしている人がいました。今は不動産関係で建物管理をしている人や自分でお店を始めた人は自分のペースでできる仕事、周囲の人に気を遣わないでできる仕事の方が精神的に楽であると語っていました。

自分のやりたい仕事のときには痛みが和らぐと語った人がいました。またやれるだけやってみようと少し仕事を始めた人は、仕事をすることで生きている実感がわくと語っています。

2018年8月公開

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