前頭側頭型認知症に特徴的な症状:常同行動・無関心/無気力・脱抑制など

ここでは、前頭側頭葉変性症の中でもピック病に代表される前頭側頭型認知症に特徴的な行動の異変について紹介します。これらの症状は、かなり早い時期から出現するにも関わらず、他の認知症ではほとんど見られないために、認知症と認識されず、一体何が起こったのかわからないままに見過ごされたり、精神疾患と間違われたりしまいがちです。例えば常同行動・無関心/無気力・食の嗜好変化やこだわり・共感や感情移入の欠如・不適切あるいは衝動的な行動をとる脱抑制などですが、これらは単独で現れる場合もありますが、他の症状と重なり合って出ることも少なくありません。

常同行動

「常同行動」とは同じことを何度も繰り返すことです。毎日判で押したような生活をする「時刻表的生活」、同じものばかりを好んで食べ続ける「常同食行動」、同じ言葉を何度も繰り返す「常同言語」、同じ道を歩き回る「周徊」など、多岐に渡ります。常同行動に身なりをかまわないといったマナーを逸した脱抑制的な症状が重なる場合もあります。

無関心/無気力

家族が困っていても気にする様子もなく自分本位な行動をとったり、それまで熱心にやっていたことに急に関心をなくすような場合も、前頭側頭型の症状である可能性があります。夫が54歳で突然仕事を辞めてしまった女性は、その時はよもや病気とは思わずに、夫を「家族を顧みないわがまま勝手者」と決めつけてしまいましたが、綺麗好きなのにヒゲも剃らない、自由な時間があるのに大好きだった釣りにもいかなくなる、ティッシュの代わりにトイレットペーパーで机を拭くなど、小さな変化に気づくことの大切さについて語ってくれました。

食の嗜好変化やこだわり

食の好みがこれまでと変わり、甘いものや味の濃いものが好きになったり、お酒も付き合い程度だったのが、急にアルコール依存症になったかと思うほど、手放せなくなったりすることがあります。また、同じ店の同じ物しか食べないことが年単位で続く場合や、食べものではないものまで口にする異食と呼ばれる行為も見られる場合があります。(「日常生活の障害:排泄・食事・睡眠など」を参照)

共感や感情移入の欠如

前頭側頭型認知症の人は、なぜ、どうしてと理解に苦しむ行動や言動をとることがあります。他者の要求や感情を読む能力の低下、あるいは他者の体験を想像する能力の低下等によって、我が道をいくという行動をとってしまうことがあるからです。

脱抑制(不適切あるいは衝動的な行動等)

前頭側頭型認知症の人は、理性や感情をコントロールする前頭葉の委縮により、抑制が外れることで「温和だった人が何かの刺激に衝動的に反応して怒りっぽくなったり」、「攻撃的になったり」することがあります。こうした情報から、家族のピック病を疑った人もいました。また、人格が変わるというより、病気によって抑制がとれて本来の性格がより強められる場合もあるという医師の説明に納得をしたというご家族もいました。

2021年5月更新

ページの先頭へ